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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第五部 死闘

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準決勝 第二試合 二回戦(下)

過去(地獄のカワイガリ)


雷王丸が、まだ17歳だった頃。彼の本名はナランマンドハイ

外国からやってきて相撲部屋に入門したばかりの彼は、誰よりも大きな体を持っていたが、それは標的になる理由でしかなかった。


「デカいクセに弱ぇな、ナラン?」


「ナランなってないな、全然耐えねぇぞ! もっと追い込んでやれ!」


ニヤつく先輩力士たち。


それは「稽古」なんて言葉で片付けられるものではなかった。


カワイガリ


それは、新弟子を潰すための儀式だった。


「四股1000回な。」


雷王丸の両脚が、ガクガクと震えていた。


朝から何も食べていない。


足の指はすでに腫れ上がり、爪は剥がれかけていた。


だが、終わらない。


終わらせてもらえない。


「おい、まだだぞ?」


先輩力士の一人が、バケツに入った冷水を雷王丸の頭からぶっかけた。


「ヒッ……!」


全身が凍えるように冷たくなる。


だが、ここで震えたら許されない。


「おい、土俵に立てよ、デカブツ!!」


ドガッ!!!


脇腹に鋭い蹴りが入る。

雷王丸は、歯を食いしばった。


「はい、四つん這いになれ。」


それは、次の地獄の始まりだった。

雷王丸は土俵に這いつくばる。


すると背中に馬乗りになられた。


「せーの!!」


バキバキバキ!!!


「グオォッ!!!」


巨大な体重が雷王丸の背骨を軋ませる。

肺が圧迫され、息ができない。


「ハッハッハッ!! おい、これ死ぬんじゃねぇか?」


「ナランは全然ならんな! ナランナラン ハッハッハッ!! 」


「まぁ、新弟子が一人減るくらい、どうってことねぇだろ?」


誰も止めない。

地獄だった。涙が勝手に溢れた。


「おい、ナランは飯抜きだ。」


「ナラン部屋の隅で体育座りしとけ。」


他の力士たちがちゃんこ鍋を食べる中、雷王丸は一人、畳の上で震えていた。


(もう……無理かもしれない……)

殴られた顔は腫れ上がり、口の中は血の味しかしなかった。

腹は減っている。


けれど、食べることも許されない。

泣きたくても、泣くことも許されない。


その時

ふと、土俵の中心を見た。


相撲の神が宿ると言われる、聖なる場所。


そこには

「強くなりてぇなら、カワイガリを耐えろ。」

かつて親方に言われた言葉が、こだました。


___________________________


雷王丸の表情が突然変わる。

静かにいや、異常なほど穏やかに、呟いた。

「カワイガリマス。」

雷王丸の目が血のように赤く染まる。


挿絵(By みてみん)


VIPルームにいる岡崎洋介と坂本龍太郎も、「……なんだ?」

雷王丸の表情から何かとてつもない狂気を感じていた。


鬼の稲妻の雷神がついに覚醒して目覚めた。

雷王丸が大きな両手を広げる。


シャバーニがロープを使って攻撃しようとした瞬間

ロープを手繰り寄せ


ズバァッ!!!


雷王丸が天井にあるロープを引きちぎった。


ターザンの動きを封じられたシャバーニの顔が驚愕に歪む。

だが遅い。



雷王丸が、ロープごとシャバーニをコンクリートの地面に向かって叩きつけた!!


ドガァァァァァン!!!!!


コンクリートの床が崩壊する。


雷王丸が、二たびシャバーニをコンクリートの地面に向かって叩きつけた!!


ドガァァァァァン!!!!!


コンクリートの床が崩壊する。


砕けたコンクリート土煙が舞い上がる。


「カワイガリノジカン。」


雷王丸はシャバーニを軽々と持ち上げる。


「オラァァァァ!!!!」


次の瞬間


ドガァァァン!!!


シャバーニの巨大な体が、三たびコンクリートの地面に叩きつけられた。


コンクリートが床が粉砕するほどの衝撃。


そして、雷王丸は容赦なくシャバーニを掴み上げる。


「マダマダ!」


ブンッ!!!


シャバーニの体が宙を舞う。


目指すは金網電流。


「カワイガリ ハ ツヅク……」


バチバチバチバチバチ!!!!


金網に叩きつけられたシャバーニの体に、高圧電流が流れる!!


「ギャアアアアアア!!!!」


シャバーニの絶叫が響き渡る。


だが雷王丸は、その体を離さなかった。


むしろ、さらに押しつけた。


「カワイガリマス……カワイガリマス……カワイガリマス……」


何度も、何度も、何度も


雷王丸はシャバーニを電流に押し当て続けた。


バチバチバチバチバチ!!!!!!


肉が焦げる音、血の匂い。


シャバーニの体が痙攣し、ついに動かなくなった。


ビクン……ビクン……


雷王丸はシャバーニの焼け焦げた死体を放り投げ捨てる。


「カワイガリ 。オワリマシタ。」


「ヒッ……!」

審判員たちがあまりに惨い殺し方に悲鳴をあげた。


雷王丸は相撲の決まりて 押し出し、によりジャングルの王 シャーバーニジュニアを殺し決勝戦へと進んだ。



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