決勝戦 延長戦(上)
スケートリンク場の周囲は剣山に囲まれた地獄の土俵。雷王丸は大地を踏みしめると、拳を地面に叩きつけた。轟音が響き、コンクリートの床にひびが走る。まるで雷鳴が大地を裂いたかのようだった。
「イザ……トリクミ!!」
雷王丸が吠えるように叫ぶ。
岡田以蔵は薄く笑いながら、雷王丸と同じ構えをとった。
「来いよ、ナラン。相撲をしようぜ!」
雷王丸の表情が険しく歪む。
「スモウ ヲ トリマショウ……!」
次の瞬間、雷王丸の巨体が稲妻のような速さで突進し、渾身のぶちかましを岡田以蔵へと叩き込んだ!
「くっ……!」
岡田は衝撃を受ける直前、身体をひるがえし、まるで落ち葉が風に舞うかのように軽やかに回避する。
暗殺武術 落葉!!
この技はまるで木から落ちる落ち葉のように相手の前で揺れながら相手の攻撃を交わす技である。岡田の体が、まるで、落ち葉のように、ふわりと宙を舞い、まるで木から離れた葉のように揺れながら雷王丸の攻撃を避ける。その動きは予測不能。
「クソッ……!」
雷王丸は腕を大きく振り、岡田を捕まえようとする。しかし、その腕は何度も空を切る。
「……、オマエ スモウ ヲ トル ジャ ネェェノカ!ニゲルンジャ ネェエヨ!」
雷王丸の苛立ちが爆発する。咆哮とともに巨体を反転させ、強烈な回しヒザ蹴りを繰り出した!
「おっと、その技は反則技じゃないのか?」
岡田は滑るように低く構え、瞬時に雷王丸の背後へと回り込む。
「ナラン、相撲ってのはそんな技、使わねぇはずだぜ?」
「ダマレ! ソノ ナマエ ヨブナ!」
「ナラン、相撲っていうのは、回しヒザ蹴りはルール違反じゃないのかい?」
「 オレハ カミナリ! ライジンダ!!」
雷王丸が天高く拳を振り上げた。
雷神チョップ!!
重厚な拳が空を裂き、一直線に岡田の頭上へと落ちる。
しかし──
暗殺武術 落葉!!
岡田の体が風に乗るようにふわりと動き、雷王丸のチョップを紙一重でかわす。
「くそッ……!」
雷王丸は地面を砕くほどの力で拳を叩きつけた。砕けたコンクリートの破片が宙に舞う。
岡田はその隙を逃さず、一気に距離を詰めた。
「ナラン ! 相撲っていうのは地面に手がついたら負けだ」
雷王丸は血走った目で岡田を睨みつけ、天高く吠えた。
「ダマレ!オレハ カミナリ! ライジンダ!!」
その声は、まるで雷鳴そのものだった。
岡田はふっと笑う。
「お互い人殺し同士……お前の考えてることぐらい、わかるぜ。」
雷王丸は拳を強く握りしめ、足を引いた。
「ツギノ コウゲキ デ オマエヲ コロス!!」
戦いは最終局面へ。
岡田以蔵は構えを変え、両肩倒立反動地獄投げの準備に入る。
雷王丸は雷神張り手を繰り出すべく、低く沈み込む。




