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短編集  作者: 狛井菜緒
4/5

ロストエレジー (ボツ原稿)

書いといて没にしていたプロローグ原稿です。ちょっと整理してたら見つけたので

載せてみました。続きはどうなるかは考えてないです

「The Lost Epic Onlin」


今、全世界が熱狂しているMMO。北米最大手のゲーム会社クライスラー社のオンラインゲームで、このたび、日本サーバーがVR版にリニューアルする事になり、友人達が大騒ぎしていた。



俺の名前は速川(はやかわ) (そう)。4月から大学生になる高校生だ。


センター試験入ってからが地獄だった。古文なんてクソだ!!と古文の教科書を何度投げ飛ばしたことか…。長かった…本当に長かった。古文の先生ごめんなさい、現文も根気よく教えてくれて。


とりあえず、頑張ったなぁと思う一年間だった。


受験もおわり、心に余裕が生まれた時に俺はひょんな事で「The Lost Epic Onlin」略してロスエポの世界に足を踏み入れる事になる。





「…ゲーム機を預かってほしい?」


「頼むよ!!受験終了組の奴で、頼めるのお前しかいないんだ!!弘人はじいさんの葬式でダメだし、和久は就職先の新入社員のガイダンスで無理!!」


「あー…。」


それは唐突な電話だった。


電話の相手は矢田健介といって、頭は良いが、アホな友人だ。同じ高校でも、特進組で国立現役合格をめざしている。


私大を目指してた俺とは違い、奴はまだ受験生なのだ。そのため、予備校と家で軟禁生活を強いられている。


確かに、近場の友人で動けるのは俺だけだし、奴の母ちゃんからは一応信頼はされているので、家に上がらせてはくれるだろう。



「母ちゃんがマジで捨てる宣言しやがったんだよ!せっかく、貯めたお年玉でロスエポの最新VR用ハードツールとソフトのパックを買ったのに!!」


「そりゃあ、お前…国立目指してる人間がゲーム買ってたら不味いでしょ」


「預かってくれたらお年玉年賀ハガキの懸賞品やるから!」


「別にいらねー。」


「じゃあ、予備のロスエポのハードとソフト、1パックやるから!」


「お前、2パックも買ったのか?そりゃあ母ちゃんも怒るだろ。」


「…し、仕方ないだろ!!ブルーカラーもかっこよかったんだもん!!」


「だもん!!」てなんだ、気持ち悪い。と思いつつ、近くにあった電器販売店の広告の見出しをちらりと見る。


ゲーム欄にはMMOのハードが掲載されており、特にロスエポの最新携帯型ハード機はかっこよかった。


ブルーカラーと呼ばれる空色の携帯型のコントローラーがほしいと言うのはよくわかる。


「わかった。でも貰うのは悪いから、預かるだけ預かる。そのかわり、頑張れよ。俺もロスエポ買うから。受験終わったら一緒に遊ぼうぜ。」



「おぉ!!まじか!やった!」


「じゃあ、今から取りにいくから用意しとけよ。」


そう言うと電話を切ると、俺は財布と広告を片手に家を出た。


「あ、雪。」


通りで冷え込むわけだ。と体を震わせジャンパーのポケットに手を突っ込んだ。




*****



「あらーいらっしゃい。冷えたでしょ。今、温かいコーヒー入れるからあがって。」


「いや、預かりものを受け取ったら、すぐ帰るんでお気遣いなく。」


「ごめんなさいね。うちの愚息が。受験生の分際でゲームなんて買うから!」


「…待ちきれなかったんでしょうね。」


フォローができねーなと苦笑していると、二階からドタドタと降りてくる健介の姿が見えた。ビニールを被せた紙袋を二つ手に携えて、嬉々とした表情て降りてきたのだが、その姿は薄手のパジャマで、見るからに寒そうだ。


