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するだろ

 「いない」とニシモトに冷たく答える私だ。

ニシモトが、私たちが二人で帰っていたことを面白おかしくイケダに話したらめんどくさいな。

「冷てえな、ちょっと考慮はしろや」と笑うニシモト。

「あ、じゃあ私ここで帰るから」と言うと、「は?」と言うタダ。

二人でゆっくり話せばいいじゃん。

「なあなあニシモト、」とキダが言う。「お前もグラビアとかAV見た後、自分の好きなやつに置き換えていろいろ想像するよな?」

「「はあっ!?」」とニシモトと大声を出してしまった。

こんな道の真ん中で何言い出すんだと驚く私と、ゲラゲラ笑うニシモト。

「いや、どうかな~~」と、わざとちょっと真面目な顔をして見せる。「オレはグラビアはグラビアで、好きなやつは好きなやつで想像するかな。いや、オレの好きになる子も可愛いちゃ可愛いけど、やっぱアイドルには勝てねぇっつか…なぁ?でもまぁ現実にそばにいる子で想像するほうがエロいっちゃあエロいような気がするけど」

 やっぱニシモト、バカだった。本気で答えるなニシモト。

 

 そして一拍あってからニシモトは私を思い切り見つめてキダに聞いた。

「え、つうことはお前…キモトでいろいろ想像してんの!?」

するわけないじゃん!て言おうとしたら、「するだろ普通」と答えるキダ。

 さっきも私で想像したって言ってたもんね…

 でも言うか、普通。他人にそんな事言わないでしょ?…いや男子の集まりではそんな話するのかもしれないけど私がいるところで私関連にエロい話をするのは止めて欲しい。

 だって私、貧乳だから!


 ニシモトが言った。「カズミ、マズいわ。そんな事言ったらオレ、今度グラビア見た時キモトで想像するかも」

「それは止めろ」とキダが言う。

「木本すげえな」とニシモトが言う。「どうすんの木本、カズミはすげえ木本の事好きそうじゃん」

そう言ってゲラゲラ笑うニシモト。


 「私、先に帰るよ」もう力無く言ってしまう。「二人でゆっくり話していきなよ。ニシモトお願いだからイケダとかに余計な事話さないで。ほんと、カズミ君冗談で言ってるから」

「そうなん?」とニシモト。

「じゃあキダ君明日は先に行くから。ニシモトもじゃあね」

「おーす」とニシモト。

が、「きゃっ!」と私は声をあげてしまった。キダが私の手首をガッと掴んできたからだ。

「明日はちゃんと行くって」とキダ。

「ちょっと離してよ!」

ケラケラとニシモトの笑い声が響く。「おもしれえカズミ、めちゃくちゃ嫌がられてんじゃん。ハハ…すげえおもしれぇ。イケダにラインしよっと、てか画像送ろう」

カバンをごそごそとあせるニシモト。

「止めて!」と私が言い、「止めろ」とキダも言った。

「だって」とニシモト。「おもしれえじゃん」



 ニシモトがスマホを取り出すのを阻止して結局ニシモトもキダと一緒に私の家までついて来る。ついて来ながらニシモトはキダに離れていた中学での事を聞く。部活は何してたとか、どんな友達がいたのかとか、休みの日は何をしてどんな所へ遊びに行っていたかとか。

 バスケ部だったのはさっきも聞いた。友達は『普通にみんな良いヤツ』で、休みの日は部活に出たりゲームをしたり音楽を聴いたり。田舎で大きなショッピングモールとか映画館やゲームセンターもなかったらしい。

