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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第六部 決勝

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第八話 制圧

停電により黒く沈んだスケートリンクに、銃声と怒号が響いた。


特別観覧室の中央、そこに佇むのは、鉄の棒を握りしめたダブルドラゴンの金本。右手に握る鉄棒を乱暴に振り回し、左手のスマホに向かって中国語でわめき散らかしている。


「この状況はどうなっているんだ!!老子ナニシテル!」


怒り狂った金本の叫びが、停電したリンクに反響する。


そんな様子を、坂本忍は静かに見下ろしていた。暗闇に沈んだ氷の世界は、まるで嵐の前の静けさ死の匂い。

次に訪れるのは、地獄の修羅場だと悟っていた。


——バンッ!!


特別観覧室のドアが勢いよく開いた、その瞬間。


「敵が……すごい人数で……対応できま——」


バァン!!


銃声が響き、中国マフィアの幹部がドアノブを握ったまま崩れ落ちる。返り血が壁に飛び散り、彼の体は無残にもドアにもたれかかるように動かなくなった。


そして。


尾上哲夫と風間が、ドアを蹴破りながら観覧室に突入した。


「テメェら……!」


金本が即座に鉄棒を振り上げ、尾上へと殴りかかる。


しかし。


バッ!!


尾上はなんなくその一撃をかわすと、鋭い動きで金本の顔面を鷲掴みにした。


「ぐ、がっ……!」


金本の叫びが響く。


次の瞬間、尾上は金本の頭を地面へと叩きつけた!


ガンッ!!!


鈍い音とともに、金本の体が痙攣する。


そして、尾上は倒れた金本の腕をパイプ椅子に叩きつけると、その椅子に悠々と腰掛け、静かに言い放った。


「……今いっそう、世の中を洗濯してみたくなったそうろう。」


坂本忍が目を細める。


「……わしの先祖の言葉じゃのう。革命家にでもなったのか?」


尾上は薄く笑い、冷たく言い放つ。


「この言葉はな、龍馬の有名な言葉の一部分を切り取っただけだ。」


「ぎゃあああああっ!!」


金本が激痛にのたうち回る。その声があまりにも耳障りだった。


尾上は風間に目を向け、


「豚を黙らせろ!」と指示を出した。


金本は隣の部屋へと引きずられ、風間の張り手の連打を浴びせられた。


——バチンッ!! バチンッ!!


「ぎゃああ!やめろ!やめ……っ!!」


悲鳴が響く中、坂本忍は尾上の特殊部隊に拘束されていた。


尾上は、冷徹な眼差しで坂本を見下ろし、低く言い放つ。


「さっきの続きだがな、坂本は外国人を皆殺しにするため、国家は洗濯すべきだ。そう言いたかったのだ」


……静寂。


坂本忍は、言葉を失った。


尾上は続ける。


「坂本龍馬はあまりに過激な思想の持ち主だった。だから歴史の教科書から削除された。」


氷のように冷たい言葉が、観覧室に響く。


「そう、このように歴史は常に塗り替えられるんだよ。」


尾上は不敵に笑いながら、スケートリンクを見下ろした。


「この状況を見てみろ。今まで弱者みたいに扱われてきた俺が、今は勝者として君臨している。」


そして、手を振り上げ、叫んだ。


「さぁ、お前ら!スケートリンク上で地獄の処刑ショータイムだ!!」


拷問をうけた金本と拘束された坂本忍は、無慈悲にもスケートリンクへと引きずり出されていった。


___________________________


スケートリンク場の静寂を破るのは、ギィィィィ……バキィィン!!という不気味な金属音だった。

水だらけとなったスケートリンク場は水が排出され無機質なコンクリートが現れる。


雷王丸が、壁に埋め込まれた剣山パネルを豪快に引きちぎっていく。


雷王丸は200キロの錘を外し、腕首と足首の肌は赤くなっているが、身は軽くなり上機嫌だ。


「カワイガリマス……カワイガリマス……!」


顔を血に染めたまま、雷王丸は楽しげに笑う。鼻の怪我は応急処置されたものの、その眼は獣のように輝き、興奮で震えていた。


ゴンッ!! ズシャァァァ!!


鋭利な剣山パネルがコンクリートの上に放り投げられる。無数の刃が煌めき、凶器と化したスケートリンクが次第に姿を現す。


ここはもう、逃げ場のない地獄の処刑場だ。


雷王丸は剣山を次々と敷き詰めながら、愉快そうに呟く。


「ワルモノ コロス……ワルモノ ショケイ……」


そこへ尾上が歩み寄る。目を細め、不敵な笑みを浮かべながら雷王丸の肩を叩いた。


「ピカリン先生……悪者を全員、殺しましょう。」


雷王丸は一瞬目を見開くと、次の瞬間、顔をくしゃっと歪めて笑った。


「スモウ ヲ トリマショウ……!」


鋭利な剣山パネルが、コンクリートの上で不気味に光る。落ちることすら許されない、まさに死の舞台。


坂本忍はその光景を見つめながら、ぼそりと呟いた。


「……悪趣味じゃのう。」


雷王丸は最後の剣山パネルを敷き詰めると、満足げに大きく息を吸い込んだ。


「ワルモノ……ゼンブ……ゼンイン ショケイ!!!」


挿絵(By みてみん)


冷たいコンクリートの上に、周りは剣山パネルを敷き詰めた。地獄の土俵が完成した。

血と狂気が混ざり合う死の処刑ショーが、今まさに幕を開ける。


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