表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/11

プロローグ 旅立ち

週末の金曜日。

俺は仕事帰りに会社の近くの書店ランガーゴーで、今日発売の文庫や単行本を買い愛車に乗り込んだ。


最近はネット通販で本を買う人も多いが、店舗特典とポイント付加があるので俺は毎回、本やゲームなんかはその店で買っている。

最近は毎月のように異世界物やMMOのネット小説が単行本化されたり、漫画化、アニメ化されて諭吉さんが数枚飛んでいくことさえもある。


『この時代に自由に金を使える社会人で良かったとつくづく思うわ』


そんなことを考えながら、俺は家路へと急いだ。


急いでいると、案の定と言うか信号で止まる。

ここは二つの国道が十字路を作る大きな交差点で、左折レーンも二車線ある。

俺は、ここを左折するために一番左側の車線に並ぶ。

夜9時を過ぎているのにもかかわらず車が多い。

俺の前にも数台止まっている。


急いで帰るなら、その隣の二番目のレーンに並ぶのだが、そのレーンの一番前にバックホーを載せたトラックが止まっていた。

さらにその奥のレーンには海にナンパにでも行くのか、爆音を響かせた車が一番前に止まっている。


『絶対に左のレーンのが早い』


そう思って一番左のレーンを選択した。


この選択が、俺の運命を変えることになるとは思わなかった。


信号が青になる。

俺の前方一台目の車が走り出す。

二車線目のトラックも走り出した。

青になったことに送れて気づいたのか、三車線目の爆音を響かせた車が走り出した。

あろうことか左に曲がりながら。

 

トラックの運転手はその車に気づいていなかったのか、二台はぶつかり合った。

爆音を響かせていた車がトラックの前輪と後輪の間に突っ込み、トラックの後輪がその車のフロントに載った。

俺はそこまでを確認し前の車に続いた。


『あの車はトラックを抜くつもりで三車線目に並んだのか』


止まったトラックの脇を抜けようと、前の車に続いた。

その時。


「え?」


思わず声を出していた。

ゆっくりと斜め前からバックホーが倒れてきたのだから。

そして俺の記憶はそこで途切れた。



次の日のローカル新聞の朝刊には、

「昨夜、九時過ぎ、A国道とB国道バイパスの交差点にて事故発生。

 事故車に積載されていた工事車両が倒れ、巻き込まれた社会人一名が死亡。

 無謀な追い抜きが原因か。

 警察は事故の原因究明を進めている。」


と記事が載ったことなど俺は知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