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ループメイドの復讐 〜第13王子に王冠を捧ぐ〜  作者: 紬衣琉


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08

「では──最初の依頼をお願いします」


リシェルがそう切り出すと、ヴァルトは足を組み替え、興味深そうに顎を上げた。


「聞こうか」


「今回の調査対象は三つあります」


リシェルは指を折りながら、淡々と告げた。


「一つ目。

私をはめた貴族──“あの男”の現状。

以前の世界では、ラウル様が昇進するかもしれない時期に、

裏で根回しをしていたはずです。

その動きを、今の世界でも確認したい」


ヴァルトは軽く鼻を鳴らした。


「なるほど。権力争いの匂いがするな」


「二つ目。

ラウル様の妻──彼女はそろそろ“愛人”と出会う頃です。

その人物の素性、接触の経緯、目的を調べてください」


「愛人、ねぇ。

貴族の夫婦仲なんざ、だいたいろくでもないが……

まぁ、調べがいはある」


「三つ目。

ラウル様の昇進を決定する人物。

その人が誰に影響され、誰に弱みを握られているのか。

そこを知りたい」


ヴァルトは机を指先で軽く叩き、まとめるように言った。


「つまり──

お前をはめた貴族の動き、

ラウルの妻の愛人、

そして昇進を左右するキーマンの裏側。

この三つだな」


「はい。

どれも、アメリア様の濡れ衣を晴らすために必要です」


ヴァルトはしばらくリシェルを見つめ、

やがて口元をゆるめた。


「いいだろう。

どれも“人間の醜さ”がよく出る案件だ。

俺向きだな」


「報酬は……情報が集まってから決めてください」


リシェルが頭を下げると、

ヴァルトはくつ、と笑った。


「まけてやるよ、おもしろいからな」


「……からかわないでください」


「からかってねぇさ。

お前さんの“人生”は、俺にとって最高の娯楽だ」


ヴァルトは立ち上がり、黒いコートを翻した。


「三件とも、すぐに動く。

裏の連中にも声をかけておく。

数日もすれば、何かしらの情報がつかめる」


リシェルは深く頭を下げた。


「お願いします、ヴァルトさん」


「任せとけ。

お前の物語──しっかり覗かせてもらうぜ」



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