あと七日
さて。今日は1日何をしよう。
タイムリミットは1週間。
その初めとなる1日だった。
「・・・取りあえず学校に行くか・・・。」
取りあえず、何もすることが思い浮かばなかったので学校に行くことにした。
別に、あと1週間の命なんだから学校に行こうが行かないか関係ないんだけど・・・。
・・・・・・・・
『がらら・・・。』
朝。学校に着くと誰もいなかった。
朝、五時に起きてしまい、しかも、一週間なんてタイムリミットをつくったせいか・・・。
そのまま準備をして学校に来てしまったのだ。
私の家から、学校まで一時間かかるとしても、まだ七時。
朝練すらまだ始まっていなかった。
「・・・何しよう・・・。」
いざ。何かをしようとか、後悔しないように一週間過ごそうとかおもうと、何も思い浮かばなかった。
「・・・いろいろ考えとけばよかったかな・・・。」
そんなことを思いながら窓の外を見ると、一人の生徒が歩いていた。
「・・・早い・・・。誰だろ??こんな早い時間に・・・。」
こんな早い時間だ。いくら朝練をする人がいても、こんな時間になんか来ないはずだ。
「・・・変な人・・・。」
そう思いながらずっとその人を眺める。
(あ・・・校舎の中入っちゃった・・・。)
「誰だったんだろ・・・。」
そんなことを思いながら、未だに窓の外を見ていると・・・。
『がら・・・。』
「??」
扉が開いた。
「あ・・・。櫻田・・・。」
・・・誰だっけ。この人。えっと・・・見たことあるんだけどな・・・。ここに来たってことはクラス同じだよ・・・ね?
「えっと・・・。あ・・・うん。おはよう。えっと・・・。早いね??」
なんか。挙動不審だったかも・・・。
「ふっ・・・ふふっ。ははっ。櫻田のほうが早いじゃんw人の事言えねえってw」
「あ・・・ははww」
あ。思い出した。『花村 咲都』(はなむら さくと)だ。
この笑いかた・・・。妙に心地いいんだった。
たまにしか笑わないから、あまり記憶になかった。
「っていうか、なんで櫻田今日こんなに早いんだ??」
あ。そうだ。・・・なんて説明しよう・・・。
あんまし、一週間後自殺するって言いたくないしな・・・。
「えっと・・・。ちょっと悪い夢見ちゃってw気分が悪くなってw家にいると余計気分悪くなったからさ。外に出たくなって、そのまま学校に来ちゃったw」
別に嘘じゃないし・・・。本当に。気分が悪くなった。
「・・・そっかw気分悪い夢嫌だよなああ。俺も、この前見ちゃってさw最悪w」
そういってまた。心地よく笑う。
「ふふっww・・・ところで。花村君はなんでそんな早いの??」
私が尋ねると・・・。
「あっ!!!そうだった!!櫻田と話してると落ち着くからさwついつい長話しちゃったw俺さ、本当は、アリーナを掃除しに来たんだよ!!」
は??アリーナ??えっと・・・。なんで?え??
「えっと・・・なんで??」
「ん?もちろん!コートに感謝したいからだよw一年のころからずっとやってるw」
そう言って笑う花村君。
(・・・恥ずかしいこと言う人だなあ。)
『コートに感謝したいから』なんて。はずかし過ぎて普通は言えないはず・・・。
なのに、言えるってことは、本当に部活が好きなんだと感じる。
確か・・・バスケだっけ??うん。
「なんで・・・そんなに・・・一生懸命・・・なんだよ・・・。」
あ・・・。やばい。つい漏れてしまった言葉。こんなこと聞いたら、絶対嫌な気持ちにさせちゃう!!
「・・・。」
うわあああ。絶対怒ってる!!!
「ははっww『なんで』かああ。う~~ん。俺もね、初めはやる気すらなかったんだ。大好きな。尊敬してる先輩がずっと続けてて、それにくっついてたら、なんかやるはめになってww俺も、初めは謎だったんだけど・・・。先輩言うんだ。
『本当にバスケが好きなら、バスケをやるなら。まずは、コートに感謝だろ?コートがなくちゃバスケが出来ないwだから、せめてそんなコートを綺麗にしておきたいんだ。』
って。・・・ふふっww恥ずかしい先輩だろ???」
「そんな!!」
「ふふっwwでもね、俺。そういうこと言える先輩にあこがれてる。そういう風に。そうやって、いつか・・・。先輩をこえたいんだ。大学も、先輩と同じところに行くつもりw」
そう言って笑った。
「そっかwwうん。がんばって。」
花村君といると、楽しくなる。私もつられて笑っちゃう。
「ああ!!そろそろいかなくっちゃ!!じゃあな!櫻田!!」
そういって、教室から出ていく花村君。
「あっ!!うん!」
そう言うと・・・。
「あっ。そうだ。櫻田ww」
「??」
花村君が、立ち止まって言う。
「おれのこと、『咲都』って呼んでよ!!」
そう言って。また笑うと駈けていった・
「ふふっ・・・。変な人ww」
私は、そう笑うと、また窓の外を見た。
ようやく、朝練を始める人たちが何人か集まっていた。