表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
End Of Days  作者: Van
間章
21/25

″その一瞬に...″

 真っ直ぐ上昇して来るダーリアに向かって白く揺蕩う竜は姿を竜から空一面の光の粒に変えて雨あられと降り注いだ。しかし、ダーリアは角を青白く輝かせ、その無数の光の粒を衝突寸前に細かい粒子へと変え、空中に拡散させていく【エネルギー分解】ダーリアはあらゆるエネルギーに干渉できるという特異性を持っていた。危険を察知したのか、降り注いでいた光の粒は複数の集合体を作るとダーリアから遠ざかりながら段々と1つにまとまっていき流動する歪な球体となった。それを追うダーリア


「シェルダン、あの竜は本体がものすごく小さい、私のイクシオンやあなたの今持っている高周波ブレードでは触れただけで致命傷になるかもしれない」


「……ではどうすれば?」


「まず本体を包み込んでいるルーンを今みたいに全て分解する。それで剥き出しになった本体をあなたが捕まえなさい」


「そのあとはどうするんです?傷を付けられないのなら【血合わせ】できない」


「本来【血合わせ】は血と血を混ぜる事により竜の記憶をルーンと共に相手に流し込むものそして竜もまた相手を深く知り【魂絆リム】が生まれる」


「ええ、それは知ってます」


「だから、ダーリアの能力ちからで竜のルーンだけをあなたに流し込む」


「……」


「おそらくそれであなたは竜の記憶を見る事が出来る。でも竜はあなたを知る事が出来ない」


「どうなるんですか?」


「精神の世界で竜と向き合う事になると思うわ、竜騎士ドラグーンは皆そうして来たけどあなたの場合は少し違う」


「何が起こるか分からないという事ですね」


「ええ、今なら辞める事も出来るわよ。どうする?」



      ───“シェルダン”───



(……姉さん)


姉の声が聞こえたような気がした。後ろを振り返ったリシュにまた姉の姿が重なる


「……やります。何が起こるとしても」


「…そう、わかった」


そう言って前を向くリシュの顔がどこか嬉しそうに見えた。ダーリアを操るリシュの後ろ姿を見つめながらシェルダンは決意を固め拳を握りしめた。



 正直、シェルダンには諦めてもらいたかった。あまりにも危険が大き過ぎる。でもリシュにはそれを伝える事が出来なかった。諦めないだろうと分かっていたからだ。かつてウォルマが諦めなかったように、リシュに出来る事はシェルダンを本体に接触させるまでのサポートと不安そうな表情を決して見せないようにする事だった。だからこそ目の前の竜に集中し、一切の表情を消していた。


『クゥァァァアアアアアアア━━━━━』


前を移動していた球体が竜の姿へと変わり、その揺蕩う翼を広げて後ろへ向きなおると3つの【火球弾ファイアボール】を出現させてダーリアに向けて放った。ダーリアの角がまた青白く輝き始めるが───


「───!!!!」


力一杯リシュが横に手綱を引く、ダーリアが身体を傾けるその脇を伸びてきた光る角が掠め通り翼の代わりとなる大きな鰭を貫いた。


『シャァァァアアアアア━━━━━━』


呻くダーリアを遅れて来た火の玉が襲う。咄嗟に張ったリシュの【女神盾デアスクード】が2つの火の玉を受け止めたが残り1つが直撃した。爆発がリシュとシェルダンを巻き込み、ダメージを負ったダーリアが落ちていく、リシュは必死に手綱を引き叫んだ。


「ダーリア━━━━!!!!」


体勢を立て直そうとするダーリア、そこに四方から光の粒となった竜が迫る。リシュは魔法を使おうとしたが、それよりも速く光の集合体がダーリアを呑み込んだ。



 空へと戻り球体となっていく光の集合体、遥か下方で、煙に包まれたダーリアが空間から吐き出され木々の枝をへし折りながら大地へと落ちて、そのままリシュとシェルダンを投げ出して地面を転がる。


「…シェルダン……大丈夫?」


「……はい…なんとか」


高温の光の粒に焼かれながらもリシュは【瞬間移動テレポート】を発動させていた。だがこの魔法はかなり難易度の高い魔法の1つで、そんなほいほいと使える物ではない。対象が大きくなればなる程、使用するルーンの量が多くなり、全体を正確に捉える時間も掛かる。その上、移動先をしっかりと把握してないと何処に飛び出すかわからないと緻密な計算と集中力がいる魔法なのだが、リシュには移動先を固定する時間はなかった。ダーリアの全体を捉えると同時になりふり構わずに発動させた。その結果がこれだ。



