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ループメイドの復讐 〜第13王子に王冠を捧ぐ〜  作者: 紬衣琉


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1/10

01

――グサッ。


胸の奥で、刃が肉を割く鈍い音がした。


「あぁ……もう何度も経験したのに、涙は枯れないのね……」


視界が涙で揺れる。床に落ちる自分の血の色も、もう数え切れないほど見てきた。

八十一回目の死。八十一回目の絶望。


けれど、終わらない。

終わらせてくれない。


(……エルネスト様を、王にするまでは)


薄れゆく意識の中で、リシェルは静かに微笑んだ。

それは諦めではなく、執念の笑み。


そして世界は、また“あの日”へと音もなく巻き戻る。



血の温度も、痛みも、涙の跡も、すべてが霧のように消えていく。

代わりに、胸の奥にだけ重い痛みが残った。


(……また、ここから)


目を開けると、薄暗い寝室。

妃の部屋にしては質素で、人の気配もない。

薬草の匂いと、かすかな呼吸音だけが満ちていた。


ベッドの上には、衰弱しきったアメリア様が横たわっている。


「……アメリア様」


声が震える。

何度見ても慣れない。

八十一回目でも、胸が引き裂かれるようだ。


アメリア様はゆっくりと瞼を開き、優しく微笑んだ。

その光は、もうすぐ消えてしまう。


「……リシェル……来てくれたのね……」


その声を聞いた瞬間、喉が詰まった。


(どうして……どうして、あなたの死だけは変えられないの……)


アメリア様は弱々しく続ける。


「エルネストを……お願いね……あの子は……優しい子だから……」


八十一回目でも、初めて聞いた時と同じ痛みが胸を締めつける。


リシェルは涙をこらえ、そっとアメリア様の手を握った。


「必ず……守ります。何度でも……何十回でも」


アメリア様の指が、かすかに震えた。


「……ありがとう……リシェル……あなたに……託します……」


その瞬間、アメリア様の瞳から光が消えた。


世界が、また“始まった”。


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