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粉暦518年~520年 ― 天鳴・群青大戦 開戦

奇襲の成功と失敗

粉暦518年初頭、天鳴会の艦隊は群青同盟が支配する旧天鳴領の港・鴎牙港へ夜明け前に接近した。

港湾の防備は冬の間、緩んでいると見られていたが、群青砲兵隊は予想外にも砲台を増設していた。


初弾の砲撃で港湾施設の一部は破壊されたが、群青の反撃砲火が艦隊の先頭船を撃沈。

奇襲は部分的に成功したものの、港全体を奪取するには至らなかった。


群青同盟の反応

鴎牙港の指揮官は即座に首都山岳本部へ急報。

わずか二日後、群青同盟は全軍動員令を発布。


群青砲兵隊本隊:12.8万人


北槍団:1.2万人


黒川連合:1.0万人


その他同盟兵:4.5万人


総計19.5万人の兵力が、旧天鳴領奪還作戦に投入されることとなった。


天鳴会の全面戦争決断

奇襲の失敗にもかかわらず、天鳴会の総帥ハクゲンは引き下がらなかった。

彼はこの機を「完全復興の最後の賭け」と位置付け、南部と潮影島から増援を呼び寄せた。


天鳴会正規軍:12.5万人


民兵・傭兵:4.8万人


鉄角傭兵団:1.5万人


総兵力18.8万人。

両軍はほぼ拮抗した兵力で、旧天鳴領全域を巡る二年間の消耗戦へ突入することになる。


序盤の戦局(粉暦518年春〜夏)

