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俺は彼らの気持ちが理解できない~なお、周りは同性同士のカップルだらけである~ 前編

前回の更新から時間があいてしまいましたが、続きを投稿させて頂きます!

男主人公視点です。

同性愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい。

主人公が同性愛の王道展開について色々ツッコミを入れていますが、個人的にはBL大好きです。


また前中後編と分けさせて頂きました。

前編を切りのいい所で終わらせたら、短くなってしまいました、スミマセンー!




ああ、またか・・・と思った。

物陰でイチャつく見ず知らずの男性二人を見て、俺は眉を顰める。


「あ、待って・・・誰か見ているかもしれないからダメ・・・」

「大丈夫。俺たちのことなんて誰も気にしていないよ」

「・・・本当?」

「・・・ああ」


(本当な訳があるかっっ!!)


二人の会話の内容に、心の中でツッコミを入れる。


(がっつり見えているし、ばっちり聞こえているぞ!!!!そんなに堂々と見える位置にいて何故、他人が気にしないと思うんだ?!!お前たち隠れる気がないだろう?!!)


そう心の中で叫ぶ。

しかし声には出さない。

ああいう手合いに構ってしまったら、彼らの恋路に巻き込まれるのが目に見えているからである。

俺は巻き込まれたくない。

なので心の中でだけ、ツッコミを入れる。

それくらい許してほしい。


「好き、大好き。愛してる、ジェイク」

「俺もだよ」

「嬉しい・・・」



そう言ったあと、二人は濃厚な口付けを交わしだした。


俺は、重い重いため息を吐く。

二人のことを気にしたくはない。

見ず知らずの他人だ、当たり前だろう。

気にしたくない・・・気にしたくはないのだが・・・

隠れる気が全く感じられない上に、公共の場で破廉恥な行為におよびだした二人の姿に、どうしても眉間に皺がよってしまう。

俺は彼らから顔を背けると、拳をギュッと握り締め、瞳を閉じた。


(最初に言っていた言葉は嘘だったのか!!?ダメって言っていただろう!口先だけだったのかっ!拒否していたくせに、何故相手の何の確信もない言葉に納得する?!!絶対に!!絶対に人から見られることを気にしていないだろう、おまえら!

『誰か』のことを気にしているだなんて、嘘だ───!!!)


彼らに言いたい言葉が次々と口から零れそうになるのを、唇を噛みしめて必死に我慢する。


俺は人の性癖にあれこれ言うつもりはない。

男同士で恋仲になるのも否定はしないさ。

だがな・・・!!?

いつ誰が来ても不思議ではない公共の場でイチャつくのを止めてほしいと思うのは、おかしなことだろうか?!!!!!


そうなのだ・・・

この国では人前でイチャつく者が、とても!とても多いのだ・・・

見たくないのに・・・

見たくないのに・・・!

自分たちの世界に浸り、他人のことなど一ミリも考えてはくれないカップルに対して青筋を浮かべる。


「あっ♡そこはダメぇ♡♡♡」


男の喘ぎ声が聞こえ始めたので、スパン!と素早く両手で耳を塞いだ。


俺の精神安定の為に!!

聞いてはいけない!!

話しかけてはいけない!!

ツッコミを入れてはいけない!!


