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明日休みだから

ずっと前に途中で止めていたものを少し直して続けてしまいました。

 

「私のこの、…」の方もクリスマスを迎えたいと思います。


 前に読んでくださってた方ありがとうございます。

 またすぐ電話が来てももう出ないし、と思いながら、やっぱり少し気になってしまうのを避けるために風呂に入る事にする。


 なんだろう今日のこの一日…と、湯船にざぶんと浸かりため息をついて思う。

 結構疲れた。

 今日だけじゃない、この1週間目まぐるしかったよね。全部キダカズミのせいだと思う。


 あ~~~…サカモトナツミとの件をアコちゃんに話したい!聞いて欲しい!アコちゃんとスズキ君との事がなかったら、キダカズミからの電話なんかそっちのけで、あの後すぐにアコちゃんに電話していたはずなのだ。

 でもアコちゃんからは、スズキ君に告ったって教えてくれた後はラインも一つも来ないし、教室に来てもスズキ君メインで私にはよそよそしい感じ。それで私からもあの後何も出来ていない。良くない感じだ。

 どうしよう。このままアコちゃんとの溝が広がって、クラスも違うから話もしなくなるようなことになったら…。実際、アコちゃんがスズキ君に告った事はものすごくショックなんだけど、それでもやっぱりアコちゃんの事は好きなのだ。アコちゃんの邪魔をして嫌われたくはない。

 中学1年の、入学した直後の時、他の小学から来た子たちとなかなか打ち解けられない私にアコちゃんが声を掛けてくれて、自分の仲良い子たちとも一緒にいろいろ話をしてくれた。1年の山の合宿の時も、2年の修学旅行の時も、それからこの高校を受験する時だって、アコちゃんがいたから楽しかったし頑張れた。面倒な事や嫌な事もあったけど、アコちゃんと話すことでと流したり乗り切れたこともたくさんあった。

 私の目の前で、スズキ君がどんどんアコちゃんと仲良くなっていくのを見るのはつらいけど、それでもアコちゃんとはずっと仲良いままでいたい。

 アコちゃんは私の事、今はどう思ってるんだろう。


 あ~~~…アコちゃんとスズキ君の事も誰かに話したい。誰かに相談したい。でも中学の時の友達に話したらマズいし、高校ではまだそんなに喋れる人がまずいないし、誰にも話せないからモヤモヤする。自分の中だけで消化できないのに。こういう時お姉ちゃんか妹がいたら良かったのにって思う。


 キダカズミは相変わらず話をコロコロ変えるし、人の話聞かないし、聞いてるって言いながら、人の忠告を笑うし喜ぶし。

 だいたい校長室に侵入してクローゼットの中見ないで、なんて普通の高校生男子に言う言葉じゃないけど。仕方ないよね。普通じゃないもんキダカズミだもん。

 あのクローゼットの中は確かに私でも気になる。だってフクロウが中で羽ばたく音がしばらく聞こえたのだ。外見だけクローゼットの形をした広い飼育小屋なのかもしれない。…もしかしたら!ナルニア国物語みたいに別の世界に繋がってたりとか…

 まあ、フクロウの世話の順番が回って来たらわかるだろうし。…そうか、それまでは我慢したらってキダに言ったら良かったのか。


 フクロウの世話というか、フクロウに話しかけるんでしょう?話してる間、フクロウは大人しくしていられるのかな。急にバサバサ暴れてきたり,くちばしで突かれたりしたら怖い。

 その係の順番、スズキ君と出来ないかな。同じクラスだから一緒に出来るよね?アコちゃんの事は気にかかるけど、スズキ君と一緒だったらいいな。…スズキ君は何をフクロウに話すんだろう。

 そう思いながら、もうアコちゃんがスズキ君に先に告ったんだって事は頭から離れないし、二人の距離が前より近くなってるのが見てとれるから、スズキ君の事が前より遠くに感じてしまっているのも事実だ。


 ザバッと湯船から出て髪を洗う。

 髪を洗いながらも取り留めなくいろいろ考える。

 私の髪型をキダカズミが可愛いって言った。括っても括らなくても可愛いって言った。私と学校行きたいから行ってるって、自分が一緒にいたいんだってサカモトナツミに言ってた。今思ってもちょっと胸がキュッとする。スズキ君がまだ好きなのにキュッとするのだ。

