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【全話 完結】令和の人斬り 《天誅》 天に代わりて、悪を討つ  作者: 虫松
第四部 覚醒

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第二話 リアル破壊王

プロレスラー 高橋健司たかはしけんじ は、苦悩していた。


彼は「リアルなプロレス」を目指し、新たな団体を旗揚げした。しかし、その理想に共鳴した仲間たちは、一人また一人と彼のもとを去っていった。


「理想と現実は違うんですよ」


そう言い残して背を向ける若者たち。


「プロレスは八百長があってこそ成立する」


周囲の声は、まるで呪いのように高橋の耳にこびりついた。


それでも、俺は本物を追い求める。


そう誓っていたはずだった。


しかし、現実は過酷だった。資金が尽きかけ、団体運営も危機に瀕する。


そして、高橋はついに屈した。


「……試合を受けよう」


金のために、八百長試合を。


対戦相手は、かつての師匠・佐山剛さやまごう だった。


師弟対決の果て

試合当日。観客の期待が渦巻くリングの上。


ゴングが鳴る。


高橋と佐山は、リング中央でがっちりと組み合った。


「……プロレスとはな、客に夢を見させるものだ」


師匠・佐山が低く囁く。


「プロレスは八百長 があってこそ成り立つんだ」


その言葉を聞いた瞬間、何かが弾けた。


「違う!!!」


高橋の怒りが爆発する。


「プロレスとは、リアルであり!最強の格闘技だ!!!」


挿絵(By みてみん)


その瞬間、右ハイキックが炸裂した。


鋭く振り抜かれた蹴りが、師匠・佐山剛の側頭部を直撃。


八百長の筋書きにはない、リアルな衝撃。


佐山の意識が吹き飛ぶ──


無防備な巨体がコーナーポストへと叩きつけられ、首が不自然な角度に折れ曲がった。


……静寂。


師匠 佐山剛は、二度と立ち上がることはなかった。


___________________________


翌日、新聞やテレビは大騒ぎだった。


「プロレスラー・高橋健司、人殺しの凶行!!」


「八百長を拒み、リアルファイトで師匠 佐山剛を植物人間に!!」


「破壊王」


マスコミがつけたその異名が、高橋のすべてを奪った。


彼はリングを去った。


プロレスを捨てた。


どん底に落ちた高橋のもとに、一人の男が現れる。


黒いスーツ、鋭い眼光 ヤクザ だった。


「リアルなプロレス、しませんか?」


ヤクザは笑いながら言った。


「血と暴力だけが支配する新たなリングへ」


地下格闘技場(非合法なヤクザの大会)は、間もなく京都で開催をされる。

元横綱の雷王丸の最初の対戦相手は「破壊王 高橋健司 」にマッチングされるのだった。

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