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話せるドラゴンに転生したので、弟の冤罪を晴らします

作者: さんっち

趣味は創作小説投稿、さんっちです。ジャンルには広く浅く触れることが多いです。


pixivでも創作小説投稿をしております。



ーーーお前が、全ての諸悪だ!


ーーー使用人を失ったことなど、因果応報だろ!!



多くの人々が、とある男を攻める。男は何も言い返さず、衛兵に連れられ表舞台を去る。


周囲の隠す気のない攻撃、陰口、嘲笑・・・・・・。男は死んだ目で、その間を歩いて行く。


(俺が、殺したんだ。俺が・・・・・・姉上を・・・・・・)


彼の婚約者は暗い顔で、去りゆく彼の後ろ姿を見つめていた。



この世界は、魔法や魔物が当たり前に存在する。一部には人の言葉を話す魔物もおり、彼らは人間社会にそれっぽく溶け込んでいるのが、この世界の形だ。


ある晴れた日、小さなドラゴンは餌を探していた。本来ドラゴンは肉食だが、このドラゴンは草や果物も食す雑食類のようだ。おまけに生まれたてで、ネズミくらいの大きさしかない。人間に見つかってはやられるだけであることなど、意識もしていないだろう。


ドラゴンは木々をかき分け、熟した木の実を見つけた。それを囓り取ろうとしたのだが・・・・・・勢い余って、枝ごと折ってしまう。当然落ちた、小さなドラゴンらしくほんの小さな雑音を立てて。だが、ドラゴン・・・彼女にとっては、大きな衝撃だった。


それは直接脳を揺らし、突然走馬灯のようなものが浮かばせた。



人間である、誰かの記憶だろうか。権力者の一族、モーファ家に産まれた赤子は「エリーゼ」と名付けられた。魔法の世界ゆえに「魔力」が全てのステータスであり、権力者は皆、魔力に優れているのが常識。しかしエリーゼは突然変異か何かで、生まれつき魔力を持たなかった。平民の隠し子だか非難を浴びるのを恐れた両親は、彼女を隠すように平民の家へ送りつけたのだ。彼女は手紙の文字だけしか、両親のことを知らない。とはいえ、特に不満なく過ごせた少女時代だった。


成長したエリーゼは使用人となり、身分を隠してモーファ家に仕えることになった。そこで彼女は両親の死と・・・・・・唯一の家族、弟の存在を知ることになる。ジャック・モーファ、歴代のモーファ家の中でも非常に強力な魔力を持っており、今も成長段階である。将来は国1番の地位に立てると、周囲から高く評価されていた。


既にエリーゼとは、立場も才能も上にある。会ったことすらないのだから、私を家族と認識してくれるわけないか・・・。そう覚悟していた。



ーーー姉上!会いたかったです。



初対面の挨拶で、ジャックがそう呼びかけてくれるまで。彼は幼い頃からエリーゼの存在を認識し、対面するのを望んでいてくれたのだ。しかし公になれば、一族の信用を大きく崩すと進言され、公表することは控えられた。


それからというもの、姉弟のモーファ家での暮らしが始まった。ジャックは新たな当主となり様々な業務をこなし、エリーゼは使用人と教育係として、彼を支える体勢となった。勿論全てが順調ということもなく、上手くいかないことも多かった。特にモーファ家は過去の栄光が大きいあまり、現在では特に輝かしい業績を残せていなかったのだ。僅か18で当主となった弟には、全てが重圧となっていた。


それを乗り越え、彼はようやく婚約者を見つけた。婚約者はタフィ・アルベール。近年、国内の治安維持で力を得てきた、実業家の娘だ。歴史と魔力がある名家と、特定の事業に優れた家。両家の安泰が目的の制約結婚のようなものだったが、彼は幸せそうだった。ようやく、努力が報われたのだ。姉であり使用人である自分はこれからも、そっと影から幸せを守ってあげよう。


・・・・・・結婚式の直前、とある黒服の人物が屋敷に侵入し、タフィに刃を向けた。使用人であるエリーゼは、庇うしか出来なかった。刃物はそのまま、エリーゼの胸を貫く。エリーゼは・・・・・・いや「前世の自分」はそのまま、帰らぬ者となった。



(・・・・・・今のは・・・前世の私の、最期?)


