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わたくしの誕生日パーティーで婚約破棄がおこなわれました~なお、婚約破棄をしたのは他国の客人です~後編


王女の独白、後編です!

宜しくお願い致します!





ここで我が国の紹介を致しましょう。

我が国 リリエンハイム王国は、アルカナ大陸一の大国です。

豊富な資源、整備された町々、争いのない平和な毎日に国民も安心して暮らしております。

国は観光地としても栄え、図書館や美術館も王都に多く点在しております。

なんといっても、千年近く続く歴史の古い王国なのです。


他国はというと・・・

アルカナ大陸には、三~四百年続くという小国がとても多く点在しております。

その時代に何があったのでしょう・・・

歴史書には特にこれといったことが書かれていないので、真実は闇の中です。


そしてその小国には、溢れる程、王子や姫君がおります。

気が付いたら他国に顔や名前の知らない王子や姫君が増えているのです。

覚えるのも大変なのでいい加減にしてほしいものです。

急に現れた王子や姫君は度々・・・それはもう度々!!!!

いろいろな騒動を巻き起こし、国も人もめちゃくちゃに致します。

その余波が我が国にも届くので、本当にいい加減にして頂きたい。

波乱に満ち溢れすぎですわよ?!!!!


その前に、他国では何故こんなに王族が溢れているのかしら・・・?

この大陸、小国が多すぎではなくて・・・?

王族とは貴重な存在の筈なのに、そこら中に王族がいらっしゃるのよ・・・

私生児も・・・沢山現れますし・・・

どうなっているのかしら。

後から後から王族の私生児が現れるのは本当にどうかしていると思うわ。

何をされているのかしら、他国の王は!

下半身が緩すぎではなくて?!!

数十人、子がいる王もいるのだから眩暈がしてしまうわ・・・



ちなみに我が国は、王の子は(わたくし)、一人だけです。

お父様もお母様もお互い相思相愛なのですが、子供ができにくい家系のようで。

私も父と母が結婚して数年後に出来た待望の子だったようです。

勿論、父の仕込んだ私生児が現れるということもありません。

父は母にぞっこんですから。

それにもし父が愛人を作ったりしたら、母の周りの者が黙っていません。

年をとっても外見美少女のままの可憐な母は、成人間近の子供がいるにも関わらず、今でもとても美しく・・・

とてもモテるのです。

父が目を離した隙に、母は高確率で攫われます。

なので、父は母から目を離すことができないのです。

実際に母に一目惚れした方が、母を攫いかけるという事件が現在進行形で多発しております。

今のところ全て未遂で済んでおりますが、今でも気が抜けない状態なのです。

我が母ながら、恐ろしい。

どんな運命のもとにいらっしゃるのかしら・・・

父も父で、いくつになっても輝くような美貌ですし・・・

もちろん父も女性にモテモテなのです。

二人の間に入り込める方はおりませんのに、愛人の座を狙っている方が星の数程おられます。

そして父が虜にするのは女性だけではありません。

男性までもが父の虜に・・・

それを知った時は思わず、お父様・・・と膝をつきながら項垂れてしまいました。

どうして男性まで虜にしてしまうのですか。

一国の主としては素晴らしい魅力ではありますが。

たまに筋骨隆々な男性まで瞳を♡にしている方がいらっしゃるのですよ。

私、ゴリマッチョな殿方が胸をトキメかせながらお父様を見つめるお姿は流石に!!流石に見ていられません・・・!!!

お父様の愛人の座を狙う魑魅魍魎に、貴方がたの想いは絶対に敵わないのよ!と説き伏せたい。

だって、私の両親は何十年もラブラブなんですもの。

娘である私が、たまに口からお砂糖を吐きそうになるくらい。

父は母を全身で慈しんでおりますし、母は今でも父の美貌にうっとりして頬を染めている時があるのです。

いくつになっても仲の良い両親で、娘から見てもとても微笑ましい限りです。

・・・そんな両親を守る為には外野をどうにかしなければいけません。

・・・しぶとい害虫はどこにでもいるものです。

私が、どれだけお二人に近づく虫の排除に動いているか、父母は知る由もありません。

それでも、隙を見て母を攫おうとする輩が出てくるのですから、たまったものではないのです。

男女問わず、父を押し倒そうとする輩も次々湧き出しますので、気を緩めることが出来ません。

父母がお互いに想いあっているということは一目見てわかるというのに!!!!

