表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チェックメイトの一手先  作者: 八海宵一
12/40

11

 ヴィスはウェイターに教えてもらった出口にでた。馬車乗り場の横を通り抜け、広くまっすぐ伸びる石畳の道にでると、足早に歩き始めた。夜風が冷たい。ヴィスはコートのボタンをしめ、白い息を吐き出した。

 あれに乗れば早いんだろうな。

 道のはしを歩きながら、猛烈(もうれつ)な勢いで走る自動馬車(なんと馬が引っ張らない車!)をうらやましそうに眺めた。うわさには聞いていたが、まさか本当にこんなものがあるとは思いもしなかったので、ヴィスは乗っている人たちがうらやましくてしかたがなかった。

 だが、乗るには金がいる。

 もちろん、コーヒー代とはくらべものにならないほどの金額だ。

 ヴィスは深いため息をついた。

 駅から遠ざかるにつれ、人気がなくなり、自動馬車の行き来ばかりが目立つようになると、ヴィスは余計(よけい)に落ちこんだ。これなら、うっそうとしたクラウスの森を一晩かけて歩くほうがまだマシだ。

 少なくとも、そこでなら軽快に走る自動馬車を見ることはない。そもそも、クラウスの森には、まず道がないのだから……。

「もっと、値下げするべきだ」

 通り過ぎた自動馬車をにらみつけ、ヴィスはひとり呟いた。無一文(むいちもん)だから、いくら値下げしても乗れなかったが、言わずにはいられなかった。

 ヴィスは石畳(いしただみ)の道を一時間ほど歩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