視界も晴れてきたドラゴンだが、先ほどの記憶に混乱していた。彼女は人間だった、そして使用人として、一族の当主・・・弟に仕えていた。しかし突然の襲撃により、自分は命を落とし・・・ドラゴンとして転生したのだ。


(これも、神さまのイタズラなのかしら。でも、生きているだけで儲けものね)


ドラゴンになった事実を受け入れながらも、彼女は少しだけ泣いた。最後の弟の記憶は、命を落とす直前。決死の表情で、何度も「姉上!!」と呼び泣きじゃくる、彼の姿・・・・・・。今すぐ、彼に会いたいと思った。しかしどうしようもない、今はドラゴンなのだから。


それにしても、ここは何処だろう。不思議と、見覚えのある雰囲気だが・・・。それに、死んでからどれくらい経ったかなど分からない。記憶が蘇ったところで、どうしようもない・・・。


「・・・しかしまぁ、物騒なことになったねぇ」


ふと、遠くから人の声がする。茂みに姿を隠すと、ここの農家であろう2人の人間の姿があった。マズいな・・・と思っていると、深呼吸するように、話が頭に入ってくる。


「お城の方々が言うには、なんでもジャック様の婚約者である、タフィ様が襲われたとか。幸い怪我は無かったけど、捕まった犯人が“ジャック様に命じられた”って言ったらしいよ」


「嘘、自分の婚約者を殺そうとしたのかい?」


突然の話に、エリーゼは耳を疑った。ジャックが、人殺しを依頼した・・・?


「そうそう。噂によると、アルベール家が持つ権力行使権を狙ったとか。魔力だけじゃ動かない世の中とはいえ、それを独占すればモーファ家は安泰だと企んでたみたいよ」


「まぁ~欲深い!ジャック様って、悪魔みたいな人ねぇ」


この2人は、何を言っている?弟は優しい人だ、そんなことするわけない!そんなこと・・・そんなの・・・!!



「・・・・・・そんなわけ、あるはずない。何かの間違いよ!!」



思わず、声を出してしまった。「ん?」と声の出所を探す農家に気付かれぬよう、エリーゼは慌てて飛び立つ。前世が人間だったからか不明だが、自分が「話せるドラゴン」だったとは・・・。


にしても、だ。あの事件はジャックが起こしたなどあり得ない。暗殺者を雇うなど、彼は決してしないはずだ!幸い、自分が死んだ事件から日は浅いらしい。エリーゼはドラゴンの力を使い、大慌てでモーファ家の屋敷へと向かった。前世で既に地形は把握済みだ、おまけにドラゴンの飛行能力も悪くない。彼女はあっという間に目的地に辿り着いた。


今日は天気が良いからか、庭ではタフィが1人、静かに紅茶を飲んでいた。その顔は青白く、どこか思いつめている様子に見える。エリーゼは姿を見られぬよう、こっそりと彼女の様子をうかがう。彼女の使用人たちは、口々にジャックを非難する言葉ばかり上がる。「極悪人」「冷淡で非情な男」・・・エリーゼはますます信じられない目で見つめる。


皮肉だがその内容から、エリーゼの死後の情報を得ることが出来た。あの襲撃でタフィは命に別状はなかったものの、転倒して軽傷を負ってしまった。彼女の死後、犯人の証言ですぐにジャックは囚われの身になった。この事件については、アルベール家が指揮を執って調査しているという。タフィは命を狙われたショックで、ジャックへの信頼を一切なくした。おまけにジャックが「姉上」と呼んだことで、エリーゼとジャックの関係性と、その過去が公になってしまったのだ。・・・・・・今現在、モーファ家の信用は底辺に位置しているだろう。


タフィ当人は、何も言わず静かに俯いている。まるで、人形のようにおとなしい。


しかし・・・一瞬だけ見えたその顔は、不気味と冷酷な笑みを浮かべていた。


(・・・・・・あの女、何か知っている?)


エリーゼは、タフィの笑みを見逃さなかった。様子がおかしいことに気が付いたエリーゼだが、ここで長居している場合ではない。ジャックは幽閉所にいると言っていた、そこへ急ごう・・・!ドラゴンの翼を広げ、人目につかぬように注意して飛んでいく。逆光で苦しくても、彼女は前に進むしかなかった。



幽閉所は国の果て、深い森の中にある。屋敷からは距離があったため、着いたのはとっくに夜中。見張りの兵士は夢現の状態だったので、簡単に侵入させてもらった。魔力を封じる処置はされているようだが、正面の扉や窓はオンボロで、隙間だらけ。よくこんなので成り立つと呆れる。


隅々の部屋を見ていったところ、1番奥の部屋にジャックの姿を見つけた。屋敷にいた頃と比べ弱っており、汚れた衣服に手入れされていない髪が目立つ。それでも物珍しい水色の髪で、すぐに弟だと分かった。


彼はベッドの上で、膝を抱えて座っている。体は常時、小さく震えていることにも気づく。その姿を見た瞬間、胸が痛んだ。どうしよう、このままでは・・・弟が壊れてしまう。なんとかしてあげたくて、エリーゼは鉄格子の隙間にその身をくぐらせ、彼の元へと近づいた。


「・・・・・・?」


久しぶりに見た弟の顔は、とてもやつれていて痛々しい。目は虚ろなままだが、こちらに気づいたのか首を傾げる。それもそうだ、見覚えのないドラゴンが近づいてきたら誰だって驚く。