 ダーリアの元へ向かうリシュとシェルダン、ダメージと火傷をおってはいるが戦闘服バトルクロスのお陰で致命傷とはなっていなかった。


「ダーリア!!ダーリア!!」


駆け寄ったリシュが必死に呼び掛けるとダーリアがゆっくりと頭を持ち上げた。ひどい傷と火傷をおっているがなんとか大丈夫そうだ。光の粒は上空で蠢き流動しながら歪な球体となり、リシュ達を狙っていた。ダーリアが上体を起こし、傷付いた鰭を広げた。


「ダーリア…もう一度だけ飛べる?」


『シャァァアアア━━━━━』


リシュがダーリアに跨がりシェルダンを引き上げる。


「チャンスは一度しか作れないわよ」


「それで十分です」


シェルダンが迷いなくはっきりと答えリシュも覚悟を決めた。


「行くわよ!!」


リシュの合図でダーリアが舞い上がった。



 下の動きを感知した球体が5つの【火球弾ファイアボール】を放った。それを【加粒子砲撃パーティカルシェリング】7つの閃光が撃ち落とす。衝突で上がった爆炎を突き破り2本の光る角が迫る。


「…気付かれたみたいね」


エネルギーには波長と性質がありダーリアはそれを読み取る事でその(・・)エネルギーに干渉する。つまり同時にいくつものエネルギーには干渉出来ないのだ。光の竜はそれに気付き違うパターンの攻撃を組み合わせて襲いかかって来ていた。リシュとダーリアが駆け出しの竜騎士ドラグーンならもう勝負は決していただろう。だがこのコンビは歴戦の雄でありダーリアの特異性を見抜かれる事など今までに何度もあった。なので対策は勿論、更にリシュは光の竜の行動パターンなども戦いながら分析していた。それが勝敗を分けた



 迫る2本の角をギリギリまで引き付けてリシュが【瞬間移動テレポート】でかわして光の竜の傍に出た。そこへ、先の尖った大きな氷塊【氷槍タルジュハルバ】が飛んでくるが、ダーリアの吐いた【火焔地獄ヘルファイア】が全てを一瞬で溶かした。灼熱の炎が空を赤く染めるなか、光の竜は炎が消え去るのを待たず、光の粒の集合体となって四方に別れ、大きく弓なりに急襲してきた。だが、リシュはそれを待っていた。直撃寸前にまたも【瞬間移動テレポート】で回避、かわされた光の粒の集合体はその場で一つとなり流動しながら歪な球体へと姿を変えていく。そこへ【重力檻グラビティケージ】球体のすぐ上に現れたダーリアの背でリシュの瞳がエメラルドグリーンに輝いた。



 球体へと形を変えながら流動していた光の集合体の動きが止まる。そして間を置かず、ボロボロと光の粒が崩れ始めた。ものすごい力で地面へと引き寄せられもはや姿を変える事はおろか形を保つ事さえ出来ない。光の竜は重力の檻に捕らわれ為す術なく落ちていった。ダーリアもそれを追いかけ大地へと降り、螺旋模様のある角を青白く輝かせた。地面へ張り付けられ身動きを封じられた光の粒が次々と細かな粒子へと分解されていく。


「くっ……」


ダーリアも重傷を負っているが、リシュも限界が近かった。既に【女神盾デアスクード】の連発に加え、数回の【瞬間移動テレポート】でルーンも集中力も切れかけていた。それでも重力の檻が途切れてしまわないように必死で魔法にルーンを込める。ちょっとでも気を緩めると意識を失いそうだ。その時


「アービング教官!!あそこ!!アレが本体です!!」


光の粒が次々に崩れ去っていくなか、シェルダンが叫び指差した先にいた本体ソレは、竜というよりもまるで産まれる前の胎児のような姿だった。すっぽり掌に収まる2頭身の全身に頭部には大きな目と小さな鼻と口、かろうじて背中にある不完全な翼と尻尾が竜であることを物語っていた。リシュもそれを確認するとシェルダンに告げた。


「覚悟はいい?檻を解いたら全力で本体へ向かいなさい。残ったルーンの欠片が邪魔して来るでしょうけど、ここで逃げられて体勢を立て直されたらもう打つ手なしよ。分かってるわね」


「はい!!」


返事をするや否やシェルダンがダーリアの背を飛び降りて本体に向かって真っ直ぐに駆け出し、リシュが【重力檻グラビティケージ】を解除する。ダーリアにエネルギー分解されながらも光の粒は押さえつけられていた力から解放され、走り抜けて行くシェルダンに全方位から一斉に襲いかかった。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