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稚拙


さっきまた死のうとした。


だんだんトリガーを引くための力が弱くなってきた。



方法は、書くのも恥ずかしくなるほどの稚拙なやり方だ。



頭では無理と分かっていながら、でもどこかワクワクとしていて、自殺という行為に希望を抱き合わせていた。




別に自殺作品として評価を下すわけではないが、伊藤計劃の『ハーモニー』のミァハにああ言われたらついていっちゃうよね〜。



日本は銃社会ではない。


持つことすら罪になる。今の日本に銃が蔓延したら。自殺を行使する時の相棒として大人気でしょうね。



死ぬための方法が少ないという事は、生きる事への強制力が強いという事。



日本がもし内乱や紛争が多発している国であれば、自殺は減るだろう。生き物としての命を渇望する力を強めてくれるはず。


だが、悲しい事にこれらは妄言で妄想で、想像で願望でしかない。



明日はどう死のうか。日々眠りにつく前に想像する。



最近は、特に今日は。全てが苦痛に変わった。暖房で感じる暖かさも、舌の上で感じる美味も。全部。



頭の途中で信号を切り替え、快楽を苦痛に変えてくれる。



死のうと始めた行為も、自らの手で制止させている。粗い呼吸音と涙だけが感情を表現している。



小説という言葉遊びを初めて、だんだんと自分の脳が分かってきた。自らで精密検査をしているような感覚。



自分の病的な箇所を診て、自分で驚き安堵して、悩む。



自らの脳の一部を切り取り、言葉に変換して登場人物達の行動理由にする。作品の中で語るのは一定の期間内でしかないが、俺の知りたいのはその前後。何をしたりされて、その行動になり、結末はどうなるのか。小説は俺にとって、病院にある検査機械と同じ。



そして、知れば知るほど解らない。解らない暗い部分が大きくなる。それを照らす為に俺はまた機械を使って解明しようとする。



それの繰り返し。



頭の中で拡がる妄言は仮想だけど、身体で感じる苦痛は現実だ。



耐えられない。



痛みを求める頭と拒否する身体。最低でも俺の中には二人の俺がいる。



酸素を取り入れる穴を塞ごうとする思考と、阻止しようとする筋肉。


どちらも自分で、自分じゃないみたい。



人は三つの穴を閉じるだけで死ねる。鼻穴と口。


たった三つでいい。



塞ぐために使用した両手は、すぐに拒否する。手が、筋肉が、神経が戸惑っている。苛立っている。涙という形に変えて身体からの悲鳴となる。





どうしたら死ねますか?

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