「・・・・・・誰、だ?」


しばらくの沈黙の後、彼はポツリと呟いた。上手い理由など思いつかない。・・・こうなったら、本当のことを言ってしまおう。信じてもらえるか、分からないけれど・・・。


「・・・・・・エリーゼ、エリーゼ・モーファよ」


「・・・・・・!?」


驚くのも無理はない。見知らぬ小さなドラゴンが、亡くなった自分の姉の名前を名乗ったのだから。しかも、何度も聞いた懐かしい声で。ジャックは目を丸くし、エリーゼをじっと見つめた。とりあえず話を聞いてくれるようだ、エリーゼは本題へと入る。


「理由も何もかも、分からないのだけれど・・・私のことは、後にして。ともかく・・・・・・どうしてこうなっているのか、私は理解できない。何故貴方が犯人にされ、こうして幽閉所に居るのか。


貴方は暗殺者を雇うことなんてしない、そもそも権利を独占するために婚約者を殺そうともしない!何1つ、納得できない!!貴方がこんな扱いを受けるなんて、間違ってるわ!!」


「・・・・・・ありがとう。でも、俺はもういい。唯一の家族だった姉上を失った上に、婚約者の暗殺未遂という濡れ衣を着せられた。仕方ないが、何度言っても、タフィは一切信じてくれない。モーファ家の信用も皆無になった。


・・・・・・こうなった以上、どうしようもない。俺はもう・・・何も出来ない。元から、何も出来なかったくせにな」


自嘲するジャック。彼は何も悪くない、それなのに・・・!エリーゼは胸が苦しくなる。


「そんなことないわ!絶対に、そんなことない!」


エリーゼは必死で否定するが、ジャックは力なく笑うだけ。すると彼はベッドから立ち上がり、鉄格子の前までやってきた。エリーゼは慌てて、彼の足元へ駆け寄る。ジャックはしゃがみこみ、エリーゼに目線を合わせた。


「あの犯人・・・・・・姉上を殺した奴に、話を聞きたい。何故俺を首謀者にしたのか、何故嘘をついたのか・・・・・・知りたいことだらけだ。でも俺はここに入れられて・・・・・ずっとここに閉じ込められて・・・・・・もう、話を聞けないんだ。俺は何も分からずに、ここで死ぬんだな・・・・・・」


そうして、彼は扉の前でうずくまってしまった。小さく嗚咽を漏らしながら泣く姿に、エリーゼも涙が出そうになった。


・・・こんなの、間違っている。だが、思うだけでは彼を救えない。


私は彼の使用人だ、彼の姉だ。小さいドラゴンとはいえ、こうやって生きているのなら・・・やってやろうじゃないか!もしかしたら神さまは、チャンスをくれたのかもしれない。・・・いや、もはや理由など何でも良い。行動しなければ・・・!


すぅ、と彼女は大きく息を吸った。



「分かった、私が真実を突き止める。ジャックの無実を、私が証明する!!」



エリーゼは声高々に宣言した。ジャックが驚いた顔をしているが、構わず続ける。


「まだ時間はある。アイツを・・・あの刺客を探すから!それに、無実であることを貴方は知っているのでしょう!?貴方自身を信じられなくて、どうするのよ!!諦めて濡れ衣を着るなんて、嫌に決まってる。だから、全部受け止めてしまうような態度はやめて。私はずっと、ジャックの味方よ!」


エリーゼは言い切った。ジャックはしばらく、ぽかんとした表情をしていたが・・・刹那、その瞳から、再び大粒の涙がこぼれ落ちる。


「もう、貴女の正体なんて気にしません。姉上であっても、そうでなくても構わない。貴女は・・・優しすぎます。両親は姉上を捨てたというのに・・・そこから産まれた俺を、貴女は見捨てないなんて・・・・・・」


しばらく隣で見守った後、彼女はあの刺客・・・自分を殺した犯人を探すことを決心した。


「彼がどこにいるか、分かる?」


「・・・聞いたところによれば、国外の幽閉所に移されたらしいです。アルベール家の娘を暗殺しようとした経緯を詳しく調べるため、あの一族の管轄下である、国で最も厳しい牢獄に入れられたとか」


ジャックの言葉を信じ、エリーゼは直ぐさまそこへと飛び立つことにした。本当は、彼を連れ出したいくらいだが・・・・・・身体の小ささが、物理的に許さない。


「何だか声がするな・・・」と、遠くから兵士が呟いているのが聞こえた。これ以上ここにはいられない。一刻も早くジャックの無実を晴らすため、急ごう。


「待ってて、絶対に助けるから!」


耳元で小さく伝えると、外の窓に付いた鉄格子をかいくぐり、エリーゼは空へと向かう。


「姉上・・・どうかお気をつけて」


弟の声を聞きながら、ドラゴンとなった彼女は翼を広げ、飛んで行った。どれぐらいの距離があるか分からない。とにかく、急がなければ。彼女の出発を合図するように、朝焼けはゆっくり顔を出すのだった。