 そっか。そんな感じだったのか。

「木本、」とニシモトが聞く。「カズミ、モテるんじゃね?」

「うん。すごい騒がれてるよ」

「一緒に行くと彼女とか思われんじゃね?」

「うん。めっちゃ聞かれた。だからもう行かない。他クラの女子まで聞いてきたし」

「そっか、すげえな」


 「木本、カズミと学校行くの嫌なん?」と真顔で聞くニシモト。

「…いや…嫌っていうか…カズミ君見てる女子が多いんだよ。一緒に来てるって私まで見られるのがイヤ」

「そうか?オレも女子と登校してえわ!」

「もう…ニシモト絶対イケダとかにあれこれ話さないでよ」

「なんでだよ」

「面白おかしくバカにしてきそうだからだよ!」

「ハハハハ」と笑うニシモト。「確かにな!」

「なんか木本は気になってるやつがクラスにいてな」とキダが急に言い出す。

「ちょっと!カズミ君!」

「え、マジで」とニシモト。「だれだれだれ?オレ知ってるやつかな」

ダメだよニシモトはスズキ君知ってるんだから止めて!

「オレにはあんま良い返事しねえのに、スズキにはやたら可愛い感じ出そうとしてる」

「…!」

名前言った!!

「スズキか!マジかなんだ、そっかそっか、良いヤツだよな。木本趣味いいじゃん」

「ちょっと信じらんないカズミ君!なんでニシモトにそんな事言わなきゃいけないの!?バカなの!?」

「いや大丈夫」とニシモト。「スズキには黙っといてやるから」

「当たり前だよ!もうほんと知らない。カズミ君、明日もう絶対来ないで!来ても一緒には絶対行かないからね!」



 

 せっかくのスズキ君との初委員会だったのに、それもキダが一緒だったし帰りはこれだ。

 なんなの?キダはなんなの?スズキ君の事をニシモトに言うなんて最低!

 アコちゃんに聞いてもらおうかな。キダカズミの酷さを聞いて欲しい。だから帰ってすぐに「アコちゃん聞いて」ってラインしたけどまだ返事が来ない。もう9時にもなるっていうのに。こんなに返事が遅い事って今までなかった。疲れて寝ちゃったのかな。

 そしてやっと来たアコちゃん返事。「キダ君も飼育委員になったんでしょ?」

 わ~返事来た良かった~~~、って思ったけど、なんでキダも飼育委員になった事知ってるんだろう。誰かからか聞いたのかな。

「そうなんだよ

 それで帰りにキダがほんとに酷いんだけど」と送った。

なになにどうしたの?って聞いて欲しい。

 が、アコちゃんから来た返事を私は凝視した。


「私スズキが好き」

え?スズキ君?

 …スズキ君!?アコちゃんがスズキ君を好きなの!?


 そんな事今まで一遍も言ってくれた事なかったのに…

 はっきりとは言った事がなかったけれど、私が、しょっちゅうスズキ君の事を話すから、スズキ君を好きな事はアコちゃんも気付いているんだろうなって思ってた。なのにどうして今になってそんな事…

 今になって?…そうじゃなくて前から?いつから?アコちゃんはいつからスズキ君の事好きなの?



 どうしよう。なんて返そう。

 早く返さなきゃ…と、思っていたらまたアコちゃんから来た。

「私スズキが好きだから

 これマジだから

 モトちゃんがスズキの事好きになる前から好きだから」

 …え…

 …え~~~~!


 あれ…ダメだ何て返そう…何にも浮かばない…スマホを片手に画面を見つめたままだ。が、すぐまたメッセージが入って来てビクッとする。

「もうスズキに好きって言ったもん」

 え!?



 あ…、なんかもう…一挙にダメージ食らい過ぎた。

 マジで!?それ、マジで!?

「いつ?」とやっと質問する私。

「さっき電話で」

うおおおおおおおお~~さらなるダメージ!


 ずるい…ずるいわアコちゃん。

 …そっか…本当に知らなかった…ていうか考えもしなかった。アコちゃんもスズキ君が好きだったなんて。でもなんで言ってくんなかったんだろう。もっと早く言ってくれたら良かったのに!

 手もとのスマホが鳴り出してビクゥゥっ!とする。

 アコちゃんから電話来た!!



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