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End Of Days  作者: Van
第3章
24/25

【隠し事】

王都ヴァルハン / セントラルエリア



 片側四車線の広い車道を街路樹で隔てた歩道の脇には足を踏み入れる事を躊躇とまどってしまう程、高級感溢れる様々なブランドショップやテナントビルが並び、その先に見える超高層ビル群には富裕層の住居や一流ホテルの他、金融や貿易、世界各地に進出している有名セレクトショップなどのオフィスが入っている為、世界のVIPが常に滞在している。それに加えセントラルエリアの中心部には巨大な庭園を誇る王宮グラン・パレスと政治の中枢である元老院があるため他のエリアに比べてこのエリアの警備レベルはかなり高い。無数の監視カメラとエリアを巡回するセーフティーロイド、そして店舗の装飾や街灯に紛れて緑色に輝く【魔封石まふうせき】が至る所に点在していた。当然、ウェストエリア第3区のような雑然とした模様は無くまさにセレブの街といった装いを呈している。だがクランは少し息苦しさを感じてた。


「華やかな街なのに常に監視されているような感じですね...」


「このエリアには王宮もあるからねぇ、警備も一際厳重な上に、アレを見なよ」


「【魔封石】ですか...」


「そう、アレが【ルナ】を吸収しちゃうからベルキアの街では魔法が使えない。さっきの奴等(・・・・・・)も魔法を使ってこなかったろう、まぁ彼等は元々使えなかった可能性の方が高いけどね」


「...はい。確かに国全体に【魔封石】があるのはベルキアくらいですもんね」


「でも竜騎士は魔法を使うのに【ルナ】を必要としない。攻め込む側が圧倒的に不利なのは当然ヨシュア・エグゼビアは分かってるはずだよね?」


「.....はい」


「.....」




      ───約2時間前───




王都ヴァルハン / ウェストエリア第3区 / レガーロ



「それは....ヨシュア・エグゼビアは私の婚約者だからです」


バイルとダンテに向かって恥じること無くそう告げたクランだったがその表情には隠しきれない悲しみが滲み出ていた。一時の沈黙、それをバイルの落ち着いた低い声が打ち破る。


「...わかった。探ってみよう」


「本当ですか‼あ、ありがとうございます‼」


「.....」


「それはそうと、宿は決まってるのか?」


「宿?い、いえ、これから探そうかなって....」


「....ふぅ」


バイルは一息漏らしてソファから立ち上がると事務室のドアを開き半身を廊下に出して


「ロゼ‼ちょっと上がって来い‼」


さっきまでの落ち着いた声とは打って変わって大きな声を張り上げた。ビクッとクランの両肩が持ち上がる。


「は~い」


しかしそんなバイルの大声には馴れているのか軽い感じの返事が返ってきて少しすると階段を登って来る足音が聴こえてきた。バイルはドアを閉め、元いた場所に戻ると腰を下ろしてクランに話しかけた。


「俺の管理しているゲストハウスを使うといい、ゲストハウスと言っても小娘共がシェアしてるんで五月蝿うるさくて落ち着けないかもしれないが1つ部屋が空いてたはずだ」


「えっ!?で....でも」


「いいんじゃない?蒼月祭前はホテルはどこも満室でなかなか見つからないし、何かわかった時に動きやすいだろうしさ」


ダンテがそう言い終わると同時に事務室のドアが開いた。


「なんですかぁ~?」


ノックもせず開かれたドアから顔を覗かせたのは、モデルのような顔立ちにハニーブロンドの髪をボーイッシュなショートヘアーにした女の子で、さっきまで下でセカセカと働いていたウェイトレスの一人だ。


「お前らの住み着いている家に1つ空いてる部屋があっただろう?2~3日程この子が使う、案内してやれ」


バイルの言葉にロゼがクリンッと大きな瞳をクランに向け、顔と顔がくっつきそうな距離まで近寄ってきて微笑んだ。


「あたし、ロゼ、よろしくね‼」


「えっ‼あっ...はい、クラン・フレーミングです。よ、よろしくお願いします」


そう言うとロゼはおもむろにクランの手を取って引っ張った。


「えっ!?えっ!?」


「行こ‼あたし達の家を案内してあげる」


「よし、じゃあ、女子寮を案内してもらってから中心街に向かうとしよう」


ロゼに手を引かれ戸惑うクラン、その後をさも当たり前のようについて行こうとするダンテ、しかしその肩に重量感のある手の感触を感じてゆっくりと振り向いた。


「....お前は残れ」


バイルの冷やかな目が光る。慌てて向き直るとロゼに引っ張られて部屋を出て行くクランの困惑する視線と一人取り残され切なそうなダンテの視線が一瞬重なったが扉は閉ざされた...


「....はい」



 店の前の道をクランとロゼが歩いて行く。二人の去った部屋で先に口を開いたのはダンテだった。


「それで、なんで協力する事にしたんですか?婚約者だから襲ってこないなんてセリフを真に受けた訳じゃないんでしょう?」


「....少なくとも嘘は付いていなかった。それだけだ。隠している事は多く、闇は深そうだがな」


「何言ってるんですかぁ、隠し事があるのはお互い様でしょう」


「...フンッ、まぁいい、それはそうと10日程前から街にお前の昔馴染みが来てるぞ、もしかするとそれもこの件に関係しているのかもしれんな」


「昔馴染み?誰です?」


「2人は聞き覚えのない名前だった。恐らく新顔か小者だろう。だがそいつらを従えてきたのは【ロギアス・トロア】だ」


「ロギアス....確かに久々に聴く名前だなぁ、まぁ何にせよ係わり合いたくないヤツですね...謎の少女に反逆者おまけに闇職人イベルドか、どうです?今回の件かなりヤバそうですか?」


「...俺はもう竜騎士じゃない、そこまでの危険を感じ取る感覚はもうないが、これまでの経験を元に言えば、かなり最悪の部類だろうな」


「やっぱりそうですよねぇ」


「.....」


「.....」


沈黙が部屋を満たしていく、考えても何か進むわけではない。そんな事は二人共分かっていた。今何をすべきかも


「さてと、それじゃあ俺は彼女を連れてセントラルエリアにでも向かいますよ」


ゆっくりと扉に向かうダンテに後ろからバイルが告げた。


「ダンテ、あまり気を許し過ぎるなよ。あの娘は目的を達成する為なら恐らく手段を選ばん、そんな瞳をしていた」


ダンテはドアノブに手を掛けたまま振り返る事なく無意識に微笑んだ。


「あの子は大丈夫ですよ。確かに今は瞳の奥に闇を抱えている。でも分かるんですよ。堕ちる所まで堕ちた俺にはね。あの子は決して光を捨てない」


「.....」


そう言い残してダンテは部屋を後にした。
















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