ーーーこの国で、最も厳重で危険とされる幽閉所。


休み無く飛び続け、すっかり日は高くなった。そんな場所に、今自分は来ているのだ。


長いこと風雨にさらされ、朽ちた門や壁が嫌に存在感がある。うっそうとした森が、建物の不気味さをさらに醸し出す。ここに、ジャックを犯人だと証言した暗殺者が・・・・・・自分を殺した犯人がいる。だがその厳重さは、ジャックがいる幽閉所の比でもない。どう侵入しようか悩み、見張り兵を見やる。


そこで目を丸くした、兵士は魔物の1種・・・いわゆる獣人だったからだ。


「それじゃあグーヘル、いつも通り頼むぞ。お前の嗅覚とやらで、めぼしい奴でも見つけてこいよ」


2人の男(おそらく共に看守だろう)が、門番であろう獣人を小馬鹿にするように言った。


「へいへい、言われなくともやりますよ」


「おいこら、返事は“はい”と言えって言ってるだろ!」


「犬の分際だから、ヒエラルキーなんか分からないとか言い訳すんじゃねえぞ?」


ケラケラと大笑いした2人は、そそくさと室内へ入っていく。グーヘルと呼ばれた獣人は「はぁ・・・」と大きなため息をつく。


「全く、相変わらず人間はコレだぜ。貴重な“話す魔物”も、口だけは大切にしてると言う。だが実際、効率的だの適材適所だの言い訳付けて、オレらを良いように利用しやがって・・・」


独り言のようにブツクサ言う彼だが、不意にこちらに視線を向ける。そして、「おっ?」という顔をして、近づいてきた。


「珍しいな、ドラゴンがこんな荒れ地にいるなんてよ。・・・小せぇから生まれたてか、じゃあ警戒する必要はねぇ」


見つかってしまったが、ここで逃げ隠れるわけにはいかない。エリーゼは勇気を振り絞り、声をかけた。


「あの・・・ここって、何?」


自分と同じ「話す魔物」であったことに、彼は驚いた顔を見せる。しかしすぐに平静を取り戻し、落ち着いた声で答えた。


「ここは幽閉所だ。悪いことは言わねぇから、離れた方が良いぜ。ここには色んな奴らがうじゃうじゃいる、お前じゃ手も足も出ないくらいの奴らが、な」


小さいドラゴンを思っての、可愛らしい警告だ。だが、それで退くほどの心意気などとっくに捨てた。エリーゼは大人の人間として、堂々と歩み出る。とはいえ、真っ正面から交渉に行っても拒絶されるだけ。酷ければそのまま処罰だ、上手く引き出す必要がある。


「ねぇねぇ教えて、ここってどんな場所なの?」


「は?」


「私、“人間の施設”について勉強してるの。人の言葉を理解できるから、色々学ぶのもアリかなって思ってて。だからお願い!ここはどういうところなのか、詳しく知りたい!」


「・・・・・・まぁ、せっかく話す魔物同士だし。ちょっとだけ付き合ってやるよ」


グーヘルは少し悩んだ後、了承してくれた。そして自分の知る限りのことを、分かりやすく説明してくれる。曰く、ここではあらゆる種族の犯罪者たちが集められているとのこと。人間はもちろん、魔物も多くいるらしい。種族も地位もバラバラ、共通点といえば全員が罪を犯したということだけ。刑罰のこと、犯罪のこと・・・初等教育で学べる内容を、彼は誇らしげに語る。既に前世で大半を学習済みだったエリーゼにとっては、少し退屈だったが。


そこから熱が入ったのか、グーヘルはアルベール家のこともペラペラ喋り出した。一族は治安維持に力を入れるだけあり、国内発生の犯罪を、徹底的に管理しているらしい。発生した事件や犯罪者の管理など、本来国がやるような範囲にも、徐々に手を入れている噂だ。また、その国で起こる全てのことを一族の者が把握するため、国の中枢とも繋がっているとの噂もあるという。


エリーゼはその話を聞いて、タフィの冷たい笑みの理由を考え出す。


・・・この事件に、彼女が。アルベール家の娘が、裏で大きく関わっていたとしたら・・・。


その瞬間、幽閉所の中からドン!!と大きな音が響く。何があった!?とグーヘルは内部へと駆け込む。エリーゼもどさくさに紛れ、グーヘルの肩に乗り同行させてもらった。


扉を開けた先には、一人の男がいた。死んだような目に、青白い肌と目立つ傷跡。兵士の慌て様から、脱走を図っているようだ。・・・見たことある横顔に、すぐに記憶が呼び起こされる。


ーーーコイツは、私を殺した元凶!!!!


