大したことないプロローグ
少し、ほんの少し昔の話をしよう。
ある世界のある国のある場所で、3つのくっついた市があった。
そのちょうど中間地点で、ある七人の子供達が出会った。
なに大して特別なことじゃない。ただその子らの親達が会わせただけの話だ。
さて話に戻ろう。そのとき出会った子供達は、幼くも賢い者やすぐさま何処かに飛び出していきそうな者、年相応に大人しい者や泣き虫な者と、実に多彩な子供達だった。
子供達は一人の少女を中心にその距離を縮め、その後も親を介し集まっていた。
小学校に上がってからもその関係は続き、リーダー格だった少女が皆を率い、賢い者が勉強等の世話をした。誰かがいじめられたときは、リーダー格の少女が単身乗り込み拳一つで解決した。
子供達は固い絆で結ばれていた。互いが互いを支える。そういった関係だった。
しかし中学に直前、ある異変が起こった。
リーダー格だった少女の様子がおかしくなったのだ。
子供達は賢い少女を中心に、その少女を元に戻す方法を探した。
しかしそんなものなど子供の手でそうそう見つかるわけもなく、大人しかった少女が彼女達から離れていった。
それをきっかけとしてか、一番年上だった少年が高校入学後、姿を眩ませた。
その翌年、1人の少女が事件に巻き込まれた。
1人の少女は、痛ましい姿を2人の少女に見せた。
1人の少女はその少女を心配し、賢い少女の下を去った。
賢い少女は1人になりつつも、リーダー格の少女を元に戻し、再び皆が集まるために方法を模索し続けた。
リーダー格の少女をきっかけに、少女達はバラバラになってしまったのだった。
唯一、リーダー格の少女がおかしくなった原因を知る大人しい少女は、そのことに胸を痛めるのだった。
テレビに出ている人間は、雲の上の人の様だと思うことがあるだろうか?少なくとも俺は思う。
『………次のニュースです。単身留学していた女子高校生………』
こんな同年代の人間でも、テレビに映っているだけで別世界の人間だと感じてしまう。きっと才能に恵まれ、それに驕ることなく研鑚してきたのだろう。他人事だろうが、ご苦労な事だ。
小学校中学校が一緒で、高校まで一緒の同級生が何人いる?学校が離れるだけで疎遠になる奴らは多い。他校の奴らと関わるなんてそうあることじゃない。それだけで生涯一個人に関わる人間は限られてくる。こんな大舞台に上がるようなご立派な人間に関わること等ないだろう。
「……アホくさ」
簡素な朝食を済ませ、登校の準備を済ませ、朝っぱらから学校生活での人間関係を考える思考を止める。
「さっさと朝食食って出よ」
俺はトースターのパンが焼きあがるのを待ちつつ、ニュースを流しているテレビのチャンネルを変えた。