春:鴎牙港を巡る攻防戦が続くも、双方決定打を欠く


初夏:天鳴会、内陸補給路を奇襲し群青補給隊を壊滅


盛夏:群青同盟、山岳砲兵の長距離射撃で天鳴の港湾補給基地を破壊


この時点での損害は以下の通り。

群青同盟の戦死者が12000人、戦傷者が18000人、物資損失が穀物2,000俵、火薬樽300

天鳴会の戦死者が14500人、戦傷者が21000人、物資損失が船6隻、砲40門、馬500頭


戦争の長期化要因

地形の複雑さ

 山岳・沿岸・湿地が入り組み、補給線が脆弱。


兵力補充の困難

 双方とも長期戦に耐える経済力が乏しい。


他勢力の思惑

 紅輪協和国と白凰社は直接介入せず、武器・物資の密輸で双方を疲弊させようとしている。



双方の大作戦

冬が終わる前、天鳴会と群青同盟は同時に大規模作戦を立案していた。

天鳴会は「疾風鉄槌作戦」と名付けた沿岸制圧計画を、群青同盟は「山嶺掃討作戦」と呼ばれる山岳包囲計画を準備していた。


疾風鉄槌作戦:海軍主力を集中させ、旧天鳴領沿岸の港3つを奪回し、海上補給路を確保


山嶺掃討作戦:山岳地帯に布陣する天鳴軍主力を砲撃と歩兵で包囲殲滅し、内陸補給路を断つ


どちらも相手の生命線を断つ、背水の陣だった。


春の激突 ― 港湾三日戦争

粉暦519年3月、天鳴艦隊が夜明けと同時に旧領沿岸へ突入。

3つの港湾を同時攻撃し、第一波で群青守備兵を押し戻すことに成功。


しかし、群青側は事前に港湾へ大量の砲台を設置しており、海からの侵入は想定より困難を極めた。

三日間に及ぶ砲撃戦の末、天鳴は港2つの奪回に成功したものの、3つ目は群青が死守。


損害

天鳴会:戦死6,800、艦8隻沈没


群青同盟:戦死5,400、港2つ喪失


夏の山岳包囲戦

港を2つ奪われた群青同盟は即座に山嶺掃討作戦を発動。

山岳に拠る天鳴軍3万を包囲し、長距離砲で圧迫。

補給が尽きた天鳴軍は包囲突破を試みるが、北槍団と黒川連合がこれを阻止。


この包囲戦は45日間続き、最終的に天鳴軍は投降。

逃げ切れたのはわずか8千人だった。


損害


天鳴会:戦死1.9万、捕虜1.2万


群青同盟:戦死1.1万


秋の一進一退

港湾と山岳で互いに勝利と敗北を分け合った両軍は、秋に草原戦線で再び衝突。

しかし、兵力も補給も限界に近く、大きな領土変化は生まれなかった。


秋時点の戦線図


沿岸:天鳴会が港2つを確保


山岳:群青同盟が完全制圧


草原:膠着状態


他勢力の暗躍

戦線が硬直する中、紅輪協和国と白凰社は静かに動いていた。


紅輪協和国:群青同盟に砲弾と食糧を高値で売却、同時に天鳴会にも鉄鉱を密輸


白凰社:港湾奪回を支援する名目で天鳴会に海軍顧問を派遣


表面上は中立を装いながら、双方を長期戦に引きずり込むのが目的だった。


粉暦520年、この消耗戦はついに最終局面を迎える。

天鳴会は港を拠点に反攻作戦を計画し、群青同盟は総力戦でこれを叩き潰す決意を固めていた。

一方、紅輪協和国と白凰社は裏で別の密約を交わし、大陸全体を揺るがす新たな構図を作ろうとしていた――。



港湾大反攻作戦

粉暦520年春、天鳴会は残存兵力14万人を3つの軍団に分け、港湾から同時に進軍する大反攻作戦を発動した。

作戦名は**「逆潮のリバース・タイド」**。

目的は奪還済みの港2つを拠点として内陸へ進撃し、群青同盟の補給路を遮断することだった。


第一軍団(海兵隊):港湾防衛と補給確保


第二軍団(突撃隊):内陸突入


第三軍団(機動隊):騎兵と軽歩兵で補給線を広く確保


群青同盟の迎撃態勢

群青同盟はこの動きを察知し、総兵力16.8万人のうち、約12万人を港湾戦線へ投入。

残り4.8万人は山岳防衛と内陸の補給維持に回した。


作戦名は「青雷の盾」。

特徴は、群青砲兵隊の全長距離砲を前線港湾背後の丘陵に集中配置し、海上・陸上の両面から敵を叩く戦法だった。


春の激戦 ― 海陸同時砲撃

3月中旬、天鳴第二軍団が内陸突入を開始。

これに合わせて天鳴艦隊が港を砲撃、群青の防衛線を削る。

だが群青砲兵隊は丘陵からの集中砲火で艦隊を包み、初日で5隻を沈没させた。


港湾市街は火と煙に包まれ、両軍が数十メートル単位で陣地を奪い合った。

5日間で双方あわせて約2万の戦死者を出す激戦となった。


夏 ― 内陸補給線の断絶

天鳴第三軍団は騎兵で群青補給路を断ち切ろうとしたが、北槍団と黒川連合がこれを迎撃。

草原中央で展開された騎兵戦は一日で決着し、天鳴側は半数を失い撤退。


補給が滞った第二軍団は港湾からの進撃を止められ、膠着に陥る。


秋 ― 決定的総攻撃

粉暦520年9月、群青同盟は総力戦を決意。

港湾周辺の敵陣地を三方から包囲し、砲兵・歩兵・騎兵を一斉に投入した。


包囲北翼:山岳砲兵が高地から砲撃


包囲南翼:黒川連合と森影の狩人団が密林から奇襲


中央突撃:群青砲兵隊本隊と歩兵隊が港湾正面から圧迫


10日間の連続戦闘の末、天鳴会の港湾防衛線は完全に崩壊。

港は群青同盟の手に戻り、天鳴軍は海上撤退を余儀なくされた。


冬 ― 戦争終結

敗色濃厚となった天鳴会は12月、紅輪協和国を仲介に停戦交渉を開始。

翌年1月、「港湾講和条約」が締結され、二年間に及んだ天鳴・群青大戦は終結した。

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