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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
『令和の人斬り 外伝:スペイン血風録』

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第一話 招かれざる祝福

あれから一年。

岡崎洋介は、赤い封筒を開いて顔を上げた。


「……マジかよ。オリビアが……結婚?」


送り主は「Olivia Del Rio & Okita Souiti」。

あの、死のフラメンコダンサーオリビア デル リオと、元刑事・沖田壮一がまさかの夫婦に。


翌日・都内のカフェ


「ほんとに来たの?私にもこれ、届いたよ……!」

伊藤美香が封筒をテーブルに置いた。


「わしのにも来ちょった!なんじゃいこれ。海外ドラマみたいじゃのう」

坂本龍太郎がホットドッグをかじりながら笑った。


「オリビア……あの戦いのあと、ほんとに生き延びたんだな」

洋介の声には、どこか安堵が混じっていた。


「しかも相手が沖田さんだよ?あのイケメンの刑事と結婚!?しかもスペインで!」

美香は目を丸くして驚く。


「で、どうするんじゃ。行くのか? スペインなんぞ、わしゃパエリアしか知らんぞ」


「……もちろん行くよ。あの二人のけじめの場だ。俺たちが行かなくてどうするだ。」


俺たちはスペインに旅立つ準備を始めた。


そして、結婚式3日前


スペイン バルセロナ空港


三人は長いフライトを経て、スペインの土を踏んだ。

空港のゲートを抜けた瞬間、陽射しと潮風が肌に触れる。


「空気が違うなあ……」

洋介は深呼吸しながら周囲を見渡した。


「うわー!海がキラキラしてる!観光しようよ観光!」

美香はスーツケースを引きながら、はしゃいでいる。


バルセロナ空港・出口

スペインの強い日差しを浴びながら、岡崎、伊藤、坂本の3人が自動ドアを抜けたその瞬間だった。


「……なんか、空気、変じゃない?」

美香が足を止める。


出口の広場に、人影が異常に多い。スーツ姿の男たちが無言で立ち並び、耳にはインカム。全員がサングラスをかけてこちらを見ている。


「なんか……いるな、こりゃ」

岡崎が小声で言った。


「この雰囲気……昔の抗争ん時と同じじゃ」

坂本の手が無意識に腰の辺りを探る。


すると、黒塗りの高級車が数台滑り込むように横付けされた。


後部座席のドアが開き、ひときわ派手なスーツを着た男がゆっくりと降りてくる。

背は高く、銀のステッキを持ち、鼻筋の通った顔には鋭い傷が一本。


「……だ、誰だよあれ……」


男はゆっくりと手を広げ、笑みを浮かべた。


「Bienvenidos a España.(ようこそスペインへ)」

その声には皮肉と毒が混じっていた。


男の後ろから部下の一人が低く囁く。


「Señor Lorenzo FalconEllos son !allegados de Olivia(ロレンソ・ファルコン様!、彼らがオリビアの関係者です)」


「¡Olivia... esa zorra!(オリビア……あの女狐め)」


ロレンソはゆっくりと岡崎たちに近づき、流暢な英語で語りかけた。


「She killed my father. And now... I’ll take everything from her.(オリビアは我が父を殺した。今度は、奴のすべてを奪ってやる)」


「な、なに言ってるか全然わかんねぇけど……なんかすげー怒ってるのだけは伝わる……!」

岡崎洋介は汗をにじませる。


すると突然、ロレンソが右手を軽く上げた。


「¡Atrápenlos!(捕まえろ!)」


一斉に、黒服たちが走り出した。20人以上。拳銃を構えた者もいる。


「やっべえええええ!!!」

岡崎が叫び、走り出す。


「¡Por aquí!(こっちよ!)」

どこからか女性の声が響く。


見ると、小柄な女性が車の陰から手を振っている。顔立ちはどこかオリビアに似ていた。


「え、誰!?」


「ワタシ ニホンゴ、スコシハナセル!イソイデ コイ!」


「ええい、ままよ!!」


こうして、岡崎たちはマフィアの包囲網をギリギリで突破。

助けてくれた女性・ルシアは、オリビアのいとこだった。


だが、彼らはまだこの戦いの序章に過ぎないことを知らなかった。

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