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夏季休暇 28

 教えるっつうか。


「何でお前らが来てんだよ」


 たしかに、フォレッタの居場所を尋ねはしたが、わざわざ来るとは思ってなかったぞ。

 いや、ディンの性格を考えれば、当然考慮するべきだったのかもしれねえが、それにしたって、こんな遅い時間によく親が許可したもんだ。

 うちと違って、家も厳しいだろうによ。

 尋ねると、ディンは薄い笑みを浮かべ。


「ははっ。家は別に。夜中に僕が女の子のところに出かけていても気にされたことはないから」


 それは信頼されてんのか、それとも、放任されてんのか。

 それに、なんだって、お前はともかく、リオンまで出てきてんだよ。マジで夜中は危ねえから、家に帰ってベッドにくるまってろよ。


「もちろん、ディンひとりで夜の街に出かけさせるのは、色々と危険だからです。特に、夏季休暇ということもあって、羽目を外したがる方もいらっしゃるかもしれませんし」


 お前の普段の態度が原因じゃねえか、と睨むと、ディンは、我関せず、といった感じに肩を竦めておどけてみせた。

 

「まあ、来ちまったもんはしょうがねけどよ。お前らの分の弁当はねえぞ?」


 後は――おそらく――明日の朝にフォレッタに渡す分だ。

 それを口実に、色々と理由をつけて引きとめる予定だ。


「大丈夫、夕食は軽く済ませて来たし、朝食は近くのコンビニで済ませるから。迷惑はかけないつもりだよ。僕もフォレッタさんのことが気になるしね。頼むよ、イクス」


 頼むも何も、来ちまったもんを、今更追い返すわけにもいかねえだろ。

 それに、元々、フォレッタの事を知っているかとディンに尋ねたのは俺だ。その件の結末――とまではいかずとも、話さないのは少々礼に欠けるってもんだろう。


「まあいいけどよ」


 了承すると、ディンは嬉しそうに頷いた。

 

「そんなに楽しいもんじゃねえぞ。まあ、人数が増えたことは歓待するべきだが」


 監視の目が増えたということは、見逃す可能性も減ったし、捕まえる可能性は逆に高まった、そう判断できる。もちろん、油断するべきじゃねえが、助かることは事実。

 俺たちはディンとリオンの乗っている車に邪魔させてもらうことにした。ディンとリオンも、それを望んでいたしな。

 全員で寝転がることができる程広いわけじゃねが、普通に肩を寄せ合って座る分には、十分過ぎるほどのスペースのある車の中で、俺はクレデールとレンシアから挟まれるような格好で、ディンはリオンと隣り合わせに、かつ、俺たちは互いに向き合って座る。


「こん中入っちまうと、外の様子を伺うのも限定的になっちまうし、加えて見にくい。どうするんだ?」


 尋ねれば、ディンは首を横に振り。

 

「大丈夫だよ。まあ、ここからでも窓を開けて外の様子を確認することはできるけど、すでに運転手さんに頼んでいて、見かけたら声をかけてくださるようにお願いしてある。きみたちのこともちゃんと発見できたし」


 そうだったな。

 運転手さんとも交代で眠ることになる事は了承して貰っているよ、とディンは欠伸をしながらいうものだから、俺とクレデール、それからレンシアも、順番に仮眠をとることにした。


「クレデール、レンシア。先に寝てていいぞ。どうせあの――フォレッタも、こんな時間に出てきたりはしねえだろうしな」


 スマホで時間を確認しながら、クレデール達女子組に先を譲る。

 フォレッタと相対するには、こちらも万全の状態じゃないとだめだ。今回は5人になっているとはいえ、また気を引き締め直す。あいつの相手するのには、大分精神を使うからな。

 



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