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End Of Days  作者: Van
第1章
2/25

【夢】


王歴おうれき2132年

ベルキア王国 / 王都 ヴァルハン / イーストエリア第8区



 窓から射し込む夕陽が段々と傾き暗がりが増していく小さな病室で少年はベッドで横になる祖母の手を握りしめ、うつ向いて涙を流していた。どうして自分が泣いているのか?なぜこんなに悲しい気持ちで一杯になるのか?少年自身わからなかったが優しく少年の頭を撫でる祖母にはわかっていた。夕陽はもう殆んど沈みかけている。窓から空を見上げると蒼と朱の二つの月が微かに姿を現している。祖母は少年の頭を撫でる手を止めた。ハッとして顔を上げた少年の涙目に穏やかに微笑む祖母の顔が映る。


「ウォルマ、外を見てごらん蒼いお月様が見えるでしょう?」


ウォルマと呼ばれた少年は祖母から顔を外し窓から空を見上げ「うん」と頷いた。


「おばあちゃんはもうすぐあそこに行くの、でもそれは悲しい事じゃないのよ。みんな最後はあの蒼いお月さまに行くの、そしてまたこの世界レヴァリスに戻ってくる準備をするのよ。」


ウォルマは涙を流しながら首を横に振り祖母の手を握る小さな両手にギュッと力を込めた。祖母もやさしく握り返して、微笑みながらウォルマの頭に置いていた手をまたゆっくりと動かした。


「蒼いお月様には女神様がいらしてね、おばあちゃんと一緒にウォルマの事を見守ってくださるの、ウォルマがちゃんと大人になって、おばあちゃんが心配しなくても大丈夫だよって言える日が来るまでずっと女神様と見守ってるからね、ウォルマは一人じゃないからね」


「....うん」


「ウォルマは優しい子、さぁ悲しい気持ちは涙と一緒に全部流してしまってまたおばあちゃんに笑顔を見せてちょうだい、【月の女神アナステラ】様もウォルマの笑顔が見たいはずよ」


ウォルマは笑顔を作ることはできなかったがそれでも祖母を心配させまいと涙を拭い顔を上げて祖母に尋ねた。


「ねぇ、おばあちゃん?」


「なぁに」


世界レヴァリスの神様と月の女神様は違うの?」


「女神アナステラ様はね、イリ.....




  ビィィ━━━!! ビィィ━━━!! ビィィ━━━!!




二日酔いの頭痛で割れそうな頭に音量を最大にした携帯の目覚まし(アラーム)の音が襲いかかる。


「うっ...うぅ~」


【ウォルマ・ゼルキアス】は薄く目を開き、ゴソゴソと携帯を探り当てるとアラームを止めた。手に携帯を持ったままウォルマも止まる . . .


「痛ってぇ....ガキの頃の夢か...少し飲み過ぎたかな」


つかの間ちょっとした違和感と懐かしさに浸るとウォルマはベッドから起き上がり、手のひらで頭を軽く叩きながら目を覚ます為寝室を出てシャワールームへ向かった。


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