出勤06
ダンジョンもそろそろ終わりに近づいてきました。
よかったら読んでやってください。
よろしくお願いします。
社長代理である佐藤明は朦朧としている。
「お嬢、社長代理は!?」
明の頭に触れ確認する有村
「大丈夫です。軽い脳震盪です」
かすかに意識のある明に声をかける。
「しっかりしてください!ダメージはありますが軽度ですよ!
今から治療しますから待ってください」
明に話かける有村は回復呪文の詠唱を始める。
その間、源蔵はゴーレムとの戦闘を再開し火花を散らす。
腕を斬り落とし多少余裕があったが
敵の生命力と頑丈さが高い為、決定打にかける。
通常であれば共闘、支援があるがそんな余裕もなく時間が過ぎる。
しびれを切らす源蔵が有村に救援を求める。
「らちがあかん! お嬢まだか!?」
有村は明に回復魔法を継続している。
すると、明の首にかかるタグが光り出す。
タグに呼応したことで明がゆらりと立ち上がる。
「社長代理!?」
有村は声をかけるが一切反応せず、ゴーレムのいる場所へと向かう。
こちらの状況を知らず、源蔵は戦いぼやいている。
「まったく……しつこいの~ 大人しく、駆除されい!」
ゴーレムの隙を伺い構えている。
源蔵の横を明が通り過ぎる。
「ん?社長代理?危ないですぞ?」
源蔵の警告にも反応せずのろのろとゴーレムのもとに到着する。
ゴーレムは領域に入った明を再度、サーチするよにこちらを見る。
そんなゴーレムの行動など気にせず
明は右腕を上げ手のひらを広げる。
すると手のひらから巨大な光の柱が伸び出現する。
その光りの柱はゴーレムの身長を上回りほど伸び、やがて止まる。
ゴーレムが光りの柱を見上げるかたちになる。
明はゆっくりと右腕を降ろす。
光りの柱も腕の動きにつられてゴーレムのもとへとたおれる。
光りはゴーレムに接触するとバターをとかすように、真っ二つに切断される。
二つに分かれた体は音をたてて崩れていく。
2人はその光景を見て唖然とする。
「なんじゃあれは……」
「想定外です……」
源蔵、有村は明のもとへより、声をかける。
「社長代理!見直しましたぞ!こんな隠し玉をもっとるとは!
さすが社長の息子! ん?社長代理?聴こえておりますかな?」
有村は明のほっぺをつついている。
「返事がない……気絶しているようです」
源蔵は頬をかく。
「まあ、今回はよしとしますかな」
俺はさっきまでダンジョンで
ゴーレムと対峙していたはずだがあたりは真っ暗だ。
声が聴こえてるがよく聴き取れない。
体のいうことはきかず何かに操られるような感覚がある。
無意識で動いているのか?
すこし不安になる。
そんなことを考えていると目の前に光が出現する。
それに気づいた時には光に包まれ真っ白になる。
「ぶはっ!!」
呼吸を忘れたように意識を取り戻した俺。
なぜか右腕を前に出した姿勢でたっていた。
「なにこれ?」
目の前にはゴーレムであったものが残骸となって積まれていた。
「これ、誰がやったの?」
源さん、有村さんは俺を指さし一言。
「「社長代理」」
2人はみごとにシンクロした。
「俺?マジか!?」
驚き、そして生きていることに感謝する。
源さんは倒したゴーレムだった残骸を眺める。
「あとは原因となる幻魔石を回収ですな」
「幻魔石?」
「幻魔石はダンジョンを創る源となるものです。
そしてその石を守る為、ダンジョンの主に守護させています。
なぜ発生するかは今だ解明されていません。
その為、駆除を行い石を回収調査も行っています」
有村さんは淡々と説明する。
「この石って危なくないの?」
「一度、本体から離れた石は安全のようです。
今のところは……」
最後の言葉は気になるところだが今はスルーしておこう。
「じゃ~みんなで探そう~」
突然、俺たちの目の前にアリスが現われる。
「アリス、お前どこにいたの?」
「涼ちゃんのポッケの中~」
「たしか俺のお守りって…」
「だって~私支援しかできないし~
前衛になっちゃうし無理っしょ」
鼻で笑われ、ドヤ顔で答える。
イラッとするのは俺だけだろうか?
有村さんは手を叩く。
「はい、はい。もうこの話は終わりです。
回収しにいきますよ」
話はそこで終わり、ゴーレムの残骸に足を踏み入れ幻魔石の探索作業に取りかかる。
ゴーレムの残骸は主に砂や石の集まり、その砂を掘り、岩をどけ探索は継続されていく。
そして、1時間ほど探索が経過した時にアリスの声が響く。
「あったよー!幻魔石!」
みなアリスのもとへかけよる。
俺達は幻魔石を中心とし囲うように見る。
幻魔石の大きさはソフトボール位のサイズ。
色は紫で水晶のように怪しく光っている。
有村さんは躊躇なく石を拾い、布製の袋に入れる。
「これで依頼完了です。」
「つかれた……」
「じゃあ帰りますかな」
あとはこのダンジョンを脱出するだけ……
そういえばどうやって帰るのだろう?
確か俺たち上から落ちてきたはず……
「もうそろそろですね」
「そろそろじゃな」
そろそろ?2人の言っていることに
嫌な予感しかしない……
いやそれしかない……
次はなにが来るのか……
ダンジョンは無事帰還するまでがダンジョン。
俺は無事に帰還できるのだろうか……