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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第五部 死闘

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第一話 VIPルーム

京都の地下闘技場その最上階に位置するVIPルームに、二人の男が足を踏み入れた。


一人は、悪天必罰教の宗教の大僧正・天樂てんがくと、もう一人は悪天必罰教の信者であり彼のボディガード役、沖田壮一(おきたそういいち)


挿絵(By みてみん)


天樂は部屋の奥へと進み、壁に埋め込まれた巨大なモニターを見つめた。モニターには現在進行中の試合と、賭け金を入力する画面が映し出されている。彼は端末に指を滑らせながら、二人の戦士に各1000万円を賭ける。


"令和の人斬り"

"死のフラメンコダンサー"


「便利な世の中になったものだな。」


天樂は感心したように呟く。


「数字を入力するだけで、オンラインで海外の銀行から即座に送金されるとは……。」


沖田は背筋を伸ばしたまま言う。


「御屋形様、この部屋には隠しカメラやマイクは一切ございません。」


天樂は頷くと、手を伸ばし、自らの黄金の仮面と黄金の兜を外した。


「フッ……。なかなか、この黄金の仮面と兜は暑くてかなわんな。」


仮面の下から現れたのは



挿絵(By みてみん)


権田勇次郎ごんだゆうじろう


その瞳には、歴史の闇に葬られた男の意思が宿っていた。


彼は近藤勇こんどういさみの生まれ変わりであり、かつての新選組 局長であった。


幕末、戊辰戦争の戦いで北へ逃げる敗戦中に、彼は捕らえられ、斬首刑に処された。歴史によれば、近藤勇の首はホルマリン漬けにされ、その後の行方は定かではないとされる。


しかし、首を落とされる直前、近藤勇はこう誓ったのだ。


「今度生まれ変わるときは、武力ではなく政治によって世の中を変えてやると。」


そして令和の世、彼は新たな名を持ち、新たな道を歩み始めた。


「悪天必罰教」近藤勇生まれ変わりの権田勇次郎が立ち上げた組織。


裏から政治を操り、腐敗した者どもを粛清する。それこそが、彼の誓いの成就であった。


「……ふむ。」


権田はモニターに映る名簿を見て、少し口元を歪めた。


「雷王丸が参加しているな。」


沖田が静かに頷く。


「はい。尾上組に属しており、多くの市民が彼によって殺されています。」


権田は指を組みながら低く呟いた。


「岡田以蔵か、オリビア……どちらかがヤクザの雷王丸を殺してくれればいいのだがな。」


沖田は少し意外そうに目を細めた。


「御屋形様はヤクザを危険視しているのですか?」


権田は淡々と答えた。


「ヤクザは必要悪だ。腐敗した社会には、ある程度の裏の力が必要となる。しかしな……一般市民に害を及ぼすヤクザは、ただのガンでしかない。」


モニターに映る【雷王丸 尾上組 登録選手】の名を見つめながら、権田は静かに言い放つ。


「雷王丸が殺害後にガンである尾上組は、この大会終了後に警察による天罰により組を解散してもらう。」


沖田は深く頷いた。


「ところで、御屋形様。」

沖田は慎重に言葉を選びながら話し始めた。


「岡田以蔵の『天誅』と、御屋形様の考える『天罰』……。その違いをどのようにお考えですか?」


権田は静かに目を閉じ、短く答えた。


「似て非なるものだ。」


沖田は無言で続きを促した。


「岡田以蔵の『天誅』は、あくまで個人的な正義に基づくもの。彼は自らの信じる正義のもと、腐った者を斬る。しかしそれは、所詮個人の価値観に過ぎん。」


権田は鋭い目を向けた。


「対して、私の『天罰』は組織的であり、政治的な意義を持つ。 単なる復讐ではなく、腐敗を断ち、社会を動かすための制裁だ。」


沖田は少し考え込みながら、静かに問いかけた。


「では、いずれ岡田以蔵とは対立することになると?」


権田はゆっくりと頷いた。


「今は手を結んでいる。だが、いずれどこかで必ず対決することになるだろう。」


その言葉に、沖田は何の迷いもなく答えた。


「その時は、私が岡田以蔵を始末します。」


権田はその言葉を聞き、満足げに微笑んだ。


「頼のむぞ、沖田。」

(幕末の新選組の沖田総司(おきたそうじ)を思い出してしまうな。総司お前は本当にいい奴だった。)


地下格闘技場(非合法なヤクザの大会)は、間もなく第一試合の1回戦が開催をされる。格闘技場の入り口にてジャングルの王 VS デコンドー王者の選手が入場を始めた。


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