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嫉妬
俺は家族が苦手だ。世界中で一番わかりあえない人達が身内だと思っている。似たような血で似たような景色を観てきたのに、頭の中は別世界。歳を重ねれば重ねるほど理解できなくなってきた。
そんな身内の一人の姉がある一冊の本に出ている。しかもフルネームで。最初のページに。
でもその本の主人公ではない。主人公と同じ部活という事で登場している。
なぜフルネームで登場していたのかは分からない。
はっきり言って羨ましい。どんな形であれ、書籍に名前が載るのは羨ましい。
俺も一度週刊誌に名前が載った事がある。別に不倫とか悪い事ではない。文春でもない。
取材と言えない様な取材だったにも関わらず、俺の言葉が表紙を飾っていた。要はインパクトのある言葉を吐いてしまったのだ。記者の言いように解釈をされて表現がちょっと変わっていたけど。
いつか、自分の名前と自分の言葉を自分の思った通りに表現できる日は来るのだろうか。
死ぬ間際ですら、小さい見栄のために言葉を選んでしまいそうだが……




