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緑のエルメルダ  作者: 高峰 玲


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5/9

対策を練る





 武装解除ならぬ飛行解除状態を〈ルナ〉号が取ると、()()からの干渉はなくなった。膜の下の液体は波打つこともなく、めり込ませたように宇宙船をホールドしている。


「……外に出るにはどうしたらいいかしらね?」


史莱姆(スライム)の目当てが〈ルナ〉号なのか乗組員なのか、②乗組員だとしたら、全員=直立歩行型人類ならば何でもいいのか、それとも誰か個人が標的なのか、③女性が狙われているのか、男性なのか──単純に考えただけでも、次々と疑問点が出てくる。

 それらを検証するには、まず、彼女たちが〈ルナ〉号から離れて分散する必要があるのだが……外に出るために出入口を開放したとたんに船内に侵入されるのは御免被りたい。


「あの子、眠らせなきゃよかったねぇ」


 フィニーが言うまで、何人かがその存在を忘れていた。


 あっ、という顔をした後、すぐにフィーネが誤魔化(フォロー)した。

「だったら、彼と一緒にわたしが〈ルナ〉号(ふね)に残るわ」

 搭載機の〈クリスティーナ〉は避難艇でもあるため、一機に3名まで搭乗できる。いざとなったら、意識のない状態でもシートに固定させて乗せることも(やぶさ)かではないが、まだ様子見の段階だ。〈ルナ〉号に残る者の存在も要る。


「うーん」


 個体差識別のため、三姉妹をバラけさせるのは有りなのだが、単独行動もなんだか怖い。当たり前だが、彼女たちはその感情を意識しないように動くことに慣れている。

「そういったこと込みで、観察さ(見ら)れているのかしら?」

 真面目にテラは考察している。すでに、ジョン・ビィのヒゲなど、埒外だ。

フローラとフィニー(ふたり)に〈クリスティーナ〉で出てもらって、わたしはホバーでも使おうかしら」

 本来は高低差のある場所で宇宙船(ふね)を乗り降りする際の昇降機代わりにしている機器だ、乗物ではないし、ましてや逃げ足など期待できるモノではない。

 4人(お客さんを入れれば5人)の距離がある程度離れれば、誰を追おうとするか反応がわかる。何百、何千という距離までは必要ないはずだ。


「装備は、どこまで? どの程度まで、反撃していいの?」


「コレが本当にスライムだとしたら、核を破壊しなきゃだけど、そこまでの攻撃は……危険だわ。〈ルナ〉号を捕獲した様子から、コレらって湖単位、下手したら惑星規模で連携できるんじゃないかしら?」


 不思議生物担当というわけではないが、何となくを漠然と察することに長けたテラがフローラに応えた。

 おそらく、人や〈ルナ〉号サイズのスライムであれば、物理的な攻撃で彼女たちにも倒すことは可能だ。そのための“剣の時代”認定であり、女戦士(アマゾネス)なのだ。しかし、いかな彼女たちでも、魔法・魔術の(たぐい)までは習得していない。


「竜王族の威圧は?」

「使わない約束だし、エルメルダ全体でスライムが萎縮しちゃったら、どんな影響が出るか……銀河開発局に怒られるだけならいいけど、スライム絶滅とか惑星崩壊とか星系暴走とか、きっと“(えら)びの旅”どころじゃなくなると思う」


「「「ですよね〜」」」


 テラの遠いご先祖は竜王族と呼ばれる種族で、超高度な生体エネルギーを変換して“竜”となり、広く宇宙までも駆け渡ることができたという。代が下がるにつれ、その力は薄れ、現在のテラに使えるのは人類のESP能力やPK能力に似たごく小規模なものだ。最悪、〈ルナ〉号を物理的にシールドした状態でワープ空間へ跳び、そこから宇宙船の機能でワープアウトすればエルメルダから離脱することは可能だが……捕獲され、惑星に引きずり込まれたいまの状況を銀河開発局の探査母船に見られているため、どうやって脱出したのかを説明するとテラが竜王族の末裔だということが露呈してしまう。

 華々しくも、全宇宙規模での銀幕デビューを果たしたプロメテ・カンパニーの傭兵(ランス)代理演舞(スタント)したことは、隠しようもなく広まっている。そのランスが竜王族の能力を持つことは秘さねばならぬのだ。


「こんなことなら、“剣と魔法の世界”でも武者修行しておけばよかった」

「そしてスライムハンターの名を(ほしいまま)にするの?」


 珍しく、フローラがテラをからかう。 


「そうね。あと、魔法も習わなくちゃ? 魔法陣とか詠唱とか、気になるものがたくさんあるわ」

「まだ勉強したいの? 私はこの休暇が終わったら、実技系の依頼をこなしたいわ」

「あらま、血の気の多いこと」

「レムリア正規軍の傭兵枠でもいい。ともかく、アマゾネスとしてのキャリアが積みたいわ」


 同期の多くはアマゾンの一般兵士=女兵士(ベラトリックス)としての一歩を踏み出している。けっして出遅れているわけではないのだが、大人社会での判り易い評価枠にいない状態は、やはり焦りを感じる。

 おっとりとしたフローラらしからぬ本音に、もう少し、受ける依頼の幅を広げる視野を持たなければ、とテラは内心反省した。


「おーい、おーい、大丈夫かー?」


 原始的にも、〈ルナ〉号のすぐ傍で、肉声による大音声で呼びかけられたのはそのときだった。










to be continued……







今回、短くてすみませぬm(_ _)m


計画的に有休を入れて連休にして、書く時間をキープしていたのですが、それに安心しきってダラダラと他の作者さまの作品を読みまくったり、“風邪ひいて寝んね”してたら1ヶ月、あっちゅ〜間に過ぎてしまいました……。


次回、2025年12月1日更新予定です。







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