表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第五部 死闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/89

第一試合 三回戦

【槍の又坐】

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


【死のフラメンコダンサー】

挿絵(By みてみん)


VIPルームの巨大モニターに映し出される二人の選手


京都の地下闘技場。その薄暗い空間の中央に、二人の戦士がゆっくりと入場する。

無機質なコンクリートの壁と、鉄格子のような金網に囲まれたリング。


槍の又坐またざは、肩に大きな槍を担ぎながら堂々と歩みを進める。槍は古来より戦場で最も多く使われた武器であり、その長い射程を活かした攻撃は絶大な威力を誇る。しかし、一度懐に入られれば、その長所は一転して弱点となる。

体重差を考慮し、手首と足首にはそれぞれ 5キロの錘 が巻きつけられている。


対する 死のフラメンコダンサー オリビアは、真紅のフラメンコドレスを翻しながら静かに入場した。ドレスの裾が揺れるたび、まるで血が舞うように見える。彼女の手には暗殺武器である フリスクナイフ が握られており、さらに太ももにも6本のナイフを隠し持っていた。軽やかな足運びは、まさに舞踏のごとき優雅さと殺意を宿している。


フリスクナイフは、18センチほどの小型で平べったいナイフ。携帯性に優れ、主に暗殺用の武器として利用される。その形状から素早く隠し持つことができ、投擲にも適している。刺突と切断の両方に対応した鋭い刃を持ち、静かに敵を仕留めるために設計されている。


場内に響くアナウンス。


「倍率発表! 槍の又坐 2倍、死のフラメンコダンサー 2倍!」


VIPルームでは、ヤクザの親分やギャングたちがモニターを見つめている。


その中で、一人の男が試合を終えてVIPルームに戻ってきた。


岡崎洋介。


血の匂いを残したまま、彼は坂本忍と坂本龍太郎の元へ歩み寄る。

坂本龍太郎は口元を歪めながら岡崎に言った。


「洋介、この試合で勝った方が次のおまんの対戦相手じゃけん、よく見とくぜよ。」


試合開始のゴングが鳴り響く。


槍の又坐は即座に槍の先を下向きに構え、鋭く振り下ろした。狙うはオリビアの足。


「足を潰せば終わりだ……」


そう考える槍の又坐。しかし、オリビアも当然、その狙いは承知の上だった。


槍が地を払うように振るわれる瞬間、オリビアは蝶のように背を反らせ、華麗に後方へと跳躍する。


「バタフライ・スルー!」


槍の一撃を紙一重でかわしたオリビアは、空中で太ももに隠していた フリスクナイフ を素早く抜き、怒涛の勢いで三本を投げつける!


「キラビー!!」

彼女の技が炸裂する。


まるで蝶のように舞い、蜂のように刺す鋭い攻撃、その姿に、VIPルームで観戦していた岡崎洋介は思わず息を呑む。


「蝶のように舞い、蜂のように刺す……!」


一本は槍で弾かれたが、残り二本は正確に命中した。

一本は又坐の右足に、もう一本は左腕に深々と突き刺さる。


「ぐっ……クソッ!」

又坐は呻き声を上げ、よろめいた。


オリビアは軽やかに着地すると、妖艶な笑みを浮かべ、鋭く宣言する。


「あなたはここで死ぬ運命にあった、それが、あなたのディスティニー(宿命)!」


そして、オリビアの足が静かに動き出す。


情熱的なステップ。

死のフラメンコの舞(この踊りを見たものは生きて帰ることができない)


『デス・フラメンコ・ディスティニー』 が始まった。


カツン、カツンと響く鋭いステップ音。

華麗な旋回と共に、オリビアは又坐の周囲を踊るように回り始めた。


その一瞬ごとに、彼女の手から放たれるナイフが 背中、足、腕……次々と又坐の肉体に突き刺さっていく。


それはまるで、闘牛場で雄牛が次々とサーベルを突き立てられるかのような光景だった。


「オレィ!!!」


オリビアが情熱的に叫び、舞が最高潮に達した瞬間、彼女の手に握られていたのは カスタネットではなく、仕込みナイフ。


カツン


一瞬の静寂の後、その刃が音もなく放たれ、オリビアが屈んで下から上へ槍の又坐の顎を貫く。


顎から鮮血の血が噴き出し、槍の又坐は牛のように前のめりに倒れた。


オリビアは、その美しい死を見届けると、赤いドレスをひるがえしながら静かに闘技場を後にする。

死のフラメンコダンスは終わった。


血の匂いが漂う中、死体が片付けられ次の試合の準備が進められていく。

第一試合3回戦は、死のフラメンコダンサーがデスフラメンコディスティニーにより勝利となった。


次の4回戦は、破壊王 VS 稲妻の雷神の選手が格闘闘技場の入口へと足を進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