こんな人の往来の多い場所で何をやっているんだ?!とどんなに思っていても口に出してはいけないのである。

もし口に出してしまったら、何故かこちらが悪者になってしまうのだ。

理不尽である。

俺は閉じていた瞼をカッと見開くと、恋人たちを見ないよう足早に・・・脱兎の如く、その場を離れたのだった──。




◇◇◇




セフィラ大陸にあるリオノール帝国の第二王子、エリオス・リオノール

それが俺の名前だ。

第一王子である長兄、シリウス・リオノールが国の跡を継ぐことが決まっている。

兄の結婚式を間近に控え、お祝いムードの我が国だが、ある問題を抱えていた。

それは深刻な少子化問題だ。

その理由は───・・・


我が国だけではなく、この大陸中の国々で異常なくらい同性愛者が多くなっていることが原因だった───・・・





この大陸に暮らす人間は、現在男女問わずほとんどの者が何故か同性に惹かれている。

その原因はわからない。

ちなみに俺は一度も同性に惹かれたことがないので、同性に惹かれるという気持ちが全くわからないのだが・・・

あまりにも同性と恋仲になるものが多い為、セフィラ大陸の全ての国で、次代の王や貴族の跡継ぎとなる者には異性と結婚する事を義務づける法律が出来たほどである。

義務付けされないと、国が亡びる程の異常事態に陥っているのだ。

実際に、ここ十数年でいくつかの国が亡びている。

こうした過去から、その法律は制定されたのだが・・・

制定後、別の問題が発生した。

異性の者と結婚した王は何故・・か配偶者と死に別れる確率が高くなったのだ。

その後側妃を迎えるでもなく、王は愛妾をつくる。

その時の王のお相手は同性だ。


夫婦仲が悪くなり、王が愛妾をつくる場合も多い。

もちろん、その際の王のお相手も同性なのである。

王の愛妾は、ほぼ100%同性なのだ。

王と妃がどんなに愛し合っていても、死に別れたり、次第に仲が悪くなったりして、最終的に王は同性の恋人をつくるのだ。

跡継ぎがいるから、いいだろうと王は宣われる。

いいわけがないと思うのだが。

子供の気持ちも少しは慮ってくれ・・・と思う。

いや、うちの国のことではないのだがな・・・

うちは死別したり、仲が悪くなるわけでもなく、父も母も仲睦まじく暮らしている。

お願いだから、父にはこれからもずっと、側妃も愛妾も迎えずに過ごしていってほしい。



そんな法律もあり、王太子には幼い時分より、異性の婚約者が決められる。

第二王子以下は自由恋愛をしても良いとされているので、同性の恋人をつくるものが多いが・・・。


いや、多いどころではないな。

ほとんどの王子・王女が同性の恋人をつくる。

この可笑しな現象が起きているのは、どうやらセフィラ大陸にある国々だけだと研究者が発表していた。

やはり何か原因がある現象なのだ。

じゃなければ、呪われているのか?と少しゾッとする。


何故だ・・・

女性と結婚する王子が、ほとんどといっていい程いないのは何故だ。

そしてどの国でも何故姫君はその存在感が薄いのか。

本当に影の如く、国の中での姫君の存在感は薄い。

たまにその存在がハッキリしているお方もいらっしゃるが、一癖も二癖もある方が多いのだ。

特に多いのは男性同士の恋仲を見て楽しんでいる姫君やご令嬢の存在である。

人の趣味をとやかく言う気はない。

ないのだが・・・

気配の薄い女性か、癖の強い女性しかいないのは、明らかにおかしいと思うのだ。



こうして少子化問題は進む一方だ。

また異性と結婚した場合、国から子供を沢山生むよう呼びかけられているので、女性の負担がとてつもなく大きくなる。

それを重荷に感じ、男性と結婚する女性の数は年々減ってきている。

結婚しても、ある日突然夫が同性と浮気をする可能性もあるのだ。

異性との浮気も嫌だが、同性との浮気も勿論イヤだろう。

一部喜ぶ女性もいると聞くが、そんな女性は稀で、ほんの一握りの者だけである。

これでは益々未婚率が上昇してしまう。

頭の痛い悩みが山積みである。




それなのに・・・

この大陸で同性同士の結婚が認められるようになってしまったのだ。

国同士の議会で決定してしまった。

国の上にたつ人間が、みな同性愛者なのだ。

簡単に決まりを変えることが出来るだろう。

反対するものはごく一部だったという。

その結果、顕著に王族・貴族の数が減ってきている。

平民よりも、圧倒的に王族・貴族の子息子女が同性同士で結ばれることが多いからだ。

こんな法を作った奴らは、これからの未来をどうしていく気なのだろうと思う。

次々と国が亡び、現在進行形で大陸中めちゃくちゃになっていっているのだ。

自分たちさえ良ければいいのだろうか・・・





女性と結婚することになったとしても油断することは出来ない。

結婚後、初夜の寝室で相手が実は男だった──ということがここ数十年で度々・・・そう、何故か度々あるからだ。


姉妹と入れ替わった兄弟だったり、幼い頃から女性として育てられてきた男性だったりするのだが。

式の最中に気付けないのか?!と思うのだが、皆何故か気づかない。


もちろん女性と見紛うばかりの美しい男もいるだろう。

だが結構・・・筋肉がついている花嫁もいるんだがなあ・・・???

女性にも逞しい者がいないわけでもないので、見極めが難しいのだ。

だが、もちろん王族相手にそれをやらかしてしまったら、花嫁役の男性は死罪になる。

はずなのだが・・・???

そのまま男の嫁を迎えた王も中にはいるらしい。

愛情が芽生えたからだとか何とか・・・

だが結局その王は、早々に甥に王位を譲っていた。

兄弟に男児がいない場合は、国が滅びた。

その国では親兄弟姉妹、全員が同性愛者だったからである。

こうなってはどうすることもできなかったのだ。

つい最近起きた事件である。


王の花嫁はしっかりとした身元の姫君であることを必ず確認されている筈だ。

なのに何故こんなことが頻繁におこってしまうのか。

このような事件があり、同性同士で結婚は出来るが、王の伴侶だけは異性でなければならないと、法律が制定された。

王子王女が全員同性愛者という国があるので、その国は今でも盛大に揉めている。




・・・だが、しかし。

数年前から、同性で結婚した者たちのなかから、救世主ともいえる人間が出てきているらしい。

なんと最近では性別に関係なく妊娠する者が出てきているというのだ。

そう。男でも妊娠できるらしいのだ。

たしか、その者たちをまとめて「オメガバース」と呼称していると聞き及んでいるが・・・

男が子供を産む?!!

正気か?!!!!

と、俺は震えが止まらなかった。

なんなのだ、そのオメガバースというのは?!!

α(アルファ)、β( ベータ)、Ω(オメガ)という3つの性があるらしいが・・・???

訳がわからないぞ・・・???

性は、男と女の二つだけだっただろう・・・?

昨今さっこんでは違うというのか・・・?

そうか、違うのか・・・

強制的に子供が産める身体になるなど、恐ろしすぎるぞ・・・

発情期?

相手を誘うフェロモン?

なんだそれは・・・

それは本当に人間(ひと)と言えるのか?

動物の話しをしているのではないのか・・・?

身体の震えが止まらないんだが。




短いので、スルスル読めるかと思います。

こんな感じに中後編と続きます。

続きの中編は明日7:00投稿予定です。

宜しくお願い致します。


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