そう思うと同時に、エリーゼでは太刀打ちできないと悟る。真正面からでは、勝ち目がない。現に止めようとしている看守達も、相手の強さを感じ取り動けずいた。このままだと脱獄されてしまう。それは、真実が闇に葬られるのと同じだ。グーヘルが立ち向かおうとするが「獣人は邪魔するな!!」と、周囲から止められてしまう。


「クソッ、いっつも人間のヤロウは・・・!!オレらのことなんか、戦力にも思ってないのか!?」


「グーヘル、アイツが別のモノに気を引いている内に、攻撃か何かして止めて!」


「なるほど・・・・・・って、オメェいつの間に!?」


「ほら早く、私が囮になるから!」


「お、おう!」


いつの間にかいたエリーゼにグーヘルは驚くが、今はそんな場合ではない。彼が行動を起こす前に、エリーゼは飛び降りる。男は看守との乱闘中で、1人で複数人の相手をしている。しかも彼の方が優勢だ、何人もの看守が床に倒れていた。男がエリーゼに気づいても、表情を一切変えない。そして彼女を標的にし、こちらに襲いかかってきた!慌てて避けるが、このままでは一方的な展開になってしまう。


グーヘルは咄嵯に、周囲を見回す。すると天井に、今にも崩れそうな瓦礫が見えた。アレをあの男に直撃させれば・・・!彼は壁際に走り、思い切りジャンプをする。そして豪快に叩き割り、狙いを定めて落下させた。


ドガァン!!!


激しい音と共に、砂埃が舞う。視界が悪くなり、状況がよく見えない。・・・男の悲鳴だけはハッキリ聞こえた。


やはり衝撃を受けたらしく、男は明らかに動きが鈍くなる。その隙を見て戻ってきたグーヘルが、男の胸倉を掴んだ。


「くそったれが、色々手間をかけさせやがって!!」


彼は思い切り拳を振り上げ、男に殴りかかる。バキッ!ボコッ!と、何やら不気味な音が聞こえるが・・・遂に脱走する気を失せたようだ。無事に男は檻の中に戻る。


「凄いわ、グーヘル!貴方の力で、抑えられたのよ」


「あぁ、おぅ・・・。お前、なんか雰囲気変わってないか?」


素のエリーゼが出てしまい、思わずギクッとする。先ほどまで生まれたてのドラゴンを演じていたが・・・。一方で男はグッタリした様子で、檻の中で大人しくなっている。しかし何やらブツブツ呟いているのを、エリーゼは聞き逃さなかった。


「クソ・・・クソ・・・!!タフィの奴、言ってることと違うじゃねぇか・・・!」


「ねぇ、ちょっと良い?」


エリーゼは檻の向こうから、男に声をかける。規約違反だとグーヘルがギョッとするが、幽閉所の中は混乱中なので、これくらいでは分からないだろう。既にエリーゼの雰囲気が変わっていることなど、気にしないでおく感じだ。


「なんだ?」


「さっき言ってたわよね。『タフィ』って」


「それがどうした?」


ここで感情的になってはいけない。いけないのだが・・・どうしても、気持ちが先走ってしまう。やはりあの女が・・・タフィ・アルベールが今回の事件に関わっていると、確信を持つ。そうなると、落ち着いてなどいられない。


「貴方、タフィに何て言われたの?」


「・・・・・・関係ないだろ」


「あるわ。貴方が何をしたのかが、真実を見つけるために必要なの。貴方の嘘、誰かの計画、全部明らかにしたい」


エリーゼはもはや生まれたてのドラゴンを捨て、前世の自分を前に出していく。コイツは、何者だ・・・?グーヘルは徐々に、エリーゼの正体を気になりだした。


「俺には、何も話すことはない」


「いいえ、話してもらうわ。貴方の発言でジャック・モーファは捕まってしまったけれど・・・ジャックは無実よ。刺客を使って、婚約者を殺そうとしていないわ。ただでさえモーファ家のことでいっぱいの彼が、アルベール家の治安維持の権力なんて、必要とするわけないじゃない。それにタフィを陥れるなら、暗殺なんてしなくても、婚約破棄や悪事の偽造くらいで良い。目的と手段のリスクが一致しない!」


「・・・・・・・・・・・・」


男は全く口を開かない。するとグーヘルが助け船を出すように、男に話しかける。


「オメェ・・・確か、孤児院出身の少年兵だったか。ただの殺人兵器として、命を奪うことだけが仕事だったと言ってたな。だが・・・・・・今は違うだろ。誰かの話に乗ったり、話したり嘘をついたり、色々やってるじゃねぇか。今のオメェの方が、断然人間らしいぜ」


