カンダタでも善人だった
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
私にとっちゃ、救ってくれた方々は皆、お釈迦様ですよ。
幼少期の頃に、いじめにあっていた。何で生きているのか分からなくて、ただ毎日が辛かった。親に相談しても、無理矢理行かされて終わりだろうと、何も言えなかった。
それでも何だかんだで生きて来れたのは、好きなアニメが夕方からやっていたから。私はそれに縋り着いて、自らに延命を施していた。
それから数年が経って、そのアニメに携わっていた人達が、問題を起こして叩かれた。世間から多くのバッシングを受けていた。毎日、毎日、毎日。あの時の私のように。
「もし、梅香の君。私、幼少期にいじめにあっておりましてね。毎日毎日毎日、死ぬことを考えていたんです。園にも居場所はなかったし、時折家で強制される勉強も嫌いだった。生きてる意味なんかないから、死ぬことしか考えられなくなりました。だから、縋れるものはアニメしかなかったんです。あれだけが、私に生きる意味をくれたのです」
「物凄く辛い状況だと、ほんの些細な事でも忘れないし、いつも以上に有難いと思うものね」
気持ちはよく分かる。本当に苦しい時に、差し入れられた和菓子とか、泣くほど有難いし、生涯忘れない程美味しいのだよね。
そう、スルスルと頭を撫でていると、少女の唇が戦慄く。『でも』という言葉が続く。
「問題を……起こしていた様で……世間から沢山、沢山、誹謗中傷が出来て……。好きだったアニメにも、それが及んで……それで……」
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。本当、人間という輩の業が此処で思い切り現れている。相手がどんな重罪人でも、作られた物に罪は無いだろうに。関係の無いものまで纏めて吊るし上げる。はぁ……全く。
「相手がどんなに重罪人であっても、君が救われたという事実は変わらないんだよ。生かされたという事実は変わらないんだよ。だから作品まで嫌う必要はないんだよ」
私の荒御魂を見ても、彼女はこう言った。『そんなの関係ない』と。『貴方が私の支えになって下さった事に変わりはない』と。
「相手によって、その人が善人か悪人かなんて、容易く変わってしまうものねぇ。さて、君は何方に見えるかな?」
「蜘蛛の私にとっちゃ、カンダタだって善人ですよ……。故、梅香の君はお釈迦様ですが」
神様なんだけどなぁ……。
芥川龍之介氏 執筆 蜘蛛の糸
この話有名なんですけど、主人公の名前、ご存知ですか?
『カンダタ』って言うんです。
そ、重罪人なんですけど、蜘蛛を見逃した事で地獄から救いの手を伸ばされたあの男の名前です。
確かに重罪人なのかも知れません。
けども蜘蛛にとっちゃ、自分を見逃してくれた人なんです。
幼少期に支えだったアニメがありましてね、そのアニメに携わった方々、もうお亡くなりになったり、問題が起こしたり、まぁ、色々あったんです。
でも、それでも、私はあのアニメに救われていました。
それは他にどれだけ問題が露見しようが、変わらない事実なんです。
廃人にさせないでくれた唯一のものなんです。
だから絶対に嫌いになりきる事が出来ないんですよ。
昔は『蜘蛛一匹くらい、みんな見逃してるよ!! 他の人だってそうじゃん!! 不良のごみ拾いがそんなに偉いのか!!』
とか思ってたんですが、改めて考えて見ると、そういうもんだよなって。
他の誰もが認める重罪人でも、自分にとっちゃ恩人なんです。
そういう視点もあるんだなと。