第26話「襲撃の始まり」
「おいごらぁ!」
1人の男が叫ぶ。
叫んでいたのはリーダーの山崎宗だった。
「出てこいや!」
おそらく俺のことを言っているのだろうが俺は隠れたまま出ない。
ウィーンウィーン
パトカーのサイレンが近づいてきた。
さすが日本の警察だ。
「武器を置いて投降しろ!」
警察達が銃を向けて言った。
しかし彼らは余裕の様子で笑っていた。
「投降しろ?バカじゃねぇの?」
その瞬間数人の警察の顔が吹き飛んだ。
あちらは何が起きているのか分かっていない様子だ。
「至急応援を!…」
応援を要請した警察が後ろを向くと仲間は全滅していた。何が起きたのかさっぱりと言う顔だ。
大男が動き出した。全身筋肉がすごく、手がデカイ。顔は覆面レスラーのような仮面をかぶっている。警察が顔を大男に掴まれた。
「痛い痛い痛い痛い」
警察が叫ぶ。
「やめてください、ごめんなさい、やめてやめて」
警察が泣き叫ぶ。
途端に警察の頭が潰れる。
「グロイな」
俺はポツと呟いた。
警察も哀れなものだ。
当然死体を見ても今さらなんとも思わない。
「どうする?戦う?」
レインが刀を袋から取り出して言った。
だが俺はとめる。
「やめとけ、このまま逃げ切るぞ」
「どうして?」
この疑問は当然だろう。
俺は理由を説明する。
「ここでの戦いに勝ったとしても周囲の人に顔を見られる。もしくはカメラでな。そうなったら当然軍隊でも特殊部隊でも動き出すだろうそうなれば終わりだ」
当たり前のことだ。ここでの戦闘はどうにかなるかもしれないがその先はどうにもならない。
サイレンの音が聞こえてきた。さっきほどより警察の数が多かった。中には機動隊もいた。
「クソッ数が多いな、一旦引くぞ!」
デスエボラ撤退しようとした時だった。
「うて」
一斉に射撃が始まった。デスエボラの数名が撃たれる。すると大男が地面に手を置き地面の一部を持ちあげる。
「地面が壁になってあてれません!」
隙を見たデスエボラは撤退した。
「今だ!今のうちにひけー」
30人程度が一斉に撤退した。
もしここで戦っていたら俺たちも標的にされていただろう。
「大丈夫でしたかー?」
警察が叫ぶ。そして店内にいた人たちを保護していく。俺たちにも声をかけられた。
「もう大丈夫ですよ」
「あぁ、ありがとう」
ナギのおっさんが感謝の言葉を言う。
俺たちはこの後30分程度事情聴取をされそれぞれ解散した。
家に帰るととりあえずスマホを開いた。
するとレインからメールが来ていた。
『運営者が姿を消したらしいわよ』
俺はこれを見てびっくりする。
とりあえず返信を送り俺は横になった。
今回の一件で世間は大きく動揺しただろう。
これからは能力を持たない人とも戦いになるだろう。
さてどうするか。
俺は何気なくテレビをつける。すると驚くべきニュースがやっていた。それは生中継だった。
『ただいま、デスエボラと名乗る集団が東京11区を襲撃しております。すでに数百名の死者が出ている模様です。今機動隊が出動し…』
『申し訳ありません。通信状況が悪く回線が途絶えてしまいました。一体デスエボラとは何者なのでしょうか。機動隊が制圧に向かっているとのことです。』
プツ
俺はテレビを切った。
まさかここまで大大的にやるとは予想もしていなかった。
ピロロン♪
スマホが鳴った。
スマホを見ると結衣からのメールだった。
『たすけて』
どう言うことだ?
俺は問いかける。
『どう言うことだ?』
ピロロン♪
『今11区』
なんということだ。今まさにデスエボラが襲撃している場所だ。俺はすぐさま家を飛び出た。
がむしゃらに走る。何もかも分からなくなるくらい走る。
走って走って走って走って走って走り続ける。
横にタクシーが通った。俺は手を上げてタクシーを呼び止める。
「11区まで」
「分かりました」
俺は少し驚いた。理由は断れられるかもしれなかったからだ。しかし運転手は断らなかった。
どうしてだろうか?
タクシーの運転手は11区が襲撃されていることは知っているのだろうか?
それとも知っていてなお連れて行ってくれるというのだろうか?
どちらにしろ俺にはありがたいことだった。
頼む間に合ってくれ…
俺の心は完全に鬼となっていた。過去に俺は誓った。何があっても結衣だけは助けると。その約束を守るべき日が来たのだ。俺はこの命に代えてでも結衣は助け出す、そう改めて誓った。
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僕の都合でここ最近更新するスピードが遅くなると思いますがご理解とご協力よろしくお願いします。




