第32話「狙撃」
俺は目をつぶって死を覚悟した。しかしその時金属音が響いた。
ん?何かあったのだろうか?
俺はゆっくりと閉じていた目をあける。
「ちょっと私の家族に手を出さないでくれるかしら?」
何とそこにはレインが立っていた。
いやてか俺お前と家族じゃないよ?クランだよ?
「よくも私のいつきをいたぶってくれたわね」
いや俺お前のものじゃねぇし。
レインはフェレスに斬りかかりすかさず拳銃を腰から取り出し撃った。
俺はレインが拳銃を使ったことに対して驚いた。
なんてたって俺は剣を振り回す危ない女としか思っていなかったからだ。
「君なかなかやるねぇだけど弱い」
フェレスはレインの持っていた刀を弾き飛ばし、蹴りをいれる。
「っ!!!」
レインは声もでず吹き飛ばされた。
「さぁ終わりだと言いたいところだけどその前にそこの君」
話しを振られたのは俺だった。
「人質たちはどこへ行ったのかな?」
「はは、さぁね」
「まぁいいやここら辺で僕は帰らしてもらうよ」
どーぞどーぞ。ぜひどこかへ行ってくださいと言わんばかりだ。
「またくるよ」
「二度とくんなよ」
「ひどいなぁ。あっそうそう君の持ってるその刀に喋りかけてみたら?力をくれるかもよ?」
「刀がしゃべんのかよ」
「まぁね」
そう言い残しフェレスは黒い煙のようなものを出しその中へと消えて行った。
ワープのような能力なのだろうか?
そんなことより今はこいつらだ。
俺はボロボロの体を起き上がらせ全員を起こして回った。
外の攻撃の音が次第に大きくなってきていた。
「クソッもう自衛隊が直ぐそこまだきているというのに」
「急いでくださいなのです。いつきさん!」
俺は聞き覚えのある声と喋り方に後ろを向いた。
後ろにはティナがきていた。
「お前人質だった人達と逃げたんじゃ…」
「いつきさんを置いていけるわけないのです」
ティナは全員を回復して回った。
そしてレインがあることに気がついた。
「あっ!こいつらあの時の!」
レインは刀を取り出し戦おうとした。
「おいおいおい!待て待て今は仲間だよ」
「は?何を言っているの?」
「説明してる暇はない!」
「いつき自衛隊がすぐそこまできてるよ」
アイナが早く逃げようと言わんばかりだ。
「そう言うわけだレイン、急がないと俺たちも戦いに巻き込まれるぞ」
ドカーン
凄い音がした。何事だと音の方を見ると扉が吹き飛ばされていた。
「なんだ?ここにもいたのか」
指揮官らしき男がそう言い手を振りかざした。
「総員能力者を仕留めろ!目標仮面の3人と女2人だ!」
「おぉーー!!」
50人くらいが一斉にこちらへと走り出した。俺は逃げたいところだったがそうもいかず仕方なく戦うことにした。
まずアイナが前の10人程度をナイフを飛ばして仕留めた。そしてゴーストが先頭に立ち銃を乱射する。
自衛隊も応戦するが当然ゴーストには効かずあっけなくやられた。
数秒にしてたった2人で半数を超える死者を出したあちら側はかなり動揺しているようだった。
「恵美!お前はあの仮面の女を仕留めろ!俺はあっちの3人を相手にする!残りは仮面の銃を持った男を潰せ!」
「はっ!」
そういうと俺の方へと指揮官らしき男が走ってきた。
俺はまず短機関銃で応戦するが一発も当たらず、愛用リーベンを取り出した。
するとあっちも剣を取り出した。
「我に力を貸せオーガ!」
なんだ?なんか凄いことなってる。オーラがまた変わった。ゴーストやアイナと同格だろう。
まぁさっきの化け物を相手にした後はあまり恐怖を感じることはないが…
指揮官らしき男が剣を振りかざすと波動?のようなものが俺を襲った。
「うわっ危ね」
とっさに避けたおかげで当たらずに済んだがもし当たっていたらひとたまりもなかっただろう。
「いくぞレイン」
「了解」
俺がまず男に剣でぶつかり合いその隙に背後をレインが取り斬りかかった。しかし簡単に防がれレインが蹴りを入れられる。しかしレインは踏みとどまり氷をつららのようなものを地面から無数に出した。男は間一髪のところでかわし波動を出す。
まともに受けたレインは吹き飛ばされてしまった。
しかし立ち上がり男との間を詰める。
「今だけやれ修吾」
男が大声で言った。俺はこの言葉に不審に思ったがふと気がついた。
狙撃だ!
俺はレインをかばうようにして突き飛ばした。
男はニヤリと笑っていた。
その瞬間俺はちょうど心臓のところに弾丸が直撃した。
「クソッ…」
ドサ
俺はその場に倒れ込んでしまった。
「いつきー!!!」
レインの叫び声がかすかに聞こえた。