そう言われて、男は黙ったまま俯いた。しばらくして、ポツリと言葉を落とす。


「俺は・・・・・・ただ、命令通りに動いてただけだ」


「どんな内容?」


「“悲劇のヒロイン”を作り上げる、狂言・・・・・・」



「俺はやっていない、暗殺者を雇ってなどいない!」


意気消沈して黙秘ばかりしていたジャック・モーファは、一転して容疑を否認しだした。ジャックは必死に訴えた。自分が無実であることは、自分がよく知っている・・・。エリーゼの言葉に鼓舞され、彼は黙るのをやめたのだ。信頼をなくしたタフィには、一切届いていないが。


「今更、何を言っているのですか。犯人の証言に、貴方が犯人を雇うための証文。これを見れば、誰が見ても貴方が黒幕だと分かります。往生際が悪いですわね!貴方の屋敷の使用人も、証言しているではありませんか。自分の主が、金と権利目当てでアルベール家に近付く様子があったと!!」


檻の向こう側は、全員ジャックの敵だ。証拠を提示しているタフィにつき、誰1人として味方はいない。


タフィがジャックの幽閉所に訪ねてきて早々、先ほどのことと同時に、婚約破棄などを突き出してきた。既に精神的苦痛を受けている彼にとって、さらに痛い追撃となっている。彼女は、ジャックを冷たく突き放した。もう彼を有罪にすること以外、彼女には見えていないようだ。ジャックは絶望した。


どうして、こうなってしまったのだろう。ただモーファ家として魔力を持ったからには、立派な当主となりたい。誰かから認められたかった、努力の先にある幸せを手に入れたかっただけなのに。どうしてこうなったのだろう。


彼の脳裏に、エリーゼの姿が浮かぶ。魔力がないという理由で家を追い出され、姉と名乗ることも出来ず、使用人として生きてきた彼女。どんな時でもジャックの味方で、ずっと彼を支えてくれた。彼女がいなかったら、きっと今の自分はいなかっただろう。


だから彼女がタフィを庇って死んだとき、自分がやったわけではないのに、自分が彼女を死に追い込んでしまったと嘆いた。涙が止まらなかった。どうしようもないと分かっていても、考えを止められない。自分がもっとしっかりしていれば・・・自分がもっと強ければ・・・彼女とまだ、一緒にいられた。自分の弱さを憎んだ、自分を責めた。


命を狙われたのだ、婚約者が犯人の言うことを鵜呑みにして、自分に牙を向けるなど百も承知だった。だが身に覚えのない証拠を出されていき、パニックを通り越して何も出来なくなるほど弱くなってしまった。誰も信じてくれない、誰も聞く耳を持たない。


少し前に会った、小さなドラゴン・・・エリーゼと名乗った、話せるドラゴン以外は。


彼女はハッキリと「無実を証明する」と言ってくれたのだ。潔白を信じてくれている者を知った今、彼はなんとしてでも生きたかった。あのドラゴンを信じている。溺れる者は藁をもつかむようだと言われれば、それまでだろう。だが彼はとっくに、覚悟を決めていた。自分は彼女を信じると。


知られぬように目をつむり、ジャックの瞳からそっと涙が落ちる。その瞬間だ。



「職権乱用かぁ?アルベール家のお嬢さん」



荒々しい声が、小さな幽閉所に響く。タフィが振り向くと、見たことない獣人の姿があった。奴の肩には、小さなドラゴン・・・エリーゼがちょこんと乗っている。ジャックは「姉上!」と叫びそうになったが、慌てて口を押さえた。


「どなたかしら?関係者以外がここに入るのは、禁じられていますが」


「オレか?オレはグーヘル。アンタの親族が経営する幽閉所の職員さ」


「そうでしたの、ご苦労様です。ですが、不思議なお言葉を使用しましたね。“職権乱用”とは?」


「そのままの意味だぜ。この男を牢屋に入れたのも、証拠を次々と作り上げたのも、全部あんたが命令したことなんだろ?それを権力を使って無理矢理やらせたってことだよ」


タフィは眉間にしわを寄せ、怪しげに睨みつける。


「証拠を作り上げた?どういうことです?」


「貴方、犯人や使用人の証言を強制させたらしいわね」


エリーゼの言及に、タフィの表情は一層険しくなる。周囲にいた兵士も、ザワザワと騒ぎ出す。


「犯人から色々聞いたわ。“自分を襲うフリをして、モーファ家に泥を塗れ。捕まった後はジャック・モーファが首謀者だと発言すれば、幽閉所での脱走を手助けする”と持ちかけられたって」


