出勤04
そろそろダンジョン終盤にさしかかる感じです。
よかった読んでやってください。
穴に吸い込まれ
現在、落下中……
となりで源さんは横たわった体勢で落下。
その近くにいる有村さんは正座し、メモをとり落下。
命綱の無い無謀なダイブ?いやトラップ…
そんなことを考え、涙目になりながら見えない底を凝視する。
「このあとどうなるの?どこまで落ちる?」
有村さんが混乱している俺の質問に答える。
「最下層まで落下する予定です、準備しておいてくださいね」
いやいや、そんな余裕はないです!
だって落下してるんですよ?準備?なにそれ?
慣れてもらう為?慣れるレベルじゃないでしょ?
「やばい!やばい!」
焦る俺を見る有村さんは呪文を唱える。
すると体のまわりが一瞬光り、落下する速度が落ちる。
シャボン玉のように緩やかに落ちていく。
「あれ? これは?」
源さんが魔法の解説する。
「速度軽減魔法、お嬢の得意な魔法の1つですな。
基本は敵にかけて鈍らせたりするもんですが
空間、物質などにも応用で使える魔法ですな」
アリスがしゃしゃるでる。
「アッキ―もしかしてこのまま行くと思った?
ププッ超恥ずかしい~」
俺は反論する。
「そんなの無理だろ!こんな展開予想しろと?」
有村さんも話に参加する。
「そうですね。これくらいのことは予想しておいてほしいところですね」
真剣な目でこちらに視線をおくる有村さん。
目をそらす俺。
源さんとアリスはそんなやり取りを笑っている。
「そこの2人もふざけないように」
目は合わさず、低い声で有村さんは2人に告げる。
アリスは源さんの背中に隠れ、源さんは装備の点検を始める。
有村さんは今後の作戦を伝える。
「先ほどもいいましたが、今回は社長代理に慣れてもらう為、
後方で待機、余裕があれば支援してください。
源蔵さんと私は前衛で」
テンションさげながら答える。
「はい……善処します」
気合が入る源さん。
「ガッテン!」
アリスは不満な顔をして有村さんにつっかかる。
「涼ちゃん、私は~?」
アリスは有村さんの肩にとまる。
「アリスさんは、社長代理のお守りをお願いしますね」
「わかったーアッキ―のことは任せて!」
有村さんの話は終わり、最下層の地面がうっすらと見えてきた。
最下層に着地した俺たち。
地面は砂で覆われ足場が悪く、所々に岩場がある。
この場所にダンジョンの主がいるが、姿が見えない。
壁や天井から、不規則に砂が落ちる音だけが響く。
俺たちは周りを警戒し、ダンジョンの主を探す。
「いないね。これはいったん帰還したほうが……」
周りを伺う有村さんが答える。
「大丈夫です。ちゃんといますから」
俺が大丈夫じゃないんですが……
突然、地面が揺れ始める。
地中から何か這い出るように砂が波打つ。
「皆さん、きますよ」
敵が出現するのを待つ。
そして俺は息をのみ、額から汗が流れる。
その瞬間、俺の後ろで砂が盛り上がり、砂柱が上がる。
「え?」
パーティ全体に大きい影が浮かび上がり姿があらわになる。
そこには巨大なゴーレムが現われる。
機械のように動くゴーレム。
感情がなく、赤く目が光りこちらをサーチしている。
その姿を眺めてると後ろから声が聞こえる。
「バックアタックされたな」
「そうですね。バックアタックされましたね」
落ち着いた声で感想を述べる2人。
慌てるアリスは俺の耳元で叫ぶ。
「お掃除開始だよ!」
その声が頭に響き、俺はゴーレム退治に思考を切り替えることになる。