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無価値
無価値、という言葉はなかなかに矛盾している。
価値、というのは人それぞれ違う。
お金、愛情、仕事、生活、安定、夢。
様々な事に価値を見いだし、新たな価値を創造していく。
だけど、無価値というのはどんな人間であれ、全く同一のものだ。人の数よりは少ないが、定義の種類もそこそこ存在している。
死ですら、ひとつではない。
だが、無価値はひとつだ。価値を感じるために無価値というものは存在している。
言葉は人が造り出したもの。無価値な人間はいる。俺の様に。
今さら価値を求めようなどとは思わない。
無価値としての価値を、俺は自分に与える。これは誰からか与えられたものじゃない。この無価値は俺のものだ。俺だけのもの。
やっとだな。やっとたどり着いた気がする。
だが、この無価値は誰かの価値になってしまう。
それはなんだか悔しいな。