「ったく、兵器だが何だが言ってたが、アイツも普通に人間だな」


「他にも使用人には“ジャック・モーファを悪人にしなさい。さもなくば貴女の家ごと飛ばします”って脅したらしいわね」


「使用人を買収・・・いや、脅迫してまで、この男を陥れるのかよ。お偉い人間のやることは怖いな」


グーヘルはわざとらしく怯えてみせる。タフィは余裕そうな顔で、それでもかなり冷や汗をかいて、ただエリーゼ達を見つめるだけだ。


「話す魔物が何を言うかと思えば・・・なんのことですか!?私を誰だとお思いで?タフィ・アルベール、この国の治安維持に徹するアルベール家の長女!そんな私が、犯罪者に加担するはずがありません!!」


「おいおい、自分のやったことをを誤魔化すつもりか?」


「誤魔化してなんかいない!私は断じて!犯罪に手を染めた覚えはない!!」


「そうね、犯罪を犯してはいないわ。犯罪を“裏で操った”のだからね」


「お、お黙りなさい!!」


タフィの怒号が反響して、幽閉所に響き渡る。彼女の怒りは加速し、どんどん口数が増えていく。


「証拠もないくせに、勝手な憶測をするんじゃないわよ!!私が裏で犯罪者に指示を出したぁ!?使用人を脅迫したぁ!?これだから、知能が低い魔物は嫌いなのよ!!さっさとコイツらをどこかの牢屋にでもぶち込みなさい!!鞭打ちでも何でも良いから、罰を与えて2度と目の前に出さないようになさい!!


ったく、ったく・・・!!魔力ばかり優遇される社会で、魔力を持たない平民だからって、私のこと馬鹿にしてるでしょ!?歴史やら魔力やら、そんな保守的な家なんて大嫌いなのよ!!そんな家の奴らは皆、変化していく社会で干からびていけば良い!!こんな国、潰れてしまえばいいのよぉ!!!!」


タフィは狂ったように叫ぶ。幽閉所の空気がビリビリと震えて、ジャックは思わず耳を塞いだ。


「あーらら、ここまで堕ちるとは、オレでも予想外だったぜ」


「そもそも・・・最初の言葉で既に終わってるのよ!『証拠がない』のだから、貴方達の話は既に・・・」



「それ以上、無駄口を叩くな。タフィ・アルベール」



ふと、重厚な男の声がした。タフィの後ろから、身なりの良い男がゆっくり近寄っていく。その姿を見たタフィは、明らかに動揺している。


「あ・・・お、お父様」


「タフィ、牢屋にぶち込めなど・・・今のお前の発言は、明らかに職権乱用だ」


「も、申し訳ありません。先ほどのは、頭に血が上ってしまいまして・・・今後はないように致します。この魔物は多少注意をするだけで、何もせず解放致しますので・・・」


「・・・それだけか?近頃お前の動きが怪しかったので、調べさせてもらった。その結果・・・お前は今回だけでなく、以前にも複数の囚人に対し、何らかの取引を行っていたようだな。収容期間を短くすること、刑を軽くすることなどを餌に、様々な要求をしてきたそうじゃないか。見返りの金品を受け取る、襲撃や強盗、火事などわざと起こさせる。


今回、私に一切調査の隙を与えなかったのが気になってな。使用人への聞き取りで、貴様の行動をようやく気付いた。ちなみに使用人への脅しも、既に明らかになっている」


今までの隠し事を、どんどん暴かれていく・・・。タフィは青ざめた顔で父親を見る。父親は娘の反応を見て、さらに続けた。


「アルベール家は由緒正しい家柄であり、王族からも信頼されている。だからこそ、この国の治安を守る義務があるのだ。なのにお前ときたら、自分の地位を利用し、私欲のために権力を振りかざす。・・・・・・今まで甘やかした私にも責任はある。だが、もう終わりだ」


「お父様!違います!これは・・・・・・何かの、間違いです・・・・・・!!」


「言い訳は牢獄の中で聞く。連れて行け」


タフィは必死に抵抗するが、兵士に押さえつけられ、幽閉所から姿を消した。彼女の抵抗する声が、空しく小さくなっていく。あの女のせいで、ジャックはこんな酷い濡れ衣を着せられたなんて・・・!せめて今後、ちゃんとタフィが真実を明かし、正当な罰を受けることを望もう。エリーゼ達はしばらく動けずにいたが、タフィの父親がこちらに振り向き、頭を下げてきた。


「本当に済まなかった・・・!私の娘がここまで愚かだったとは、そしてそれを野放しにしていた私達も・・・」


「お、おいおい。当主が頭下げるなって」とグーヘルが焦っていたが、当主は数分以上、頭を下げ続けた。「大丈夫ですよ」とジャックが声をかけ続け、5回目くらいの言葉でようやく顔を上げてくれた。