せめてパジャマ脱いできちんと服を着ろよ。風邪引くだろうが。


おばさんも同じ事を考えたのか無言で睨んでいる。


マジこえぇ。



「想!!ぐほぉッ!」



健介おばさんがその瞬間頬を張り倒し、じろりと息子を見下ろした。


顔はわらっているが、目が笑ってない。気のせいか、玄関の気温が下がった気がする。


「…着替えてきな。」


「うぇ、親父にも叩かれた事がないのに」


「あら、良かったわね。今度からは母さんが叩いてあげるから。」


「ひでぇ!」


「想くん、健介が着替えるの時間かかるからあがって待っててちょうだい。ね?」


「……は、はい。」



有無を言わせぬおばさんに、俺は頷くしかなかった。


***


「のおおぉおおおお!!」


「チーフ、また酒飲んでるんですか?」


「なぜだぁああ!なぜ僕のモフモフたちがぁあああああああああ!」


雑然と並べられたパソコンと書類、その後ろには最新鋭のスーパーコンピューターが広いフロアにドミノのように並んでいる。そこで行きかう社員たちの中でも異彩を放つ男が一人、泣きわめいていた。


「なぜ、獣師テイマーが少ないんだ!」


「まぁ、漫画じゃあるまいし、本格的な動物やモンスターがいたら武器なしで近寄るのは怖いですもんね。」


「松井女史!!僕のモンスターは討伐されるために生まれてきたんじゃない!ナデポされるために生まれてきたんだ!!なぜにみんなナデぽしない!!」


「(いや、討伐されるためにも作ったんでしょうが)あーはいはい。でも掲示板のユーザーの反応は無視できないものがありますから…。」


そう言うと、松井女史と呼ばれた女性はパソコン画面に映されたユーザー掲示板に目を落とす


=====================


  MOBについて語るスレ


☆このスレはロスエポのモンスターについて語るスレなので関係ない書き込みはしないでください。

  関係ない書き込みは削除いたします。

☆スレ主の許可なしにこのスレを消さないでください


1: ノエル

1ゲット。これってモブを語るスレだっけ?


2:ぶー太郎

ロスエポのモブはマジでリアルで秀逸!モフモフ感も半端ねぇ!


3:ラスロ


→2

でも、リアルすぎて怖くね?ローデルラビットや、フロロヤギとかは怖くないけど、恐竜系とかマジで無理。目つきとか涎のネバつき感とかマジでやばい。


4:ぶー太郎


→3

そうなんだよなぁ、そのためかテイマーが少ないんだよなぁ


5:おくす


→4

初期職業の上にナデポできて仲間にできるのが比較的弱いモブだと、誰だってテイマーはやりたくない。


6:ラスロ


あれだな、頭でグラフィックだとわかってても、なぁ?


7:ぶー太郎


→6

誰に呼びかけてんだよww



8:ラスロ


→7

画面の向こうのよいこたちだよw


9:ぶー太郎


→8

よいこはゲームなんかしねぇしww


10:ノエル


脱線しすぎ!話もどそうよ


11:ぶー太郎


 →10

 …あい(;´・ω・)


12:ラスロ


→10

…あーい(・ω・)ノ


13:おくす


そういや、トラセル高原のクライン・レオをナデポした奴がいたらしいが、死に戻りしたらしい。


14:ノエル


→13

え?無理でしょあれ。エリアBOSSじゃん。


15:ぶー太郎


→13

やった奴マジで勇者ww


16:おくす


それがそいつ運営に問い合わせたら、ナデポ可能対象なんだと。なぜナデポできなかったまでは教えてくれなかったらしい。何が足らないのかが分かればやりようもあるんだろうけどな…。


17:ラスロ


→16

うわぁ…テイマー職不遇すぎる。 


===================



「馬鹿め!何が必要かわかったら面白くないだろうが馬鹿め!!最近のプレイヤーはやれ攻略サイトだ、やれ攻略本だとか、頼りすぎなんだ!!最近のゲームがつまらないのはウィキとかに攻略をのせるからだぁああああああああああ!!」


