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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第六部 決勝

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決勝戦(下)

坂本龍太郎は、意識を失ったまま氷上に横たわっていた。その隣で、岡田以蔵と雷王丸が対峙する。氷の上に立つ二人の呼吸が白く染まり、会場全体が静寂に包まれた。スケート競技場の氷は割れてしまい。スケート上は水浸しになっている。


雷王丸の目が怪しく光る。


「アナタ、スモウガ スキナ ヒト デスヨネ?」


低く響くその声に、岡田以蔵は鼻で笑った。


「すまねぇ、相撲なんざ好きじゃねえ。俺が好きなのは斬り合い、殺し合いよ。」


その瞬間、彼の目が血走る。


「生まれ変わった岡田以蔵が、快楽で人を殺す貴様に天誅を下す!」


声がスケートリンク場に木霊した。そして、岡田はスケート靴を脱ぎ捨てた裸足になる。

裸足と素手の岡田を見た雷王丸は、ゆっくりと口角を上げる。


「アナタ、コロシアイ……スキ?」


その問いに、岡田はすぐさま応じる。


「好きだぜ、殺し合い。」


ニヤリと笑い、闘志をむき出しにした岡田を見て、雷王丸が再び口を開く。


「スモウヲトリマショウ。」


言葉と同時に、雷王丸は腰を落とし、両手を地面につけた。まるで本物の力士のような低い構えだ。


岡田以蔵もそれに合わせ、相撲の立ち合いの姿勢を取る。しかし、その目は獲物を狙う獣のように鋭い。


「アナタ ウソツキ。スモウ、スキデスネ。」


雷王丸の低い声が響いた瞬間、彼の巨体が閃光のように動いた。


ドンッ!!


氷上を砕くような音とともに、雷王丸が猛突進する。


「くっ!」


岡田の視界が一瞬歪む。雷王丸の膝が地を這うような低さから、電光石火の突進が迫る。


そして——


稲妻のかち上げ!!


雷王丸の膝が爆発的に伸び、その巨体が弾丸のように浮き上がる。


バシュッ!!


鋭い風を切る音とともに、雷王丸の強靭な前腕が、稲妻のようなスピードで岡田の顎を撃ち抜かんと迫る!


しかし、岡田はその瞬間、驚くべき動きを見せた。


「……ッ!」


雷王丸の鋼のような腕が顎を捉える寸前、岡田はその腕を踏み台にするように跳び上がった。


シュッ!!


まるで影のように軽やかに、岡田は雷王丸の前腕を蹴り、逆立ちの姿勢を決めた。


「サ、サーカスヤロウガ!」


雷王丸が目を見開き、信じられないというように呻く。まるで曲芸師のような動き。いや、そんな悠長なものではない。

これは……暗殺者の動きだ。


(コレハ マサカ投ゲカ……?)


雷王丸は瞬時に警戒し、背中を丸めて投げを防ごうとする。しかし、それこそが岡田の狙いだった。


暗殺武術 肩風車!!


岡田の叫びとともに、逆立ちの状態から体操選手のように回転し、雷王丸の顔面めがけて両膝を振り下ろす!


ズガッ!!!


骨と肉が砕けるような衝撃音がスケートリンク場に響いた。


「グボォッ!!」


雷王丸の巨体が揺らぎ、鼻から大出血を起こす。真っ赤な血が氷の上に飛び散り、まるで血の華が咲いたかのようだった。

岡田は着地と同時に、冷たい笑みを浮かべて叫んだ。


「地獄の閻魔がな血の池地獄でお前を待ってるぜ!!」


ドサッ……!


雷王丸の巨体が背中から崩れ落ちる。


スケートリンクリンクの上水に広がる真っ赤な赤い血。倒れ伏した雷王丸。

勝負は決したように見えたが…突然スケートリンクの照明が落ち会場内は真っ暗な暗闇となった。


そして、銃撃音がいたる所で鳴り響いた。


尾上 彰義隊(しょうぎたい)の血の革命軍がスケートリンク場を占拠するため、全軍突撃を開始したのだった。

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