準決勝 第二試合 二回戦(上)
【ジャングルの王】
【稲妻の雷神】
VIPルームの巨大モニターに映し出される二人の選手
京都の地下闘技場の薄暗い闘技場の中央に、二人の戦士が入場する。
【ジャングルの王 シャバーニジュニア】
ジャングルの王は獣のような黒い鋼の肉体と野獣の力を持つ男。
黒光りする筋肉はまるで鋼鉄の塊のようだ。
【稲妻の雷神 雷王丸】
身長2メートル50センチ、体重280キロの巨体を揺らしながら、雷神を模したコスチュームに身を包み、首を左右に振り、荒々しく手を振り回しながら堂々と歩く。その姿はまるで雷を纏った鬼神のようだ。
体重差の影響で、手首と足首にはそれぞれ50キロの錘が巻きつけられていた。
「倍率発表! ジヤングルの王20倍、稲妻の雷神 1.1倍!」
煙草の煙が立ち込めるVIPルームでは、ヤクザの親分やギャングたちがモニターを睨んでいた。
中国マフィア【ダブルドラゴン】の首領・金本が、不服そうに腕を組む。
「体重差がありすぎて、子供と大人の戦いでつまらんな。このままでは賭けにならん。」
そう呟くと、すぐに部下へ指示を出した。
「ジャングルの王に打撃系の武器を与えろ。」
選ばれたのは巨大な棍棒。
シャバーニ・ジュニアがその棍棒を握ると、関節がゴリゴリと鳴った。
「準決勝なので、特設リングを用意したぞ。」
金本の言葉とともに、金網に電流が流れ始める。
バチバチバチッ!!
一瞬にして、金網が紫電に包まれる。金網が高圧の電流の流れる危険な物体となった。
さらに天井からは無数のロープが垂れ下がった。
金網電流ロープデスマッチ発動される。
そして
試合開始のゴングが鳴った!!
「ウォォォォォ!!」
ジャングルの王・シャバーニ・ジュニアが、ターザンロープを掴み、一気に天井へ跳ぶ!
黒光りする鋼の筋肉がしなる。
そのままロープを使い、猿のように競技場内を飛び回る!
一撃必殺の棍棒を振り上げ、雷王丸の頭上へと急襲!
バシュッ!
棍棒が雷王丸の頭を直撃する。
「ウオオオオオッ!!」
シャバーニ・ジュニアがロープを掴み、一気に跳ぶ!
ターザンのように空中を移動しながら、棍棒を振りかぶる!
バシュッ!
棍棒が雷王丸の肩を直撃する。
しかし——雷王丸は微動だにしない。
「……!」
シャバーニが驚く間もなく、別のロープに飛び移り、別の角度から殴りかかる!
右から!
左から!
後ろから!
雷王丸の巨体に、次々と棍棒が叩きつけられる!
場内には、鈍い打撃音が響き渡った。
ドガッ!
バキィッ!
ズガンッ!
「オラァァ!!どうした雷神サマよぉ!!」
シャバーニは笑いながら、さらに棍棒を振り下ろす。
しかし
雷王丸の動かず表情は、微動だにしなかった。
シャバーニ・ジュニアの棍棒が雷王丸の巨体を叩き続ける。
ゴッ! ゴッ! ゴッ!
ウォ ウォ ウォ ウォ !!ゴリラののように奇声を上げるシャバーニジュニア。
野獣のような猛攻。
ターザンロープを駆使し、様々な角度から狙う。
普通の人間なら、とうに意識を失っているはずだった。
だが
雷王丸は、微動だにしなかった。
むしろ、彼の脳裏には、別の光景が蘇っていた。




