【ためになるエッセイ】簡単マウンティング講座とクイズ解説
みんな~ムカつく奴をバカにしたいけど、知識もない、調べる意思すら無い。
プライドだけはご立派なダメ人間でも、簡単に周囲を見下せる道具って無いかな?
それが奥さん、あるんですよ。
じゃーん。『クイズ問題集』
質問する側と答える側では、必要な労力が全く違う。
問題集を使えば、模範解答を見ながらどうこう言うだけで知識人を気取れる。
答えられたら、こんな事に答えれるのは当たり前だぁ~! ハイッ次の問題!
こうやって不毛なクイズ番組を続けていれば、相手もどっかで間違えるだろう。
そうすりゃこう言うのだ。
「こんな事を間違うなんて、なんて馬鹿なんだ~」
あほクサと思ったあなた。そりゃ至極真っ当な感性だよ、大事にしよう。
しかし世の中、そんなことすら判らない存在が現実にいちゃうのだ。
皿の中古販売は『非衛生だ~』とか、見当違いな事を言っちゃうような人間がな。
まぁ個人攻撃は厳禁なので、あえて「誰」とは言えませんけど。
さてはて、かの人物を仮にR氏とするが、この人物は出したクイズはとても興味深いチョイスである。R氏は『これが本物の経済学。』などと吹き上がっておったが、つまりは、この問題こそが彼が経済学に求めている姿だという事だ。それを解説していくとしよう。それにしても、このR氏という人間は実にいいかげんな人物であることよ。あろうことか、クイズに重大な記載漏れがあるのである。
正しい問題は
完全競争市場において、ある財の需要関数と供給関数がそれぞれ
”D=180-P” ”S=2P” (D:需要曲線、S:供給曲線、P:価格)で示されている。
この財に従量税を課す場合、
税収が最大となるときにおける財1単位当たりの税額はいくらか。
1:50 2:60 3:70 4:80 5:90 である。
”D=180-P” ”S=2P” 部分の-やら=が丸ごと抜けているのである。
かの人物は、D 180 P S 2P が変だと思わないのだ。
さて問題解説であるが、この問題はほぼ経済学に関わる問題ではない。”一番簡単な形態”で、供給曲線と需要曲線の均衡点を求めた後は、高校で学ぶ微分の公式をちょいと当てはめる超簡単な微分を行うだけである。というか、コレを現実の経済の問題だと本気で言っていたらガチびびりである。これは、日本語を理解しているかと、そこから数式を作れるか? という中高生の数学の問題なのだ。
数式を作るに辺り経済学が関わる用語はたった2つである。
『完全競争市場』と『従量税』である。
完全競争市場とは、
①この世界に、値上げ値下げは存在しない。決められた価格で買うだけである。
②この世界の住人は、商品の性能・品質、需要について、完全な情報を持ってる。
③この世界の商品は、品質・価格共に、全て、まったく、完全に同じものである。
④この世界は、○○産とかブランドとか一切の参入障壁はない。
古典派経済学派が理想とする架空の世界の話だ。これらを突き詰めると、供給と需要が完全に一致することになる。ダンピングによる市場独占も出来ないんだから、そりゃ売れ残り商品を誰も作らない訳だ。
つまりは、この場合D(買われる商品の量)とS(売られている商品の量)の値は同じだって事だけ理解しておればよろしい。
従量税とは、
生産量に応じて課せられる税のことで、例えば、財を1個販売するごとに10円の税金が取られる場合、10円の従量税が課せられている事になる。そして、供給曲線は財の提供価格を表しているに過ぎないので、つまりは、供給に+tするだけである。そうなっている事だけ覚えておればよろしい。
数式の解説に移行する。
Dはdemand需要の事で、欲しがっている人が何人いるかという事。
Sはsupply供給の事で、市場にある商品の数を示している。
Pは商品の値段の事である。
完全競争市場では、需要と供給が一致している。
つまりD=Sなので、これらは連立する事が出来る。
需要曲線D=180-PをP=180-Sに、
供給曲線S=2PをP=1/2S、これを+tして、P=1/2S+tとなる。
180-S=1/2S+tを連立すると、S=-2/3t+120
Tを政府税収として、T=S×tだからT=(-2/3t+120)t=-2/3t²+120t
この数式は二次関数であり、この場合は最大になるtの値を求める。
ゼロになるときが最大値であり、x²の微分は2xなので、微分すると
-4/3t+120=0
t=90になるという訳だ。
えっ何かおかしい気がする? 気にする必要は無い。
一般社会に住んでいれば気が付く疑問点は、この完全競争市場という圧倒的ご都合空間が全て磨り潰すから考える意味もない。事実として、経済学の教科書にはこの前提下ではこのように数字を扱うと設定されているのだ。なぜ1は素数じゃないのか? というのと同じく、学問上の都合でそうなっておるわけだな。
R氏は、需要曲線やら供給曲線などで、『「え???何この曲線!!」とかおろおろする姿が見えますよ』などと調子に乗っていたが、この問題の難しさに需要関数、供給関数は全く関りが無い。そもそも、需要曲線や供給曲線というのは、極論、価格が下がると欲しがる人が増える。財ひとつ作るのにこのぐらい必要である、たったそれだけを表した線である。そんなモノでマウンティング出来るとか本気で妄想している事に哀れみすら感じる。
R氏は『もっとも失われた30年という現実を見ると、この問題が通用しない経済ステージに突入した可能性大ではあるんですが。』などと口にしているが、”もっとも”もヘチマも、そもそもこの問題は、非現実的な前提下で、税収を最大化するために税金を設定するという、1mmも現実に即していない問題であるって事が欠片も理解できてないのである。
恐らくは、経済学の教科書を真面目に見た事など一度も無いのだろう。彼にとって、学問というのはマウンティングの道具であって、難解っぽい事が重要なのである。見ておれば『「なぜこの解は正しいとされているのか。本当は間違いである」と反証しないといけないですよね。』などと頓珍漢なセリフは言わないモノである。それが本当の大卒ってものだろう。
R氏は、なんのために学校に行ったのだろうか?
残念ながら、嘘を嘘と見抜く能力は欠片もつかず、
マウンティングをするために、嘘を垂れ流す存在になり果てたようだ。
彼の馬鹿げた問いには実に簡単に答えれる。
「"完全競争市場"が現実の事だと思われているんですか?」
勿論、その”前提下”では正しいが、それは現実ではない。
まったく、一言物申すなら
『似非知識人気取りが、知識ゼロで語って恥ずかしくないの?』と言いたい。