※個人の意見です。作者の意見ではありません。


「チーフ、ですがこのままではテイマー職は格下げされてしまいます。」


「それは北米サーバーの意見であって、この日本サーバーの開発責任者の僕の意見ではない。大体、モンスターが怖いのに剣やら魔法に頼って、ぼっこぼこに討伐してるくせに追剥よろしくアイテムや金を取得していて、なでるのが怖い?近寄りづらいだ?そんなのモンスターや、グラフィッカーに対する冒涜だ!だからVRの導入なんて嫌だったんだ!!」


「ああ、チーフはべったべたのβ主義ですからねぇ。でも、本社にはなんて報告するんですか?」


「経過をみたいといっておけ。まぁ、場合によっては攻略法の開示も致し方あるまい。」


「(…チーフが素直なんて珍しい。)経過、ですか?」


「うむ。現在、テイマーは日本サーバーに6人、韓国サーバーに8人、中国サーバーに145人、北米サーバーに4003人 西欧サーバーに637人。16万人超のユーザーを獲得ているこのゲームに対してテイマーがこれだけだなんて、少なすぎないか?」


「そりゃあ、まぁ。だから、本社がテイマーをメイン職から削りたがってるわけですし」


「なぜ、みんなテイマーをやりたがらないかわかるか?テイマーの上級職やスキルの利便性を把握しきれていないからだ。」


 松井女史は確かにと口許に手を当てる。

ユーザーは職業の利便性を理解してから職を選ぶ。それは当たり前だし、自分の好みの利便性をとるのは仕方ない。それに、テイマー以外の初期職業の上級職はすでに大手攻略サイトによって開示されている。


 初心者が初期職業を選ぶさいに見るのが、その先の上級職である。利便性と将来性、その二つを知らなければ誰も未知数な職業なんて選ばない。それは、社会においても同じだ。良い学校、良い教育環境を求めるとき、人はその将来的に必要なものをみる。大学選びだってそうだ。教師になりたいのであれば、教育課程が取れる大学に行くし、医者になりたければ医学部がある大学を受験する。


 MMORPGもまた、それと同じなのだ。


「うむ、だからいっそのことテイマーの上級職と利便性を大手攻略掲示板に流す。その結果、テイマーが何人増えるか…その経過を見てみたい。もし、それでもだめなら…攻略法も開示する。」


「チーフ…。」


松井は思わず、目の前の男を見直した。どうしようもなく不潔で、臭くて、めんどくさい男だがきちんとした日本サーバーの責任者なのだと。だが、その感動も三秒で終わった。


「というわけで、松井女史。頼んだ。」


「へ!?わ、私ですかぁ!?」


「僕は今、ゾンビスライムちゃんを作るので忙しい。というわけで君にすべてを任せる!!テイマーの未来は君にかかっているのだよ!はっはっは!!」


「(…あくまでも自分では開示したくないのか)わかりました。ちょっと、手を打ってみます。」


「うむ、よきにはからえ」


「(一回、ぶったたいてもいいかなぁ。いいよね?)では、失礼します」


 松井女史は男性職員が思わず見とれるような微笑を浮かべると、手に持っていたファイルを振り上げた。

「あが!!!何をする松井女史!!」


「すいません、チーフ。チーフがあまりにも臭くて、汚いせいかハエが頭にぶんぶん飛んでまして。」



「そ、そうなのか。」


「ええ、シャワー室に行くのをお奨めいたしますわ。私、またチーフの頭にハエをみたら叩いてしまいそうで…。」


「む、さっそくシャワー室に行ってくるのだよ。」



 プロットとしては、この後主人公の速川君はテイマー職を選ぶ流れだったのだけど、MMOに疎いので見送った作品です。わけわからなかったらごめんなさい。

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