害虫共の目は、どいつもこいつも節穴ばかりです!!!!

もしかするかもなんて万が一にもないのですよ!!!!



◇◇◇



最近他国でよく聞くお話といえば、男爵令嬢と王子の婚約でしょうか。

一国の王子が、いったいどこで男爵令嬢と知り合うのかはわかりませんが。

あれだけ厳重に護られている王子に、どうやって男爵令嬢が近づけるのでしょう?

この大陸には、年ごろの男女が集まる教育機関は存在しません。

どこかの大陸にはあると聞き及んではおりますが。

基本アルカナ大陸では、貴族がそれぞれの家庭で家庭教師をつけて勉強をおこないます。

ですので、城から殆ど出ない、ガッチリ護衛のついた王子とどこで知り合うのか不思議で仕方がないのです。

お城を抜け出す王族の方もいらっしゃいますが、そんな危険なことをする方は、稀です。



先日、山を越えた先にある国の王子が、男爵令嬢と婚約されたとお聞きしました。

確か、彼には頭脳明晰で美しい婚約者がいたと思うのですが・・・

きっと、私の知らないところで、婚約破棄がおこなわれたのでしょうね。

──そして・・・あらあら。

婚約破棄をされたご令嬢は、別の国の王子に見染められたの・・・?

まあ・・・

そんなお話・・・

・・・去年もありませんでしたっけ?

ええっと・・・同じ国のお話ではないの・・・?

そう・・・違うのね。

最近流行っているのかしら?

婚約破棄されたご令嬢と、別の国の王子のラブロマンス。

男爵令嬢と王子のロマンスよりは現実的だけれど。

公爵令嬢や侯爵令嬢が、他国の貴族のパーティーに招かれて、その国の王族に見染められたというお話はよくあることですものね。




流行っているといえば、婚約破棄されたご令嬢が、ドラゴンの花嫁になるというお話も度々聞くわね。

妹に婚約相手を奪われて─・・・というかたが多いようですが。

婚約者を奪う妹も、やたら多いわね・・・

どんな育て方をすれば、そんな失礼な娘に成長するのかしら。

それにしても、ドラゴンはとてもとっても希少な存在なのだけれど・・・

ドラゴンの花嫁となったご令嬢は、いったいどこでドラゴンとお知り合いになったのかしら・・・?

本当に不思議だわ。

数十年後には、ドラゴンと人間ひとのハーフが沢山世に出てきそうね。

次は、ドラゴンと人間ひとのハーフが王子又はご令嬢とラブロマンスを繰り広げるのかしら?

ほほほ・・・(遠い目)

そんなことあるわけないわよね。




こうして、ここ数年、特にこう言った噂をよく聞くようになったのだけれど・・・

この世界はどうなっていくのかしら?