「貴方がいなければ、タフィは止まらなかった。先に相対してくれた姉上や獣人の兵士を助けていただき、感謝しています」


ようやく・・・・・・ようやく、終わった。真実を、私たちは突き止めたんだ!その瞬間、エリーゼは檻の隙間を無理矢理かいくぐり、ジャックの胸へと飛び込む。


「ジャック、本当に良かった・・・!!本当に・・・・・・本当に!!」


彼女にとっては、死んだことなど二の次だった。今を生きている彼を救えた。使用人として、姉として・・・!それだけで満たされた、このためだけに生き返ったと言われても、何も疑わなかった。


「わわっ、姉上・・・!」


突然のことで、ジャックは慌ててしまう。しかしその表情は、先ほどと打って変わり、とても笑みで満たされていた。・・・・・・何度も彼から出ている「姉上」という言葉を、全く隠す気が無かったくらいに。ドラゴンなのに、人間の弟?人間なのに、ドラゴンの姉?グーヘルの頭に「?」が量産されていく。


「ジャック、これから貴方は自由よ!好きなことも、やりたいことも、何でも出来るから・・・もう、誰にも邪魔されないで!自分のために生きなさい!」


「・・・・・・はい。ありがとうございます、姉上」


涙を流すエリーゼに対し、ジャックも目元を拭う。二人の様子から、互いに互いを大切に思っていることは、誰の目から見ても明らかだった。互いの関係性は・・・落ち着いたら聞くか。グーヘルはお得意の「まぁいっか」で、喜ぶ姉弟を見つめていた。




結論から言うと、タフィ・アルベールは、数多の犯罪者を利用し、様々な悪事に関与していた。職権乱用の他にも、書類の偽造や横領などに手を染めており、犯罪者と恋愛関係にまで及んだ事例も見つかる。今回の件はタフィの言葉通り、魔力に優れていたモーファ家への一方的な逆恨みから発展したものだった。


タフィは国外の厳重な牢獄に入れられ、おそらくそこで一生を過ごすことになるだろう。これにはアルベール家の面目も丸つぶれだ。一族は権力者の地位を退き、王都から離れた地方にて、ひっそり暮らしているという。


そしてジャック・モーファの冤罪は晴れて、彼はようやく釈放された。しかし既にモーファ家は財政・立場共に、存続自体が危うい状態だ。都市にあった豪華な屋敷を売り払い、町外れの小さな家に移ることを余儀なくされた。といっても、姉弟2人と少しの手伝い人で暮らすには充分だ。むしろ今までやりすぎてたのよ、とエリーゼは肩の荷を下ろす感覚だった。


色んなモノを失ったジャックだが、新しい目的が出来た。いつか名ばかりでぞんざいな扱いを受ける魔物たちが、この人間社会で平等に共存できるようにしたい。いつか魔物たちに関する制度や法律を作るべく、日々勉学に励んでいる。アルベール家など様々な家からの支援もあり、彼の夢は徐々に進むだろう。


エリーゼは勿論、グーヘルも共に、モーファ家の元で暮らしている。ちなみにグーヘルはタフィ・アルベールの逮捕と共に、アルベール家の幽閉所の門番をやめた。アルベール家の衰退と共に、幽閉所は国営となったことが理由だ。現在はモーファ家でちょっとした手伝いを(魔物としての意見出しも)してくれている。そうなるに辺り、グーヘルに腹を割く思いでエリーゼの正体を伝えたところ「へ~、そうか」と、案外あっさり受け入れてくれた。


そんなある日、グーヘルは興味深いことを教えてくれた。


「・・・・・・転生、魔法?」


「あぁ。代々魔力を受け継ぐ血脈で、突然変異として宿る力だそうだ。「神からの祝福」とか「悪魔の呪い」みたいな感じで、評価が完全に二分割される力らしい。だが転生する力に全ての魔力を使っちまうから、ソイツは一切魔力を持たずに産まれるそうだぜ。


転生に成功しても、人格はほぼほぼリセットされちまう。だが物理か精神かはともかく、突拍子もない衝撃を受けると、ソイツは「前世の自分」を思い出すらしい。・・・・・・まぁ、魔物の間でも嘘くさい話だから、もはや伝説やおとぎ話じみた内容だと言われてて、真に受けてる奴が少ないのが事実だな」


完全にエリーゼの背景と同じだ。もしかしたら・・・とも思ったが、難しいことは考えないでおくとしよう。神からの祝福か悪魔の呪い?何だか気の遠くなる話だ。理由も何もかも分からないけれど、今ここにいること、あるモノは全部本当のこと。


命を賭けて守った女に騙され、弟はあたかも犯罪者として扱われた。しかし何故か自分はドラゴンに転生し、あの女の悪事を暴くことに成功したのだ。それで良い、今度こそ彼を幸せにしてみせよう。


姿や立場が変わっても自分は、命ある限り彼を支える存在になりたい。それが、今の彼女の夢だ。


fin.

読んでいただきありがとうございます!

こちらへの投稿は初めてで、至らぬ点があったかと思います。

反応していただけると、スッゴく喜びます!!

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