 …このお風呂入ってる間に連絡またサカモトナツミから来てたらめんどくさいな。


 わさわさと髪を洗いながら自分の胸を見て、キダカズミが言っていた事を思い出してしまう。

 グラビア写真見た時に、私でそれを想像するってバカな事言ってた。

 ちっちゃいのにな~~~。

 ていうか、実際にこの胸を見たら、さすがにキダカズミをガックリきて、二度とそんな妄想しなくなると思うけど。


 バカだなあ…。

 ほんとバカなんだからキダカズミ。

 明日休みだからって、どこか行こうって言ってたけど、結局その後の約束なんてしなかった。校長室のクローゼットの事言い出して。


 ゴシゴシゴシゴシ…今度は体を洗う。

 ぐだぐだいろいろな事を考えるから、いつもより強めに洗ってしまう。そしてもう一度湯船に浸かるが落ち着かなくなって来て、すぐに出て、そのまま風呂から出てタオルできちんと拭く間もなくパンツとキャミソールだけ着て急いで2階へ上がった。


 スマホを見るとやっぱり来てる!

 キダカズミとサカモトナツミとそしてアコちゃんからライン。

 アコちゃんから来た!良かった!…けど怖い。

「モトちゃんごめん

 ごめんていうの変だけど

 リョウ君と明日映画行くことになった」

 わ~~~~…

  そっか映画に行くか…

  これは…「そっか」以外なんて送るの?羨ましいとか残念だとか悔しいとか付け足せないでしょう何も。


 映画かあ…いいなあ!もう付き合う気満々じゃんスズキ君。みんなの前で名前呼びされた時にも恥ずかしがってたけど、ちょっと嬉しそうでもあったよね。早いなあ。もうちょっと友達付き合いすればいいのに!

 悔しいし羨ましいけど、こうやってちゃんと教えてくれるのは、アコちゃんも私と仲悪くなりたくないって思ってくれてるんだよね?…でも「そっか」以外なんて送ればいいんだろ。「何観に行くの?」もおかしいし。恋愛映画とかだったら結構イヤ。


 いったんアコちゃんへの返事はおいておいて、パジャマにしているグレーのスエットの上下を着てからサカモトナツミのラインを開ける。

「今度二人でゆっくりしゃべりたいわ木本チサ」

いやあ…今日のはラインだったから良かったけど、実際二人で会って話すとかは困る。これも返事困るな…。無表情のウサギのスタンプ送ったらムカつかれるかな…なんんだろう…「またね」が正解?正解じゃないよね。っていうか、正解なんかないでしょ?本当のところ「キダカズミと二人でしゃべればいいのに」って思ってるよね私。


 いったんサカモトナツミもおいておいて、キダカズミのラインを開ける。

「明日10時に迎えに行くけど」

「なあ風呂入ってるん?」

「図書館行きたい」


 キダカズミが図書館?

 なに?本にイタズラでもする気?って思ってしまう。

 今のキダカズミなら図書館に行って普通に勉強するのかもしれない。普通に読みたい本とかを探すのかもしれない。 

 でも。キダカズミが図書館?て思ってしまうよね。それはもちろん小学の時を知ってるから。


 続けてまだキダカズミから入っている。「木本はどっか行きたいとこある?」

 キダカズミとって事でしょう?

 まだ続いていて、「か、うち来る?」って、キダカズミの家に?確かに、ギター聞かせたいって言ってたけど。

 それで「まあ1回迎えに行くけどな」って。

 わざわざ私を迎えに来てくれて自分のうちに連れて行ってくれようとしてる。


 なんか良くわかんないけど、これって普通に付き合ってる感じの言い草じゃないの?

 んんんんん~~~…と唸りながら、「明日は用事があるからごめん」と送る。

 キダカズミの事が嫌なんじゃない。好きだと言ってくれてるのにもったい付けてるわけでもない。これはキダカズミの性格なんだろうけど、それでも急激に距離を詰めすぎだ。キダに合わせていたら、いつの間にか誰から見ても付き合ってるみたいな感じになって、その後また急激にキダの熱が冷めて、別の物事や女の子に気持ちが行った時に、本当に私、『あれっ!?』って感じになると思う。

 高森先生が『流されないように』って言ったのはそういう事なんじゃないかな。そういう事だよきっと。


 でも、『どっか行きたいとこある?』って聞いてくれたのになキダカズミなのに。

 『うち来る』まで言ってくれたのにな…

 無下に断りすぎなんじゃないの私。何様なんだろ…。好きだって言ってくれてる相手に対して。…キダカズミだけど。

 いや。いやいやいやいや。休みの日まで会ったら本当に付き合ってるみたいだから。と、葛藤する私だ。


 が、キダカズミからすぐに返事があった。

「その用事は何時から何時」


 今、断って悪かったなって思いかけてたのに、これだ。

「なんで?」と私も速攻で送ってしまった。

すぐに既読になった。

 けれど、その後返信は来ない。


 

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