第十一話 グラスホッパー(草を跳ねる飛べないバッタ)
風間は苦笑しながら、彼女の身体を掴むと、従業員出口の横にある警備室へと引きずっていく。
「もう少し俺と遊ぼうか…オリビア・デル・リオ。」
オリビアの目がうすめになりながら、微かな息の中で呟いた。
(私の運命は…私が決める…。)
風間はオリビアを体を犯すために警備員室へと失神しかけているオリビアを引きずって入っていった。
「最近女遊びは、ご無沙汰でねぇ」
と言いながら風間は自分のズボンを脱ぎパンツをおろした。
風間の巨大な男の性器が、むき出しになる。
オリビアは仰向けにされ、意識を失いかけていた。
しかしまだ、風間を殺す闘志は失ってはいなかった。
風間はオリビアの胸をはだけさせるためにドレスを左右に力任せに強引に引き裂いた。
そして、オリビアに馬乗りに跨った。
オリビアの胸が現れる。
「おーさすが外人さんのオッパイはすげぇなぁ。スペイン人ってのは初めてだぜぇ」
と下世話に汚く笑った。
するとオリビアのブラジャーに挟まっている包状の直径2センチほどの棒状のものがあった。
「なんだ?この筒は」
風間はオリビアのブラジャーの胸に挟まっていた筒を自分の顔の前に持ち上げた。
その瞬間だった。オリビアは両手を地面に強く押し当て上半身を一気に持ち上げた。
グラスホッパー(草を跳ねる飛べないバッタ)!
風間が驚きの表情を浮かべた刹那!筒状の物体に息を強く吹き込んだ。吹き矢のように!!
毒サソリ!
次の瞬間、筒状の装置から細かい霧状の液体が噴射され、風間の顔面に降りかかる。
「ぐああああっ!」
激しい痛みに悲鳴を上げる風間。顔面を押さえながら、後ずさりする。
「くそっ……何をしやがった……!」
風間は必死に目をこすりながら警備室の壁に手をついた。しかし、次の瞬間、オリビアはすでに次の動きを開始していた。彼女の手には、背中に隠し持っていたナイフが光っている。
「¡Adiós, asesino!(さようなら、殺し屋!)」
鋭い閃光が走った。
風間の腹部にナイフが深々と突き刺さる。
「ぐああああっ!」
風間は痛みに耐えきれず、よろめきながら警備員室を飛び出し、闇の中へと消えていった。
オリビアはゆっくりと息を整え、壁にもたれかかる。
「ウツクシイ花には……棘と毒がアルノヨ……ウンコやろう。」
そう呟くと、彼女はゆっくりと目を閉じ、その場に力なく倒れ込んだ。
(この毒サソリは、令和の人斬りに使う予定の技ダッタンダヨ。デモ アナタ には 使えなかった、ワタシ スコシ ここで 休むワ)
警備室には、静寂だけが残った。
【第六部 完結】




