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End Of Days  作者: Van
第1章
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【蒼月と朱月】

 イーストサイド8区は元々緑の多くある住宅地だったが近年、緑との融合をテーマにした都市開発でタワーマンションと人工的な緑地が増え、今も建造中のマンションが6棟ある。セキュリティーレベルも高くセーフティロイドと呼ばれるアンドロイドや監視ドローンが常に巡回し、要所にはガードマンも常駐している。はっきり言えば高級住宅地だが、ウォルマは別にセキュリティレベルの高さでここに住んでいるわけではない。この場所が静かだという理由だけで選んだ。事件や事故なども滅多に起こらず、歓楽街のような騒がしさもない。それが良かった。ウォルマは物心つく前から全ての感覚が普通の人間より数倍鋭いそれが今の職に就いて更に強化された。その感覚は仕事では役に立つが私生活でははっきり言って邪魔になる。特にウォルマの性格上危険などを察知する第六感は普段見慣れている場所や物に違和感を感じさせたり、断片的なビジョンを急に頭に投影したりして危険を回避するよう警鐘を鳴らすのだが、それが逆に余計な事に首を突っ込むきっかけにもなってしまう、そして今もエレベーターの扉が開きエントランスに出ようとしたウォルマの頭に


     キィ──────────ン 


耳鳴りが響いた。普段と何も変わらないその場所に違和感を感じる。今日この感覚を感じたのは二回目だ。一度目は夢から覚めた時、差し迫った危険を察知したというよりはこの先起こるであろう危機を予知したという感じだ。広いエントランスで目に留まって離れないのは中央にある広告塔から投影されているホログラムの一つ【蒼月祭そうづきさい】の告知だった。


 夜になると世界レヴァリスでは2つの月が見える。一つは【朱月しゅづき】魔導師や魔女といった類いの魔法使いはこの月から放射されているエネルギー【ルナ】を用いて魔法を使う要は魔力の源となる月だ。もう1つは【蒼月そうづき】昔から死者の魂はこの月へと昇り女神アナステラの元で転生の時を待つと言われている。しかしそれは迷信や伝説の類いで信じる者は殆どいない。【蒼月祭】とは転生の時を待つ死者の魂が【蒼月】が最も輝きを放つこの時期、世界レヴァリスにいる愛する人達に会いに戻ってくるのを迎える行事で大昔は愛する人が迷わないようにその人の遺品を一つ身に付けて月灯りの下で待つのが風習だったらしいが、今では地方の村を除けば王都でも百を超える出店が並び、祈祷師のパフォーマンス染みたご祈祷の中継が終わると派手に花火が上がりアーティストのライブ中継などで盛り上がる大祭典の一つに変わってしまった。ウォルマも何度か【蒼月祭】に行った事があるがとても死者を迎える行事には見えなかった。そんな歴史や理由さえも忘れられつつある祭だが、ウォルマは夢と現実が重なり漠然と何か嫌な予感がした。


(ばぁちゃん...何か伝えようとしてたのか?)


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