将来、女王となる私は既に国の未来を想い、心労で倒れそうよ。

未だに決まっていない、私の婚約者問題もありますし・・・ね。








「やあ、エレナ。元気そうだね」

「・・・あら、シシー。一週間ぶりね」


城内でバッタリ出くわし、私を愛称で呼ぶこの男性は、私の幼馴染兼従兄弟のシトロン・ランカスター。

ランカスター公爵家の次男坊で──・・・

私の婚約者の座を狙っている男性です。

外見は華々しいおとぎ話の王子様のようなのだけれど・・・

頻繁に女性関係で刃傷沙汰がおこっているので、私は婚約者候補にすら上げていないお方です。

そんな方を伴侶にするなんて・・・

私が苦労する未来しか見えませんわ。


金色の髪に青色の瞳。

すらりと伸びた手足に男性らしい美貌。

彼の容姿が童話に出てくる王子様のようだからなのでしょうか・・・

彼を好む女性は大変多く・・・

特にメンヘラやヤンデレの方に彼は・・・とても・・・とても好かれるのです。

『私の王子様♡』と勘違いされることが多いようでして。

なので、基本彼との会話は2メートル程、距離を開けておかなければいけません。

彼を好きな女性たちに勘違いされ、嫉妬されたくはありませんからね。

現に今、彼の数メートル後ろの柱の陰に女性が数名隠れておりますもの・・・

彼女たちの棘のある視線が目に見えるようですわ・・・

私は違いますわー

貴女方の恋敵ではなくてよー


「えっと、エレナ、もう少し近づいてもいいかな?」

「お断り致しますわ」

「え・・・あ・・・そうか・・・」


私がスッパリお断りすると、その返事にガックリ肩を落とす彼・・・

私を好いてくれるのは嬉しいのですが、ありがた迷惑だと何度言っても話を聞いてくれません。

長男のクエン・ランカスターは比較的まともな男性なのに・・・

次男のシトロンの行動の頭の痛いこと・・・

出来る限り彼を避けておりますが、彼もこっそり待ち伏せなどをして物陰に隠れていることが多い為、こうやって出くわしてしまうことがあるのです。

そんな時は私も仕方なく相手をするしかありません。


「あの、一緒にお茶をしないかい?美味しいお菓子が手に入ったんだ」

「お菓子・・・ですか・・・」


男性は『お菓子』といえば、女性がホイホイついて行くとでも思っているのかしら?

食いしん坊な女性が(何故か)多い為、否定はできませんが・・・


「ありがとうございます」

「!それじゃあ!!」

「ですが、この後、用事がございまして。親しくしているご令嬢とご一緒に召し上がって下さいな」

「親しくているご令嬢なんていな・・・「「「シトロン様あああ───!是非私と一緒にお茶を致しましょう──♡♡♡」」」」


私の言葉に反応した少女たち数人が、柱の陰から飛び出してきてシトロンを取り囲みました。


「え、君たちどこから?!!あ、エレナ、待って!!」

「では、ごきげんよう、シシー」


こうして、私はドレスの裾を翻し、華麗にシトロンの前から立ち去りました。




ああ・・・彼に諦めて頂く為にも、一日も早く婚約者を決めなければいけませんね。

常識的なお方で!

婚約破棄をしないお方を!

・・・そんなお方がこのアルカナ大陸で見つかるかしら?


私は城内の長い廊下を高いヒールを履いた足でカツカツ!と勢いよく歩きながら考えます。




そうよ・・・!!!!

この大陸のお方が無理なら、他の大陸から王配になって下さるお方を探して来て頂けば良いのよ!


私は自身の考えに、目の前が開けていくように感じました。

胸の前で拳を握り、瞳を煌めかせます。


そうよ・・・!!!!

そうだわ・・・!!!!

なにも、私の婚約者をアルカナ大陸にある国の王族や貴族の中から探さなくてはならないなんて決まりはないもの!

やたらと婚約破棄をしたり、溺愛したりする王子や公子なんて、こちらから願い下げだわ!

そうしましょう!!

私、他の大陸の男性を婚約者にするわ!

こうしてはいられません!

早速、他の大陸にある国家のことを調べなければ!


「マリウス!マリウス、いる?」

「はい、エレオノーラ様。ここに」


自室に到着した私が声を上げると、すぐさま側仕えのマリウスがやってきました。


「お願いしたいことがあるの。他の大陸にある色々な国家の情報が知りたいの。急ぎで資料を集めてくれる?」

「は!かしこまりました!」


そういうと、マリウスは一礼をして部屋から出ていきました。

その訳も聞かず、とても優秀な部下だわ、本当に。


私はソファーに座り、メイドの入れてくれた紅茶を一口頂きます。

ふう・・・と口から零れる吐息。

落ち着いてから、改めて覚悟を決めます。


さあ・・・勝負はここからよ!

私、絶対素敵な婚約者を見つけてみせるわ!!


こうして、私の婚約者探しが始まったのでした。





王女の独白、いかがでしたでしょうか。

王子の独白は、執筆次第アップさせて頂きます。

遅筆なので、気長にお待ち頂けると嬉しいです。


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