第1話 はじめまして女神さま。
遠くに誰かが居て俺を呼んでいる。
……気がする。
俺はゆっくりと目を……開けれない?
でも自分はここにいる。
知覚はできる。
体を動かそうとしても体の感覚が無い。
でもここにいる。
知覚はある。
どうなっているんだ??
声に出すこともできなかった。
「あなたは今、魂だけの存在になっているのです。」
俺の心の中を読んだようなタイミングで声が聞こえた。
気がする。
聞こえたんだ、きっと。
耳は無いけど。
「思いを読ませていただいております。
そして心に直接話をさせていただいています。」
『ちょっとまて、魂だけの存在?
俺が??
どうしてこうなった?
仕事終わって、帰宅途中に本屋で買い物をした。
そこまでは覚えている。
車を運転して交差点で止まった。
そして走り出したときに、ゆっくりとバックホーが倒れてきた?
でもアクセルをふかせば、あのスピードならよけて走り抜けられただろうな。』
「ゆっくりではないですよ?
あれは一瞬でした。
あなたの世界では、確か、危険な時には世界がゆっくりと流れているように感じると言いますよね。
それが起きたのではないですか?
実際は気付いた時には遅かったんですけどね。」
『って、じゃあ俺は死んだのか?』
「そうですよ。
だから魂だけの存在って言ったじゃないですか。」
『じゃあ、あなたは閻魔様?』
「あなたの世界の閻魔様っていうのは……。
こんな可愛い可憐な女の子をあんなひげ親父と一緒にするなぁぁぁぁ!」
あ、殴られた。
魂なのに殴られた。
と言うか殴られた気がした?
痛みはなかったけど。
『俺が死んだのは理解しました。
閻魔様じゃなかったら、あなたは誰です?
まさか冥王とか言いませんよね?
そこに存在しているのは感覚でわかるくらいです。
先ほども可愛くて可憐とか言ってましたが、目も見えないしわかりませんよ?』
「仕方がないですね。」
そう彼女?が言うと俺の姿が知覚できた。
目が見えた。
まず手がある。
足もある。
そして体……。
あれ?
太ってないぞ。
それに裸だ。
しかも半透明。
そして目の前には白い衣に身を包んだ少女がいた。
地面に届くくらいの金色のストレートロングの髪。
髪と同じ金色の瞳。
肌はアルビノなのか真っ白。
身長145センチくらいの小学生女子が立っていた。
「こんなサービス滅多にしないんだからね!」
『可愛い?
確かに年齢を考えれば可愛いか。
可愛らしいって方があうな』
少女は瞬間に顔を赤くする。
「聞こえてるっちゅーの!」
俺は殴られ、世界の果てまで届くかのごとく噴き飛ばされた。