死の相撲処刑ショー(上)
冷たいコンクリートの上に敷き詰められた無数の剣山パネル。光を反射する鋭い刃が、まるで血を求めて飢えているかのようにギラギラと輝いていた。地獄の土俵が、ついに完成した。
スケートリンク場の照明が一斉に点灯する。その白々しい光の下、拷問を受け血だらけになった金本と、拘束された坂本忍が、無慈悲にも氷の上へと引きずり出される。金本の顔は恐怖に歪み、ガタガタと震えながら必死に命乞いを始めた。
「た、助けてくれ…!頼む…!何でもする!金ならいくらでも…!」
だが、尾上は冷たく見下ろしながら鼻で笑った。
「闘わぬ者は死あるのみ。それが、この闘技場のルールだろ?」
無情な宣告に、金本はさらに絶望の色を濃くする。しかし、尾上は興味すらなさそうに衛星テレビカメラへと向き直り、ゆっくりと語り始めた。
「みなさまにお知らせがあります。この男たちが重大な不正を働きました。よって賭けは、雷王丸の勝ちとします。」
その言葉が響くと同時に、場内のスクリーンに金本の映像が映し出される。腫れ上がった顔、拷問の跡、涙を流しながら震える姿。その姿を見て、会場のあちこちから歓声が上がった。
尾上は不敵な笑みを浮かべ、カメラを指さしながら続ける。
「そして、これから不正をした者を処刑する。死の相撲処刑ショーを開始します!」
尾上 彰義隊の観客たちは狂喜乱舞し、地鳴りのような歓声がスケートリンク場を揺るがした。コンクリートの上に敷き詰められた剣山が、まるで獲物を待ち構える怪物のように静かに光を放っている。
雷王丸は、分厚い胸板を震わせながらゆっくりと指を動かした。
「ドチラヲ…コロソウカナ…」
雷王丸の巨体が坂本と金本の間を行ったり来たりするたびに、観客たちは歓声を上げる。まるで遊びでもしているかのように、雷王丸は二人を交互に指さしながら、にやりと笑った。
「カミナリサマノ…イウトオリ」
その瞬間、雷王丸の指が止まる。——金本だ。
金本の顔から血の気が引いた。全身が硬直し、涙目で首を振る。
「や、やめろ…!待ってくれ…!!!」
しかし、雷王丸は何の躊躇もなく金本の襟首を掴み、そのまま軽々と持ち上げた。金本の足が宙に浮き、もがく様子がまるで哀れな人形のように見えた。
「ショケイカイシ!」
雷王丸の轟くような声が響き渡る。そして、一気に金本を抱え上げると、巨大な腕力でコンクリートの土俵へと叩きつけた——!
ドガァァァァンッ!!!
硬いコンクリートに全身を打ちつけられた金本が、肺の空気をすべて吐き出すような悲鳴を上げる。
「ギャアアアアアア!!!」
骨が砕ける鈍い音が響き、金本の体は衝撃で跳ねた。血混じりの唾を吐き、痙攣しながら倒れ込む。
スケートリンク場は一瞬の静寂に包まれた。しかし、すぐに観客たちが狂ったように歓声を上げ、地獄の相撲処刑ショーの幕が本格的に開かれるのだった。




