第22話「イベント終了」
俺達は今最後の1種類のコインの元へ行っている。
少し前に全プレーヤーに送信されたメールによって最後のコインの場所が分かった。
噴水の前に金庫のような箱があってその中に最後の1種類があると。
俺は時間を確認した。
「スキャンの時間だ!レイン頼む」
「分かったわ」
レインはスマホを見た。
「次々とプレーヤーが噴水の前に向かってるわ」
「急がねーとヤベェな」
俺は少し焦っていた。
大乱闘にでもなれば深手もしくは死の可能性があるからだ。
もうすでに1チームが噴水に到着していた。
噴水に向かっているチームの中で俺たちが2番目に噴水へ到着するだろう。
他のプレーヤーはかなり噴水から離れていた。
「あのカマンダ2〜30人はいるぞ、いつき」
「とりあえず俺とレインとナギのおっさんで戦う一明達は援護してくれ」
「了解した」
レインは話しを聞き終わるとすぐさま敵の首をきった。
一瞬のうち出来事だった。
「!???」
敵はワケも分からない様子だった。
動揺しつつも敵はレインに向かって銃を向けた。
しかしもう遅かった。
レインは手で銃を下に向けて抑えると刀で喉を貫いた。
この騒ぎのせいで建物の奥からリーダーらしき男が現れた。
「うるせぇなぁ、何の騒ぎだぁこれは」
「すいませんボス敵に2名やられました」
「そうか」
俺はまだ様子見をしていた。
相手の能力を見極めるためだ。
それとレインならあいつに負けるはずが無いと思っていたからだ。
「俺があいつを殺す。てめーらは手を出すな」
「はい!」
「あなたみたいな品のカケラもないあなたに負けるはずがないわ」
レインは挑発していた。
リーダーの男は苛立っていた。
「いつき、あいつはかなりの強者だ」
横で同じように様子見をしていた一明が言った。
「どういうことだ?」
「あいつは関東の三分の一は支配している。」
「な、なんだと?」
俺はかなり驚いた。
一明は付け足すかのように説明を続ける。
「ちなみにランキングは9位、名前は宗だ」
「聞いたことないな」
…
「え?バカかお前」
「どういうことだ」
俺は今も分からず聞き返す。
「お前まさかランキング見てないのか?」
「あぁ」
「見ておいた方が絶対にいいぞ」
俺はもう聞くのがめんどくさくなってきたからほとんど耳に入っていない。
適当に返事を返す。
「あぁ」
俺はしばらくして歩き出した。
そろそろコインの入っている箱を見つけ出したかったからだ。
他のプレーヤーがどんどん近づいてきている。
「あれ、箱がありましたのです」
ティナが箱を見つけた。
俺と一明は箱に向かって歩き出し目の前に立った。
幸い他のプレーヤーは全員戦っているようだ。
どうも俺には開けることのできなさそうだ。
「これは開けるのは無理だな」
横で一明も同じことを思っていたようだ。
まぁ俺に関しては関係のないことだ。
なぜなら〝盗人〟で中身を取り出せばいいからだ。
俺はさっそく中身を抜き取る。
すると手にはダイヤのコインをつかんでいた。
「これが最後の1種類…」
俺たちは最後の1種類を手に入れることができた。
しかし残念なことに俺たちはまだ5種類のコインしか持っていなかったのだ。
ダイヤのコインを合わせても6種類、あと1種類足りていなかった。
「簡単だな、あいつが持ってる」
俺はそう言い残すとレインと宗の方は向かった。
敵は俺に気づかない。
俺は影がうすいのだろうか?
戦いの隙を見て背後を取った。
「残念だったな、お・う・さ・ま」
そう言い能力で宗の持っていたコインを奪った。
「これでコンプリートだ」
コインを宙になげ手で受け止めて言った。
『イベントが終了しました。』
アナウンスがなり次々とプレーヤーが転送されていく。
「貴様!絶対に殺してやるからなあ」
宗はかなり怒っていた。
それはそうだ、イベント攻略まであと一歩のところで俺に奪われたのだ仕方ないだろう。
「お前いつきだな、覚えたからなお前だけはゼッテーコロス」
そう言い残すと転送された。
なぜ俺の名前が分かったのだろうか?
不思議に思う。
俺も転送され始めた。
ようやくイベントが終わったと安心した。
急に視界が暗くなった。
転送の最中か?
「やぁ、おめでとういつき君」
女の人の声が聞こえた。




