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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第六部 決勝

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死の相撲処刑ショー(下)

硬いコンクリートに全身を打ちつけられた金本が、肺の空気をすべて吐き出すような悲鳴を上げる。


「ギャアアアアアア!!!」


骨が砕ける鈍い音が響き、金本の体は衝撃で跳ねた。血混じりの唾を吐き、痙攣しながら倒れ込む。


スケートリンク場は一瞬の静寂に包まれた。しかし、すぐに観客たちが狂ったように歓声を上げ、地獄の相撲処刑ショーの幕が本格的に開かれた。


雷王丸は軽々と土俵へ戻ると

「スモウ ヲ トリ マショウ」

彼は、まるで獲物を狙う猛禽類のように、巨体をかがませ、地響きを立てるように中年の金本へと突進する。


金本は必死に逃れようとするが、雷王丸の動きは予想をはるかに超えて鋭かった。

逃げる暇もなく、雷王丸の巨大な腕が金本の胸元に激突する。


ドガァァンッ!!


衝撃で金本の体は無防備に壁へと叩きつけられ、血が噴き出しながら彼の体は崩れ落ちた。

口からは血が滲み、目はうつろに。


雷王丸はその場に近づき、倒れた金本の肩を掴む。

金本は、ぶらりと宙に浮いたまま、かすかに震えている。


「や、やめ……」


金本の必死の声が、虚しく廊下に消え去る前に、雷王丸の巨大な掌底が男の顔面に激しく叩きつけられる。


バチィィンッ!!!


鈍い衝撃音が響き、金本の体は無造作に地面へと転がり、脳みそが揺れるかのように、完全に気絶してしまった。


雷王丸は足元に倒れた金本をじっと見下ろしながら、ゆっくりと拳を握りしめ、冷笑を浮かべる。


「モウ、タチマセンカ?」


その声は、狂気と快楽に満ち、まるで芸術品のように計算された残虐さを感じさせた。

そして、雷王丸は倒れた金本の肩を掴み、無理やり立たせると、低く冷たい声で呟いた。


「オワリ、マデ、ガマン。」


すぐに、雷王丸は更なる残虐行為を開始するかのように、金本の体を強引に引きずり、地獄の土俵に中央へと戻そうとする。


「トリクミ、ツヅケマス!」


雷王丸の張り手が再び振り下ろされ、金本の体に激しい打撃が加えられる。金本は、絶叫を上げながらも、もはや反抗する力も残されず、血と肉が混ざり合う惨劇の中、ただ無抵抗に滅びていった。


雷王丸は、その狂気に満ちた表情を浮かべながら、楽しむが如く、残酷なショータイムを続ける。金本の意識が途切れ途切れになる中、無慈悲な張り手が容赦なく振り下ろされ、コンクリート上には血の飛沫が舞う。


しかし、その沈黙を破るかのように、観客席の前から、甲高い声が響いた。


「ナランはナランなぁ!全然ナラン!」


雷王丸の耳に、その言葉が突き刺さった。

雷王丸の本名はナランマンドハイ、いじめてきた先輩から言われ続けてきた「ナラン 全然ナランな!」という言葉


「……?」


ゆっくりと視線を上げると、観客席の影から男が立ち上がった。影法師のように浮かび上がるその姿、彼は不敵に笑っていた。


(岡田……以蔵ッ!)


雷王丸の目がギラリと光る。

岡田以蔵は肩をすくめ、挑発するように笑う。


「デカいクセに弱ぇな、ナラン?さっきは俺に負けたよな、ナラン!」


雷王丸の顔がみるみる険しくなる。


「オマエ……サッキハ ヨクモ ヤリ ヤガッタ ナァ!!」


岡田は片手を広げ、口元を拭う。


「おいおい、ナラン。さっきの膝蹴りが気に入らねぇのか? あれはルール違反だったってか?」


雷王丸は拳を強く握りしめ、全身の筋肉を膨れ上がらせる。


「サッキノ ヒザゲリハ ハンソク……スモウ ヲ トリマショウ!」


岡田はニヤリと笑い、観客席から軽やかに降りると、雷王丸を見上げながら肩を回した。


「いいぜ、ナラン。人殺しの相撲をとろうぜ!」


観客がどよめく。空気が張り詰める。岡田以蔵が土俵へと歩いていく。


血で染まった土俵にうつ伏せのまま、死にかけている金本は、拘束を解かれた坂本忍が介抱している。

「金ちゃん、生きているか?地獄に行くのはまだ早いぜよ。」


「シノブちゃん、先に地獄に逝って待ってるつもりだったが、まだ...生きてるよ」

と虚ろな目をして呟く。


血だらけの金本は坂上忍に肩を担がれ。土俵を後にした。すれ違いざまに岡田以蔵が土俵へと上がる。

雷王丸は岡田以蔵への復讐で燃えていた。


周りは剣山に囲まれた地獄の土俵に雷王丸は足を開き、拳を地面に叩きつけた。まるで雷鳴が響いたかのように、コンクリートの

床が割れる。


「イザ……トリクミ!」


岡田は笑いながら雷王丸と同じ構えをとった。


「来いよ、ナラン。相撲をしようぜ!」


次の瞬間、雷王丸は稲妻のような早さで相撲のぶちかましを岡田以蔵へと仕掛けた!


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