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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第五部 死闘

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第十二話 集団戦術

「ほいじゃ、今日は新選組の集団戦術を学ぶがよ」


坂本龍太郎と俺は、再び忍者教室にやってきた。


「おまん、スケートばっかりやっとる場合じゃないき。氷の上でも陸の上でも、戦いちゅうのは戦術が大事ながや」


「わかってるよ……。でも、忍者教室で新選組の戦術を練習するのか?」


「新選組の強さの秘密は集団で1人の敵を倒すことにたけてちゃことよ」


龍太郎が得意げに言う。


今日教わるのは、新選組が使った集団戦術だという。


「まずは、双竜剣じゃ!」


教官が木刀を持ちながら説明する。


「これは二人一組になり、敵を挟み撃ちにして倒す技だ。前後から連携して攻撃を仕掛け、敵に逃げ場を与えない」


「なるほど……俺と龍太郎が組んで、敵を挟むわけか」


「おうよ! ワシが先に攻撃を仕掛けるき、おまんは後ろから追い討ちをかけるがじゃ!」


「お前、楽しそうだな……」


龍太郎のテンションが異様に高い。


「次は、草攻剣!」


「草攻剣?」


「相手を囲んで、ちまちま遠くから斬りつけて、相手の体力を削る技ぜよ。大ぶりの一撃より、小さな傷を重ねるほうがじわじわと効いてくるがじゃ」


「なんか卑怯くさいな……」


「戦いちゅうのは勝たな意味がないがよ!」


龍太郎が笑いながら木刀を振る。


「次は、山攻撃破剣!」


「これは?」


「一人が敵を倒した瞬間に、周りの仲間が一斉に攻撃を仕掛ける技じゃ。敵が油断した隙に一気に仕留めるがよ」


「……いや、これめちゃくちゃエグくないか?」


「戦場では甘いこと言うちょれんぞ。トドメを刺すのは、戦いの基本じゃき」


確かに理にかなっているが、やはりどこか残酷に感じる。


新選組の集団戦術は室内戦や不意打ちなどの現代のゲリラ戦に精通し、素早く標的を排除して決着をつける。

こうした集団戦闘こそが新撰組の強さであった。


挿絵(By みてみん)



「おまん、気づいちゅうか?」


坂本龍太郎がニヤリと笑いながら言う。


「何がだ?」


俺は息を整えながら問い返す。さっきまで新選組の戦術を学びながら実戦練習をしていたが、どうにも腑に落ちないことがあった。


「ワシら、体重差っちゅう問題を考えちょらんかったがや」


「体重差?」


「そうじゃ。戦いちゅうのは力だけやない。けんど、体重差があると純粋な力の勝負になったときにどうしても不利になるがよ」


「……確かに。スピードや技術で補えるとはいえ、体重差があると相手の一撃の威力も違うし、押し負けることもある」


坂本が大きく頷く。


「そこでや! ワシら独自の集団戦術剣を編み出すがよ!」


「なんだそれは?」


「名付けて居合抜刀剣!」


「居合抜刀……?」


「そうじゃ! 体重差がある相手に対して、戦略をしっかりと練り、技術と心理戦を駆使する戦術ぜよ!」


坂本は得意げに説明を続ける。


「まず、体重が重い相手には真正面からぶつかるんやなく、居合抜きのように一瞬の速さで攻撃を仕掛けることが重要ながや。長期戦になればなるほど、体重が重い相手は体重差に物を言わせてくる。けんど、ワシらはその隙をつく!」


「なるほど……」


「体重が軽い者同士が連携し、瞬間的なスピードを活かした攻撃を仕掛ける。相手が力で押し切ろうとしてきたら、その瞬間にカウンターを狙う!」


「確かに、それなら体重差の不利を最小限にできるな」


坂本が満足そうに頷く。


「けんど、それだけやないがや。心理戦も大事ぜよ!」


「心理戦?」


「おうよ。体重が重い相手は、軽い選手がビビると思うちゅう。けんど、ワシらが恐れずに前に出たらどうなる?」


「……相手が戸惑う?」


「そういうことぜよ! 体重差を恐れずに堂々と向かっていけば、相手は『こいつ、何か策があるんじゃないか?』と思うき、不用意な攻撃をためらうかもしれん。そこが狙い目ながや!」


「なるほど……」


「つまり、居合抜刀剣とは、相手の力を利用し、心理的優位を築き、瞬間的なスピードで勝負を決める戦術ぜよ!」


坂本は木刀を構えながら言った。


「よし、これをモノにすれば、どんな相手が来ようと戦えるな!」


「ほいじゃ、さっそく実戦練習じゃ! 逃げるなよ、岡崎!」


「ちょっと待て! 心の準備が」


「甘いぜよ!!」


坂本の猛攻が、再び俺に襲いかかるのだった!



【第五部 完結】

【新選組の集団の強さ】

新選組は、ただの剣豪集団ではなく、戦術的にも優れていました。

隊ごとに役割を分担し、戦闘では複数人で一斉に敵を襲う戦法を採用。

市街戦に特化しており、狭い路地や建物内での戦いを得意とした。

「組織としての動き」を徹底し、個人戦ではなく集団戦で戦うことで少数でも強敵に対抗できた。

鉄砲隊も編成し、刀剣だけでなく銃器も活用していた。


新選組の集団戦術が最大限に発揮されたのが 「池田屋事件(1864年)」 です。

複数の志士たちが密会していた旅館・池田屋に突入し、たった30人程度の隊士で約130人の敵を相手に戦い、圧勝した。短時間で多くの尊王攘夷派志士を討ち取ることで、新選組の名声を高めた歴史的事件である。


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