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短歌(雑然)

作者: quiet




冬の日に月がずうっと円いのは 地球まるごと幽霊だから




クワガタの翼をくださいサンタさん あいつの息の根止める黒さの




弱風で勝手に止まるドライヤー 勝手に死ぬのね人間みたいに




石鹸を食べたらキレイになれないか メルヘンなわたし 真剣なブス




洗うたび びしょ濡れになる白タオル ハンドソープで爛れる手の甲




キシリトールは大丈夫なやつだから 酢豚にガムを入れてもいいかな




本当に好きだった人 本当に好きになる人 in イデア界




午後三時 金の夕陽が目に眩み ぼくより先に帰るなずるい




夜五時で閉まる銀行 シャッターにスライディングしたい お金はないけど




太陽があんなに白く光るなら 日焼け止めとかいらないんじゃない




時駆ける歌をわたしと名づけたら きみもすこしは楽になるかな




なぜ生きるとか訊かれても知らんから 鶏肉食って神様に訊け




絶望と友達だって忘れてた 同窓会でまた逢う日まで




どどすこい どどすどすこい どどすこい もうちょっとほら 体重をですね……




PCのうしろに重なる文庫本 いつかはきみも地層になれるさ




期待しろ 俺が世界を救うから 信じて祈れ 死ぬまで祈れ




Tシャツの襟を伸ばして「楽しい」と 笑った日から背はもう伸びない




地下鉄の窓に映った死人顔 幽霊かもって楽しくなったの




読みさしの栞の位置を変えてれば この冬がずっと続く気がした




雨宿る足に冷たさ不意に濡れ 雨樋伝いに束の間の友




月の裏 宿るあなたのぬくもりは 見えぬ聞こえぬ 知らぬ存ぜぬ




何もないとこにもなんかはあるけれど それに意味とかあるかな? ないか




春踊る あなたのいない日を歌う 花香る風に想いは乗せず




靴擦れの血豆も治れば硬くなる だから釘とか踏んでも平気




どーっちだ?と出された両手に迷うから 唇に触れる権利がほしい




寝室に毎夜に灯す豆球が 星のきらめき 銀河の前触れ




さよならと言えばあなたは救われる だから静かに海に消えます




「短いね」とだけ言われて原稿は端へ それでも終わるのが好き




たまにはさちゃんと生きろよ 生き生きて 行き行きて見れば 生命の墓




第三種接近遭遇したくない 知らない人と話すのつらいし




目覚めたら 全部ほんとになりそうで いまだ瞼を開けられずいる




すげえ好きじゃあないけどさ ずっと好き 右手小指の爪先みたいに




「開けてくれ」貝塚からの声がして ひとつ手にして もう終われない




べしゃべしゃの雪を一面踏みしめて 長靴の裏に顔が浮かんだ




彼方見る 鳥のまなこに誘われて 夢見た深夜に月蒼く染め




結成中 バンドメンバー募集中 当方ボーカル 他方人間




幻に揺れた髪先 どう見ても あなたのじゃないからほっとした




ふざけんな 嫌よ嫌よは嫌じゃボケ 帰れてめえの最寄りの駅まで




暗闇にくろく溶けたらチョコレートケーキを愛して幸せになれ




天空に轟く樹木の肌に触れ 昇れ私の微かな細胞




陽だまりは壁に水面と揺れるから 太陽にだって海はあります




絡繰りを解いたら自然、内側の螺子を抜き取り殺せますとも




ギター持ってどっか遠くに行けたらな 在りし言葉と空っぽの部屋




雪海に投げた指環が巡りゆき 知らない国で花束になる




砕け散る雪花の重みに耐えかねて 沈み落つ雲 触れた指先




そこそこに生きてそこそこに死にます わたし自分が大好きだから




もう一度 泣いて笑ってもう一度 泣いても笑っても、またもう一度




歌って踊って、それだけ それだけで、花の香りが目に沁みました




何もない日々ばかりだし これからもそう だけどまた春は来るから




光あれ どこかへ消えた幻の影踏んで行く永遠の途中で




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