第二話 次戦の対策
地下格闘技場のトーナメント大会の第一試合がすべて終了した。
坂本組のVIPルームの巨大モニターには1週間後に対戦する次戦の対戦予告が映し出されている。
【令和の人斬り】(岡崎洋介)
VS
【死のフラメンコダンサー】(オリビア・デル・リオ)
【ジャングルの王】(シャバーニ ジュニア)
VS
【稲妻の雷神】(雷王丸)
岡崎洋介は、死のフラメンコダンサー・オリビアの華麗な死の舞の録画した対戦映像を見ながら、坂本龍太郎に感想を述べた。
「素早い動きで相手を翻弄して、相手を弱らせて仕留めるタイプかな」
「そうじゃけん、オリビアはスペインの殺し屋で多くの人を殺しており実績もあるけん。次戦はヤバき」
「あっそうじゃ。お前のスマホに伊藤美香が鬼電しちょるがな。バイブが鬼のように震えてちゃけん」
「そうだ、忘れてた。美香が京都に来るんだった。」
「それはさておき、龍太郎。お前に準備してもらいたい武器があるんだ」
岡崎洋介は坂本龍太郎に、マキビシ(撒菱)の武器発注の依頼をした。
【マキビシ(撒菱)】とは
マキビシは、敵の進軍を妨げるために地面に撒く道具で、忍者や戦国時代の武士が使用したことで知られている。
特徴
形状: 小さな金属や竹製の棘のある道具で、四方に突起があり、どの向きで落ちても必ず鋭い棘が上を向く構造になっている。
用途: 追っ手から逃げる際や敵の侵入を防ぐために、道や通路に撒いて足を負傷させる。特に裸足や草鞋を履いた敵に効果的だった。
材質: 戦国時代は鉄や竹が使われ、現代ではプラスチック製のものもある。
現代の使用
警察・軍事用途: 交通遮断用のスパイクストリップ(タイヤをパンクさせる装置)などは、マキビシの原理を応用している。
スポーツ・エンターテイメント: 忍者ショーや映画、ゲームでもよく登場する。
特殊部隊やゲリラ戦: 一部の軍隊や特殊部隊では、簡易的なトラップとしてマキビシの原理を応用することもある。
護身用ツール: 一部の特殊部隊やスパイが逃走時の遅滞策として使用することがある。
「洋介、発注するのは簡単じゃき。これで死のフラメンコダンサー・オリビアの動きを封じるんじゃな」
「そうだ。マキビシがあれば、ハイヒールにくっついて上手く踊れなくなると思うんだ」
「どんな方法でも勝てばいいのが、この地下闘技場のトーナメントルールじゃけん」
そこへ坂本忍が口を挟んだ。
「おいおい、戦いの準備もええが、女の扱いなら俺に相談しろや。そもそもフラメンコダンサーなんて情熱的なおなごやろ?ちょっとした駆け引きで動きを乱せるかもしれんぞ?」
「いやいや、今回は戦いの話だ。お前の女遊びの話はいい」
坂本忍はニヤリと笑い、岡崎洋介の肩を叩いた。
「まあ、困ったら頼れや。俺は女心を読むのが得意じゃけんの」
「余計なお世話だよ」
岡崎洋介は軽くため息をつき、坂本組の黒塗りのベンツに乗り込んだ。
「よし、美香を京都駅に迎えに行くぞ」
坂本龍太郎と坂本忍が顔を見合わせ、ニヤリと笑う。
「お前も気の強そうなおなごに、いろいろ振り回されて大変じゃのう」
「黙れ!」
坂本組の車のエンジン音が低く響き、京都の夜の街へとベンツは動き走り出した。




