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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第六部 決勝

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第四話 それぞれの理想

豊島ランド駅の駅近くの有料の貸会議室。そこには数十名の警察官と刑事たちが集まっていた。斎藤一樹は、彼を信じる志士たちを前に静かに語り始める。


「土方が命を懸けて撮影した賭博の証拠写真、ニッコリハウジングのダブルドラゴンの金本への豊島ランド売却、岡崎洋介と雷王丸の繋がり、ヤクザの賭博……すべて証拠不十分として捜査は打ち切られた。警察内部に裏切り者がいるのか、それとも買収されたのか……この警察の組織はすでに崩壊して腐敗をしている。」


誰もが静かに聞き入っていた。


「しかし、数日前に豊島ランド関係者から情報提供があった。スケートリンクにて、工事関係者ではない男たちの出入りが確認された。明らかにヤクザ者だ。俺は、この僅かな手がかりに賭けるつもりだ。……もし、恐れを抱く者がいるならば、今ここで退出してくれ。」


横にいる土方敏夫が

「星(相手)は中国マフィア ダブルドラゴン金本知憲かねもとともあき だ。生きて戻れる保証はない。命がけの捜査となる。今ここで退出しようと責めはしない。」

と注意喚起をする。


しばしの沈黙の後、数名の警察官が席を立った。


「すまない。家族と、小さな子供がいるんだ……」


「俺には守るべき婚約者がいる……」


戸惑いながらも、彼らは貸会議室を後にした。


残ったのは、わずか八名。


土方敏夫が声を上げた。

「今日ここに残った者たちは、日本の防波堤として国を守る覚悟を持つ者たちだ。たとえ世間が何と言おうとも、俺たちは斎藤一樹を恨みはしない。殉職しようとも、それは誇り高き国家の死だ!」


「斎藤一樹 万歳 ! 日本国家 万歳! 国家安泰 万歳!」

貸し会議室に万歳三唱と木霊する激励の声


決意を胸に、八名は豊島ランドへと歩を進めた。


___________________________


斎藤一樹の一派が豊島ランドまであと少しの上り坂に差し掛かると、覆面をした十数名の男たちが行く手を阻んだ。


斎藤一樹は、その中心に立つ男に向かって声をかける。

「沖田、辞表を郵送して辞めるとは社会人としてどうなんだ?辞表を郵送して連絡もとれなくなり無言でやめちゃダメだろう。」


覆面の男がゆっくりと覆面をとり顔を露わにした。


「斎藤さん……あなたには、すべて見透かされていますね。あと二時間ほどで、私たちの理想が形になります。待ってもらえませんか?」


斎藤は大笑いした。

「はいそうですかって待つわけないだろうが!ゆとりが!お前たちの賭博のお遊びに、つきあうつもりはない!」


沖田は小さくため息をつく。

「やはり、話し合いは決裂ですね。……あなたとは戦いたくなかった。」


「お前は岡崎洋介の仲間か?それとも別の組織に属しているのか?」


沖田は瞳を伏せた。

「答えられません。」


「そうか。ならば、われわれの任意同行を願えるか?」


沖田は背後の悪天必罰教の男たちへ振り返った。そして、静かに呟く。

「悪し者たちに天罰を。我らが進む先には理想の世界がある……極楽へ参るぞ!」


「うおおおおおおおおお!」


悪天必罰教の信者たちが、坂道の上から駆け足で各々の武器を片手に一斉に警察官たちへと襲い掛かった。


「沖田壮一を公務執行妨害およびスパイ防止法違反で確保せよ!」

土方敏夫が叫ぶ。


「確保だああああ!」


怒号が鳴り響く。市街地に響く叫び声。


警察の者たちは己の信念のために、悪天必罰教の信者たちは己の理想のために、命をかけて戦った。


斎藤一樹は、目の前の混沌を見つめながら呟いた。

「それぞれの理想ってやつか……」


乱戦となり、また一人また一人と男たちの影が倒れていく。


風が吹き抜けた。


誰の理想が正しかったのか。それぞれの理想を胸に、生き残りをかけた闘いが始まった。

【沖田総司は新選組の規律違反の粛清を行っていた。】


沖田総司が新選組の一番隊組長として活躍していた際、裏切り者の粛清に関与したとされるエピソードがあります。特に有名なのは、総長であった山南敬助の脱走事件です。山南は新選組の規律を破り脱走を試みましたが、沖田が追っ手として差し向けられ、近江大津で捕らえました。その後、山南は切腹を命じられ、沖田が介錯を務めたとされています。


この事件は、新選組の厳しい規律と沖田の忠誠心を象徴するものとして語り継がれています。ただし、沖田が山南を兄のように慕っていたとも言われており、その心情は複雑だったかもしれません。

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