羽
亜紀、唯、真奈実の三人が仲良く道を歩いている時、亜紀が唯の肩に鳥の羽が載っているのに気づいた。
「肩に羽ついてる」
「あら」
「ほんとだー」
唯はその羽の根の部分をつまみ、肩から離した。
「わぁ、真っ白ー、きれーい」
唯が持った羽を見て真奈美が無邪気な声をあげる。
その羽は確かに、純白と呼ぶにふさわしいほど真っ白に輝いていた。
きれい、という真奈美の感想には、唯もまったくの同感だった。
何となく誇らしい気分になる。
「ふっ、やはり美しい私には、美しい物がふさわしい、ということなのかしらね……」
「何の羽根だろ~?」
「無視か!」
唯と真奈美はその白い羽でキャーキャーはしゃいでいたが、亜紀はそれに加わらず1人羽を見つめながら何やら考えこんでいた。
それに気づいた唯が、亜紀に話しかける。
「亜紀?どうしたの?」
「……思ったんだけど」
「何?」
「それって要は鳥の抜け毛だよね?」
その瞬間、ピタッと、唯と真奈美の動きがストップ。
「………」
唯は自分の手の中の羽に目を向けた。
抜け毛。そう言われると、何とも言えない表情なってしまう。
とてもさっきのようにキャーキャー言う気にはなれない。
そんな唯の肩をポンと叩いて、妙にいい笑顔の亜紀が一言。
「似合うよ、抜け毛」
「やかましいわ!」