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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第五部 死闘

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第八話 証拠写真

地下闘技場の地下の駐車場では、ダブルドラゴンのマフィア構成員たちが次々とやってくる高級車を機械式駐車場入り口部分へと誘導していた。刑事・土方敏夫はビルの陰に身を潜め、望遠カメラを構える。岡崎洋介を追いかけて京都までやってきたが、彼を追っていると思わぬ事件の現場へと来ることになった。


「このビルで何かが行われている……証拠を押さえるんだ……」


シャッターを切る。その瞬間、土方の目が鋭くなった。


雷王丸らいおうまる


身長2メートル50センチ、体重280キロの巨体を揺らしながらの巨体。

機械式駐車場に収まるはずのない彼が、そこにいた。


「元格闘家達や暗殺者を集めていやがる、やはり闇の格闘技場での……違法な賭博か?」


確信したその時——


——ビーッ!ビーッ!


防犯カメラが作動し、警報が鳴り響く!


「クソッ、気づかれたか……!」


土方はすぐさま1階の出口へと向かう。しかし、すでにダブルドラゴンの構成員たちが包囲網を敷いていた。黒スーツの男たちがナイフや鉄パイプを手に、じりじりと間合いを詰めてくる。


「チッ……やるしかねぇな!」


土方は警棒を抜き、一瞬で敵の懐に踏み込んだ。


「ぐっ……!」


ガツッ!バキッ!


怒涛の勢いで襲いかかる構成員を次々に沈めていく。しかし


「ほう……なかなかやるな。」

静かに響く声。


そこに立っていたのは、一人の男。

殺し屋 魏王ぎおう


ダブルドラゴン最強の殺し屋。


青龍刀を携えた長身の男が、土方を冷ややかに見下ろしていた。


「刑事風情が、よくここまで来たな……」


土方は息を呑む。魏王の殺気が、空気を凍らせる。


「……ここまでか?」


刀がゆっくりと構えられる。土方は歯を食いしばった。


その時


「……。」


1階の出口の扉が開いた。そして階段をゆっくりと降りてくる一人の人物


魏王が目を細める。

土方も息を呑む。


黒い覆面の男が、両手に日本刀を構え音もなくそこに立っていた。


「何者だ……?」


魏王の問いに、覆面の男は何も答えない。

ただ、土方に向かって首で無言で合図を送る。


(……逃げろ。)


覆面の男の仕草だけで、土方は理解した。


(……沖田壮一……!)


土方の脳裏に、病欠で休んでいる刑事の男の名前が浮かんだ。

土方は夢中で1階の出口へと階段を駆け上がっていった。証拠のカメラと写真共に…


___________________________



魏王と沖田壮一は、互いに一言も発さないまま対峙した。


静寂。


地下駐車場の暗闇の中、微かな蛍光灯の明かりが、二人の青龍刀と日本刀に鈍い光を宿す。

空気が張り詰めている。


魏王がゆっくりと構えを取る。青龍刀の刃が僅かに傾き、沖田の全身を斬る準備を整えた。

沖田壮一もまた、無言のまま腰を落とす。


次の瞬間——


——斬ッ!!


魏王の青龍刀が閃光の如く振るわれる。

沖田は一歩も引かず、その刃の軌道を正確に見切る。


——カンッ!!


刃と刃が火花を散らす。


空間を切り裂く金属音が、地下駐車場に響き渡った。


魏王の青龍刀が次々と襲いかかる。横薙ぎ、袈裟斬り、返し突き!


だが


沖田はまるで霧のようにその刃をすり抜ける。


魏王の額に、僅かに汗が滲んだ。


「……フッ。」


次の瞬間、二人は同時に


——駆け抜けた。すれ違いざまに——


新選組の沖田総司の必殺技【三段突き】が炸裂する!!


一撃目。

魏王の喉へ鋭い突き。

「グッ……!」


魏王の身体が僅かにのけぞる。


二撃目。

腹部に正確無比な突きが突き刺さる!


「ガハッ……!!」


魏王の体が大きく揺れた。


三撃目。

心臓を貫くような突きが放たれ、そして止まる。

魏王の瞳が大きく開かれた。


「ぐ……っ……」


挿絵(By みてみん)



沖田はゆっくりと返り血の日本刀を魏王の心臓から引き抜き、静かに振り返る。


魏王の身体が、ゆっくりと膝をつく。


そして——


ドサッ……。


魏王は沈んだ。


沈黙が訪れる。


沖田は一度も振り返らず、ゆっくりと刀を鞘に納めた。

その黒い覆面の奥から、わずかに


「……終わった。」


と、呟く声が聞こえた。


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