表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/48

壊れた町で・1

 町に破壊と死をもたらしてくれた神が討たれたその日の夜、“家”に帰りついた私が目にしたものは瓦礫の山だった。

 そしてその瓦礫の山は神によって作られたものではない。

 私はそこに並ぶ色違いのレンガを見てそのことを確信した。


 ぱっと見ただけでは不自然では無いように、巧妙に並べられた色違いのレンガ。

 それが示すのは、この“家”に集う“家族”にだけわかる暗号(メッセージ)

 “家族”以外にはわからないだろうが、それが残されていたということは、この“家”は放棄されたという事だ。


 私はその暗号(メッセージ)を見て、周囲を見回す。

 当然だけど“家族”の姿は見えないし、この様子からして生き残って居るとも思えない。

 “家族”の代わりに、瓦礫の山に陣取る騎士が見えて、私はトッサに身を隠す。

 騎士が瓦礫をどけ、そこに埋まっている何かを探しながら喋っている。


 「どうだ? 何かあったか?」

 「全然……何もない。そっちこそ、どうなんだ?」

 「こっちもだよ……」


 騎士達は目当ての物を見つけられないようで、その落胆ぶりは遠目に見ても明らかだ。

 だけど、それは当然の事で“家族”が“家”を放棄したのなら、重要な資料どころか、些細なメモ一つ残してはいないはずだし、そうやって消された資料をただの騎士が見つけられるわけがない。

 騎士が探索を続けて瓦礫を動かし、暗号が崩れていく。

 私が暗号を確認できたのは幸運だったようだ。

 もうすこし到着が遅れていれば、暗号は読めなくなっていたことだろう。

 そうなってしまっていた場合を想像すると寒気が背中を走った。


 私はそのまま騎士達に見つからないように気をつけながら、監視対象である私の相棒(パートナー)の元へと向かう。

 暗号に従うなら、やることは山積みだ。


 まずは監視対象に不信感を与えず、この町を離れる言い訳を考えなければいけない。

 私は走りながら少し考えた後、ロビン程度どうとでも言いくるめられる事に思い当たり、言い訳を考えるのを止めた。

 そしてロビンの家にたどり着いた私は、ロビンが出てくるなり口を開く。


 「家族が死んだみたい。だから私、これから親戚の家にいこうと思う」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