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1.首を傾げる
猫を拾った。
三角のやわらかそうなミミ。猫科動物特有の鋭い目は煌々と、満月のように煌めいている。ピンと張っている白いヒゲとは対照的な、まっくろの毛並みが美しい。スラリとしたお腹から、しなやかな手足、しっぽの先まで綺麗な黒い毛に包まれている。
うん。にゃんこ。ニャンコ。まごうことなくネコ。
顔立ちも綺麗で、まっくろな黒猫で、そしてにくきゅうはピンクである。文句無くわたし好み。
思わず両手で脇を抱え上げて(超やわらかいです。愛しい手触りです)検分していると、黒い尻尾が不服そうに揺らめいて、彼は言った。
「じろじろ見るな」
「す、すいませんっ」
わたしは思わず頭を下げて――その拍子に両手から逃れた黒猫は、しなやかな跳躍で傍らにあるソファに跳び乗った。そして振り返って、床に正座しているわたしを見下すと、ふん。と、偉そうに鼻で笑った。
……猫?